副鼻腔手術(FESS)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副鼻腔炎(ちくのう症)の手術の一種で、内視鏡を使って鼻の穴から副鼻腔(鼻の奥にある空洞)の状態を調べ、炎症や膿を取り除く治療法です。FESS(Functional Endoscopic Sinus Surgery:機能的内視鏡下副鼻腔手術)と呼ばれ、鼻の構造をできるだけ温存しながら、副鼻腔の換気と排膿を改善することを目的とします。
重要な事実
- FESSは鼻の穴から行う手術のため、顔に傷が残りにくい。
- 手術後は鼻の中の腫れやかさぶたができることがあり、数週間から数ヶ月かけて徐々に改善する。
- 手術はあくまで治療の一部であり、術後も薬や鼻洗浄などの継続的なケアが必要なことが多い。
日本では慢性的な副鼻腔炎(慢性副鼻腔炎)に悩む人は多く、そのうち一部の人が手術治療を検討します。FESSは安全に行われる手術で、年間数万件実施されています。
慢性副鼻腔炎が長期間続き、薬による治療で効果が不十分な成人に多く行われます。また、鼻茸(鼻ポリープ)がある場合や、副鼻腔の構造的な問題がある方も手術の対象になることがあります。
症状
- 突然の激しい頭痛や顔面の痛み
- 高熱(38.5℃以上)が続く
- 視力の急激な低下や複視(物が二重に見える)
- 意識障害やけいれん
- ⚠鼻づまりや膿のような鼻水が1週間以上続き、市販の薬で改善しない
- ⚠目の周りや頬の腫れがひどい
- ⚠嗅覚が完全に失われた
一般的な症状
- 鼻づまり(鼻閉)
- 後鼻漏(のどに鼻水が落ちる感じ)
- 顔の痛みや圧迫感(特に頬や目の周り)
- 嗅覚の低下
- 鼻の中の匂いが気になる
子供の症状
- 長引く鼻水や咳
- 睡眠時無呼吸やいびき
- 学校や日常生活での集中力低下
- 耳の痛みや中耳炎を繰り返す
高齢者の症状
- 鼻づまりによる呼吸のしづらさ
- 嗅覚低下による食欲や体重減少
- めまいやバランス感覚の悪化(副鼻腔が内耳に影響する場合)
原因
主な原因
- 慢性副鼻腔炎(長期間続く副鼻腔の炎症)
- 鼻茸(鼻ポリープ)が副鼻腔の出口を塞ぐ
- 副鼻腔の構造的な狭窄や異形成(先天的または後天的)
リスク要因
- アレルギー性鼻炎や喘息
- 喫煙(能動的・受動的)
- 免疫力の低下(糖尿病、免疫抑制薬の使用など)
- 歯の感染症(歯性上顎洞炎)
- 慢性的な鼻づまりや副鼻腔炎の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目の周りや額の急な腫れ・痛みに加え、発熱や吐き気がある
- 視力に異常を感じる
- 鼻血が止まらない、または血の混じった鼻水が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 鼻づまりや後鼻漏が3ヶ月以上続く
- 市販の鼻スプレーや内服薬を使っても症状が改善しない
- 嗅覚の低下や顔の重だるさが長期間ある
診断
耳鼻咽喉科の医師が、鼻の内部を観察する内視鏡検査(鼻内視鏡)と、画像検査(CTやMRI)を組み合わせて診断します。症状や経過についての問診も重要です。
行われる可能性のある検査
- 鼻内視鏡検査:細いカメラを鼻の穴から入れ、副鼻腔の出口や粘膜の状態を直接見る。
- CTスキャン:副鼻腔の骨や粘膜の状態を詳しく映し出し、炎症の範囲や構造異常を確認する。
- アレルギー検査:必要に応じて、血液検査や皮膚テストでアレルギーの有無を調べる。
- 嗅覚検査:においを感じる能力を測定するテストを行うこともある。
診察で予想されること
診察では、まず医師が鼻の症状や経過を詳しく尋ねます。その後、鼻内視鏡検査を行い、必要に応じてCTを撮影します。診断結果をもとに、薬による治療か手術かを検討します。手術が必要な場合は、術前の説明と同意を得た上で、日帰りまたは1~2日の入院で行われることが一般的です。
治療
慢性副鼻腔炎の治療は、まず薬や鼻洗浄などの保存的治療を行います。それでも改善しない場合や、鼻茸・構造異常がある場合にFESS手術が検討されます。手術後も鼻洗浄や薬を続けることが多く、症状の再発を防ぐためのケアが大切です。
自宅でのセルフケア
- 生理食塩水での鼻洗浄(1日1~2回)
- 加湿器を使って室内の湿度を保つ(乾燥を避ける)
- タバコの煙やほこり、アレルゲンを避ける
- 十分な水分補給(粘膜を健康に保つ)
- 鼻を強くかまず、優しくかむ
医療治療
薬物療法としては、抗生物質や抗炎症薬、粘膜を正常にする薬などが処方されることがあります。鼻スプレーとしてステロイド薬を用いることもありますが、いずれも医師の指示に従って使用します。手術では、内視鏡で副鼻腔の入り口を広げ、炎症組織や鼻茸を取り除き、膿を排出できるようにします。
手術が検討される場合
薬や鼻洗浄などの保存的治療を3~6ヶ月続けても症状が改善しない場合、または鼻茸が大きく薬で縮まない場合、副鼻腔の構造的な閉塞がある場合などに、医師がFESS手術を検討します。
この病気と共に生きる
手術後は数日間、鼻の中にガーゼ(パッキング)が入っていることがあります。抜去後は鼻洗浄と通院で経過を見ます。完全に回復するまでに数週間から数ヶ月かかることもあり、その間は鼻洗浄を続けたり、定期的に医師の診察を受けます。仕事や学校は、手術の翌日から数日程度の休養で復帰できる場合が多いですが、激しい運動や重い荷物を持つのは数週間控えます。
生活習慣のアドバイス
- 鼻洗浄を習慣にする(医師から指示された方法で)
- アレルギーがある場合は、原因となるものを避ける(ペットの毛、花粉、カビなど)
- 禁煙・受動喫煙を避ける
- 十分な睡眠とストレス管理で免疫力を保つ
- 乾燥した季節はマスクや加湿器を活用する
食事と運動
特に制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけ、体調を整えましょう。術後1~2週間は激しい運動を避け、ウォーキングなど軽い運動から始めます。鼻をかむときは強くかまず、優しく行ってください。
精神的健康と心の健康
慢性的な鼻づまりや匂いがわからない状態は、生活の質を下げ、イライラや気分の落ち込みにつながることがあります。手術後は症状が改善し、気分が良くなる方も多いですが、改善まで時間がかかる場合もあります。焦らず、家族や医師に相談しながら治療を続けてください。
予防
副鼻腔炎そのものを完全に予防するのは難しいですが、鼻の健康を保つことでリスクを減らせます。アレルギーや風邪をこじらせないこと、喫煙を避けること、適切な鼻洗浄が予防につながります。
ワクチン
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、副鼻腔炎の原因となる感染症を予防するのに役立つ場合があります。かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特に定期的な検診は推奨されていませんが、慢性副鼻腔炎のリスクが高い方(アレルギー性鼻炎や喘息がある方)は、年に一度は耳鼻咽喉科で鼻の状態をチェックしてもらうと良いでしょう。
合併症
治療しない場合
- 慢性副鼻腔炎が長引くことで嗅覚が戻らなくなる
- 副鼻腔の炎症が目の周りや脳に広がる(眼窩内合併症や頭蓋内合併症)
- 鼻茸が大きくなり、鼻づまりが悪化して睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
- 慢性的な炎症による粘膜のポリープ化や骨の肥厚
長期的な見通し
FESS手術後、多くの方で症状が大きく改善します。特に鼻づまりや顔の痛み、後鼻漏は改善しやすいです。嗅覚は手術だけで完全に戻るとは限りませんが、徐々に改善することもあります。術後も鼻洗浄や薬の継続、定期的な通院が必要な場合がありますが、適切なケアを続ければ再発を防ぎやすくなります。医師と一緒に治療方針を決め、不安や疑問は遠慮なく相談しましょう。
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- 日本耳鼻咽喉科学会 · 日本
- 厚生労働省 · 日本
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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