扁桃の病気と手術のリスク・ベネフィット
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
扁桃とは、のどの奥の両側にあるリンパ組織のことで、体を細菌やウイルスから守るはたらきがあります。しかし、炎症を起こすと痛みや熱などの症状が出ることがあります。繰り返す扁桃炎や扁桃肥大に悩む人には、手術(扁桃摘出)を検討することがあります。この手術には、感染の回数を減らすなどの利点と、出血やのどの痛みなどのリスクがあります。
重要な事実
- 扁桃は免疫の役割を担いますが、年齢とともにその役割は小さくなります。
- 扁桃炎を繰り返すと、仕事や学校生活に大きな影響が出ることがあります。
- 扁桃摘出は一部の人にとって有益ですが、出血や感染などのリスクも伴います。
扁桃炎は子どもから大人までよく見られる病気です。のどの痛みで医療機関を受診する人の多くに、扁桃の炎症が見られます。
扁桃炎は特に子どもに多いですが、大人でも繰り返すことがあります。免疫の働きが未熟な幼児や学童期の子どもに多く、思春期以降は扁桃が小さくなるため、発症が減る傾向があります。
症状
- のどがふさがるような息苦しさ
- 呼吸がしにくい
- よだれが止まらない(飲み込みができない)
- 顔や首が腫れて声が変わる
- 意識がぼんやりする
- ⚠高熱が続く
- ⚠のどが痛くて水も飲めない
- ⚠のどの痛みがどんどん強くなる
- ⚠首の腫れが片側に強く出る
- ⚠扁桃に白い膿がつき、熱が続く
一般的な症状
- のどの痛み
- 飲み込むときの痛み
- 扁桃の赤みや腫れ
- 扁桃に白い膿がつくこと
- 首のリンパ節の腫れ
- 声がかすれる
子供の症状
- 高熱が出ることがある
- のどを痛がり食事を嫌がる
- 耳やおなかが痛いと訴えることがある
- いびきや睡眠時の無呼吸が見られる
高齢者の症状
- 扁桃炎自体は少ないが、のどの違和感や飲み込みにくさが出たら、別の病気の可能性も考える必要がある
- 強いのどの痛みや熱が続く場合は注意が必要
原因
主な原因
- 細菌やウイルスの感染
- 溶連菌などの細菌感染
- 過労や睡眠不足による免疫力の低下
- のどへの刺激(たばこや乾燥など)
リスク要因
- 子どもであること
- 免疫力が低いこと
- 周囲で感染症が流行していること
- のどを使いすぎる環境、または乾燥しやすい環境
- 扁桃が大きい(扁桃肥大)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く
- のどが痛くて水も飲めない
- のどの痛みがどんどん強くなる
- 首の腫れが片側に強く出る
- 扁桃に白い膿がつき、熱が続く
定期受診を予約すべき場合:
- のどの痛みが1週間以上続く
- 扁桃炎を繰り返す
- いびきや睡眠時の無呼吸を指摘された
- 扁桃の腫れや白いものが気になる
診断
医師がのどを見て、扁桃の赤みや腫れ、膿の有無を確認します。問診で症状や経過を詳しく聞きます。
行われる可能性のある検査
- のどの観察(視診)
- 血液検査(炎症の程度や感染の原因を調べる)
- のどの細菌検査(溶連菌などのチェック)
- 画像検査(必要な場合)
診察で予想されること
診察は短時間です。のどを押さえる器具を使うと少しむかむかすることがありますが、数秒で終わります。必要に応じて血液検査や細菌検査を行います。
治療
扁桃炎の治療は、原因に合わせて行います。細菌が原因の場合は抗菌薬(抗生物質)が使われることがありますが、ウイルスが原因の場合は休養と水分補給が中心です。繰り返す扁桃炎や扁桃肥大による睡眠時無呼吸などには、手術(扁桃摘出)を検討することがあります。
自宅でのセルフケア
- 十分な休養と睡眠をとる
- のどに刺激になる食べ物や飲み物を避ける
- こまめに水分を補給する
- 加湿をしてのどの乾燥を防ぐ
- うがいや手洗いをこまめにする
医療治療
医療機関では、原因に応じて抗生物質や炎症を抑える薬、鎮痛薬などが処方されることがあります。のどの痛みが強い場合は、市販のうがい薬やトローチを薬剤師に相談して使うこともあります。重症化した場合は入院して点滴などの治療を行うこともあります。薬の名前や飲み方は、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
扁桃摘出は、次のような場合に検討されます。①1年間に何度も扁桃炎を繰り返す場合 ②扁桃が大きくて飲み込みや呼吸に支障がある場合 ③睡眠時無呼吸がある場合 ④扁桃が原因で他の病気を起こしている場合。手術後はのどの痛みが1〜2週間続くことが多く、出血や感染などのリスクがあります。一方、利点としては、扁桃炎の発作が減り、生活の質が改善することが期待できます。
この病気と共に生きる
扁桃炎がよくなった後も、のどを大事にする生活を心がけましょう。手洗い・うがいを習慣にし、十分な睡眠とバランスのよい食事で免疫力を保つことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- たばこや受動喫煙を避ける
- のどの乾燥を防ぐ(加湿・マスク)
- ストレスをためない
- 感染症の流行期には人混みを避ける
食事と運動
刺激の少ない温かい飲み物や、飲み込みやすい食事をとりましょう。激しい運動は避けて、体調に合わせて動くことが大切です。扁桃摘出後の食事は、のどに負担をかけないよう医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
のどの痛みが続くと気分が落ち込むことがあります。繰り返す発作は仕事や学校を休みがちになり、ストレスになることもあります。無理をせず、必要なときは医療者に相談しましょう。
予防
扁桃炎そのものを完全に防ぐことはできませんが、感染対策と体調管理でリスクを減らせます。手洗い・うがいを徹底し、規則正しい生活で免疫力を維持しましょう。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、扁桃炎を含む呼吸器感染症の予防に役立つことがあります。予防接種についても医師に相談しましょう。
検診プログラム
扁桃に直接関係する検診はありませんが、のどの異常が続く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 扁桃炎が重症化すると、扁桃周囲膿瘍(のどの中に膿の塊ができる)を起こすことがあります
- まれに、リウマチ熱や腎臓の病気の原因となることがあります
- 扁桃肥大がひどいと、睡眠時無呼吸や発育に影響することがあります
長期的な見通し
扁桃の病気は適切な治療で多くの場合よくなります。手術が必要な人でも、術後の経過は良好で、多くの人がのどの痛みや発作の回数に悩まなくなり、生活の質が向上します。医師とよく相談して、自分に合った治療を選ぶことが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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