扁桃の手術を受ける前に知っておきたいこと
概要
扁桃(へんとう)は、のどの奥にある小さな器官で、体に入ってくる細菌やウイルスから守る働きがあります。扁桃の手術(扁桃摘出術、へんとうてきしゅつじゅつ)は、この扁桃を手術で取り除くことです。大きく腫れすぎて生活に支障がある場合や、何度も炎症を起こす場合などに行われます。
重要な事実
- 扁桃の手術は、日本では小児から大人まで幅広い年代で行われている一般的な手術です。
- 手術は全身麻酔(ぜんしんますい)で行われることが多く、眠っている間に終わります。
- 入院期間は1泊から数日程度で、術後2週間ほどでのどの痛みが続くことがあります。
- 手術後は、のどの痛みや違和感を和らげるために、食事や生活の工夫が大切です。
扁桃の手術は、日本でもよく行われている手術の一つです。耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の医師が、患者さんの状態に合わせて手術が必要かどうかを判断します。
扁桃の手術は、特に小児期から思春期の子どもに多いですが、大人になってから受ける方もいます。のどの感染症を繰り返す方や、睡眠時無呼吸(すいみんじむこきゅう)がある方、扁桃が大きすぎて食事や呼吸に問題がある方などが対象になります。
症状
- 手術後にのどから大量に出血する(鮮紅色の血が出る)
- 呼吸が苦しくて息ができない
- 意識がもうろうとする
- 血を吐く
- ⚠手術後の痛みが強すぎて水分もとれない
- ⚠高熱が続く(38度以上)
- ⚠のどの腫れや痛みが急にひどくなる
- ⚠傷口が腫れて化膿しているような感じがする
一般的な症状
- のどの痛みがしばしば続く
- 高熱を伴うのどの炎症を繰り返す
- 扁桃が腫れて大きくなり、飲み込みにくい
- いびきがひどい、寝ている間に呼吸が止まる
- のどに膿(うみ)がたまる
子供の症状
- のどの痛みで食事や水分がとれない
- いびきや口呼吸が目立つ
- 扁桃が大きくて、のどが詰まった感じがする
- 夜中に咳き込んで目を覚ます
- 聞こえにくさや耳の痛みを訴えることもあります
高齢者の症状
- のどの違和感や痛みが長く続く
- 食べ物が飲み込みにくくなってきた
- 声のかすれが続く
- 片側だけのどが腫れる
- 原因不明の微熱や体重減少がある場合は、すぐに医師へ相談してください
原因
主な原因
- 扁桃炎(へんとうえん)を繰り返す
- 扁桃の周りに膿がたまる(扁桃周囲膿瘍、へんとうしゅういのうよう)
- 扁桃が大きすぎて睡眠時無呼吸を引き起こす
- のどの腫瘍やがんの疑いがある場合
リスク要因
- のどの感染症になりやすい体質
- 免疫力が低下している状態(疲労やストレスなど)
- 睡眠時無呼吸症候群のリスクがある
- 家族や身近な人に扁桃炎を繰り返す人がいる
- 喫煙や飲酒(大人の場合、のどの負担を増やします)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどの痛みが強く、水も飲めない
- 息苦しさや呼吸の異常を感じる
- のどや首が急に腫れてきた
- 高熱が続く
- 手術後、出血や激しい痛みがある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 1年に数回以上、扁桃炎を繰り返す
- いびきがうるさく、途中で呼吸が止まるのを家族に指摘された
- のどに違和感やしこりが長くある
- 扁桃が大きいことで食事や睡眠に支障がある
診断
医師がのどを直接見て扁桃の大きさや炎症の程度を確認します。症状やこれまでの病歴も詳しく聞かれます。手術が必要かどうかを判断するために、いくつかの検査が行われることがあります。
行われる可能性のある検査
- のどの視診・触診(医師がのどを観察し、首やあごの下を触って調べます)
- 血液検査(炎症の程度や貧血の有無を調べます)
- 扁桃表面の細菌検査(感染症の原因となる菌を確認します)
- 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は睡眠検査(ポリソムノグラフィー)
- 腫瘍やがんを疑う場合は画像検査(CTやMRIなど)や組織検査
診察で予想されること
診察はのどを観察するだけなので、特別な準備は必要ありません。検査によっては時間がかかることもありますが、医師がわかりやすく説明してくれます。不安なことはその場で質問しましょう。
治療
扁桃の手術は、炎症や症状を根本的に改善することを目的としています。手術が初めの選択肢ではなく、薬や生活習慣の改善などの保存的な治療を試みてから、それでも効果がない場合に検討されることが一般的です。
自宅でのセルフケア
- のどを乾燥させないように、こまめに水分をとる
- のどへの刺激を避けるため、刺激の強い食べ物や飲み物を控える
- 十分な睡眠をとり、体を休める
- 禁煙・禁酒を心がける
- うがいは優しく行い、やりすぎない
- 室温と湿度を適切に保ち、空気を乾燥させない
医療治療
扁桃炎の治療には、抗菌薬(抗生物質)や消炎鎮痛薬など、医師が処方する薬が使われることがあります。これらの薬は感染症や炎症を抑えるために使われますが、必ず医師の指示に従って服用してください。手術は、薬での治療が十分に効果を示さない場合や、重症化するリスクが高い場合に選ばれる選択肢です。
手術が検討される場合
手術は、扁桃炎を何度も繰り返す方(例えば、1年に5回以上)、扁桃周囲膿瘍になったことがある方、睡眠時無呼吸症候群で呼吸に支障がある方、または扁桃が原因で食事や会話が困難になっている方などに検討されます。手術を受けるかどうかは、患者さんの年齢や健康状態、症状の程度を考慮して、医師が丁寧に説明した上で決まります。
この病気と共に生きる
手術後は、のどに痛みや違和感があるのが普通です。痛みは2週間ほど続くことがありますが、日々少しずつ和らいできます。術後の経過を良くするために、医師から指示された通院や処置をきちんと受けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 術後1〜2週間は激しい運動や水泳を避ける
- のどに負担がかからないよう、大声を出したり、無理に咳や痰を出すのを避ける
- 規則正しい生活を心がけ、免疫力を高める
- 医師に確認するまでは、飛行機での長距離移動やアルコール、刺激の強い食事を控える
食事と運動
術後は、刺激が少なく、やわらかくて温かすぎない食べ物を選びましょう。ゼリー、プリン、おかゆ、スープ、冷ましたうどんなどが食べやすいです。また、水分をこまめにとることで、のどの乾燥を防ぎ、回復を助けます。運動は、医師の許可が出るまでは軽い散歩程度にとどめ、体に負担がかからないようにしましょう。
精神的健康と心の健康
手術を控えると、不安や緊張を感じるのは自然なことです。特に「痛みはどれくらい続くのか」「合併症が起きないか」といった心配があると思います。それらの不安は、医師や看護師に遠慮なく相談しましょう。家族や友人に気持ちを伝えることも心の負担を減らす助けになります。リラックスできることを見つけて、気持ちを落ち着けましょう。
予防
扁桃の病気そのものを完全に予防することは難しいですが、感染症のリスクを減らすことはできます。手洗い、うがい、十分な睡眠、バランスの良い食事を心がけましょう。のどを乾燥させないことも予防に重要です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、扁桃炎の原因となりうる感染症の一部を予防する効果があります。ワクチン接種は主治医やかかりつけ医に相談して決めることをおすすめします。
検診プログラム
のどの異常や気になる症状がないか定期的に確認するために、健康診断やかかりつけ医での診察を受けることは役立ちます。ただし、扁桃の手術を受ける必要があるかどうかの検査は、耳鼻咽喉科専門医による診察の中で行われます。
合併症
治療しない場合
- 扁桃炎を繰り返すことで、日常生活や仕事・勉強に支障が出ることがある
- 扁桃周囲膿瘍を繰り返すと、のどや首の奥に炎症が広がるリスクがある
- 睡眠時無呼吸が続くと、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高める可能性がある
- まれに扁桃がんなどの重い病気が見つからないまま進行することがある
長期的な見通し
扁桃手術の成功率は高く、多くの人が手術後に症状の改善を実感しています。術後の痛みはありますが、適切にケアすれば徐々に回復し、多くの場合、2週間ほどで普段の生活に戻れます。手術を検討するときは、医師の説明をよく聞き、十分に納得した上で決めてください。
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最終更新: 2026年7月31日
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