成人の扁桃摘出術
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
扁桃摘出術(へんとうてきしゅつじゅつ)とは、のどの奥にある扁桃(へんとう)というリンパの組織を手術で取り除くことです。扁桃は体を守る役割をしていますが、大人になると何度も炎症を起こすなどして問題になることがあります。
重要な事実
- 大人の扁桃摘出術は、子どもより回復に時間がかかることがあります。
- 手術は全身麻酔で行われ、ほとんどの場合、入院が必要です。
- 術後はのどの痛みが数日続きますが、適切なケアで和らげられます。
大人の扁桃摘出術は、子どもの頃に比べると頻度は減りますが、繰り返す扁桃炎や睡眠時無呼吸などの治療のために行われることがあります。厚生労働省の統計では、年間数千件程度実施されています。
主に20代から40代の成人に見られますが、どの年齢でも行われる可能性があります。特に、扁桃炎を年に数回以上繰り返す方や、扁桃が大きすぎて呼吸や飲み込みに支障がある方に適応となります。
症状
- のどが完全にふさがれて息ができない
- 呼吸が速くて浅い、または息を吸うときに胸や首がひどくへこむ
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- ⚠高熱(39度以上)が続いて水分が取れない
- ⚠のどの痛みがひどくて唾液さえも飲み込めない
- ⚠扁桃の片側だけが急に大きく腫れて痛む(扁桃周囲膿瘍の可能性)
一般的な症状
- のどの痛み(特に飲み込むとき)
- 扁桃の腫れや赤み
- 発熱(38度以上の高熱が出ることも)
- のどに白い膿(うみ)のようなものが付着する
- 首のリンパ節の腫れや痛み
子供の症状
- イライラして泣きやすくなる
- 食欲が落ちる、飲み込みを嫌がる
- いびきや睡眠中の呼吸の乱れ
高齢者の症状
- のどの痛みが強く出にくい場合がある
- 全身のだるさや食欲不振が目立つ
- 手術後の回復に時間がかかりやすい
原因
主な原因
- 扁桃摘出術が勧められる主な理由は、繰り返す扁桃炎(年間3回以上、特に重症のもの)や、扁桃が大きすぎて睡眠時無呼吸を引き起こす場合です。
- そのほか、扁桃周囲膿瘍(膿がたまる)を繰り返す、または抗生物質が効きにくい感染症がある場合も手術を検討します。
- まれに、扁桃にできた腫瘍(できもの)の診断や治療のために摘出することもあります。
リスク要因
- 扁桃炎を繰り返す体質(遺伝的要因もあると考えられています)
- 免疫力の低下(ストレスや疲労、他の病気など)
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があると、のどに炎症が起こりやすい
- 喫煙や過度の飲酒もリスクを高める可能性があります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどの痛みが非常に強く、水分も飲めない
- 高熱が3日以上続く
- 扁桃の腫れが急に悪化して呼吸が苦しい
定期受診を予約すべき場合:
- 扁桃炎を年に3回以上繰り返す(特に日常生活に支障が出る場合)
- いびきが大きく、睡眠中に呼吸が止まる(と家族に指摘される)
- のどの違和感や飲み込みにくさが長期間続く
診断
医師がのど(口腔)を診察し、扁桃の大きさや炎症の程度、膿の有無などを確認します。また、症状や発熱の頻度について詳しく問診します。
行われる可能性のある検査
- のどの診察(視診、触診)
- 血液検査(炎症の程度や感染の原因を調べる)
- のどぬぐい検査(細菌の種類や薬の効きやすさを調べる)
- 睡眠時無呼吸が疑われる場合は、睡眠検査(ポリソムノグラフィー)を行うこともあります
診察で予想されること
診察は数分で終わり、痛みを伴うことはほとんどありません。のどぬぐい検査では、綿棒でのどを軽くこするため、一瞬むせることがありますが、すぐに終わります。必要に応じて、耳鼻咽喉科(耳鼻科)の専門医を紹介されることもあります。
治療
扁桃の炎症(扁桃炎)の治療は、まず薬や安静などの保存的治療(手術をしない治療)が行われます。繰り返す場合や重症の場合に、扁桃摘出術(手術)が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 安静をとり、十分な睡眠を確保する
- 水分をこまめに摂る(冷たい飲み物やぬるめの飲み物がのどに優しい)
- 痛みがあるときは、のどに刺激の少ない柔らかい食べ物(ゼリー、おかゆ、スープなど)を選ぶ
- 加湿器などで部屋の湿度を保ち、のどの乾燥を防ぐ
- 禁煙・節酒を心がける
医療治療
扁桃炎の治療には、痛みや熱をやわらげる薬や、細菌感染を抑える薬が使われます。これらは医師の指示に従って服用してください。自分で薬を選んだり、用量を変えたりしないでください。扁桃周囲膿瘍などの合併症がある場合は、膿を針で抜く処置が必要になることもあります。
手術が検討される場合
扁桃摘出術は、保存的治療(薬や安静)で効果が不十分な場合や、次のような状況で検討されます:年間3回以上の重症扁桃炎、扁桃周囲膿瘍の繰り返し、睡眠時無呼吸、または薬が効きにくい耐性菌の感染。手術は通常、全身麻酔下で行われ、1~2日程度の入院が必要です。術後の痛みは強いことが多いですが、痛み止めや適切なケアで乗り切れます。完全に回復するまでには2~3週間かかります。
この病気と共に生きる
扁桃摘出術後は、のどの痛みがしばらく続きます。特に飲み込むときの痛みが強いため、食事は柔らかく冷たいもの(アイスクリームやゼリーなど)から始めると楽です。痛み止めをきちんと使い、無理をしないことが大切です。出血のリスクがあるので、激しい運動やうがいは手術後1~2週間は避けてください。
生活習慣のアドバイス
- 術後1週間は安静第一。仕事や家事は控えめに
- のどを清潔に保つため、医師の指示に従ってうがいをする(ただし強くしない)
- 水分をこまめに取り、乾燥を防ぐ
- 大きな声を出したり、咳を強くしたりしないように注意する
- 出血に気をつけ、もし口から血の混じった痰が出たらすぐに医療機関に連絡する
食事と運動
術後は、のどを刺激しない食事が基本です。冷たくて滑らかなもの(プリン、ヨーグルト、冷たいスープなど)から始め、痛みが和らぐにつれて柔らかいご飯やうどんなどに移行します。熱いものや辛いもの、硬いものは避けてください。運動は、医師の許可が出るまでは軽い散歩程度にとどめ、激しい運動は少なくとも術後2週間は控えましょう。
精神的健康と心の健康
手術後の痛みや食事制限は、気分を落ち込ませることがあります。特に大人は仕事や家事の負担からストレスを感じやすいです。無理せず休むこと、家族や友人に助けを求めることが大切です。ほとんどの方は数週間で元の生活に戻れます。もし不安や悲しみが長く続くようであれば、医師やカウンセラーに相談してください。
予防
扁桃炎そのものは完全には予防できませんが、手術が必要なほどの重症化や再発を減らすことはできます。日頃から免疫力を保つ生活(十分な睡眠、バランスの良い食事、ストレス管理)を心がけ、のどを清潔にしましょう。扁桃摘出術を受けた後は、扁桃炎は起こりませんが、咽頭炎(のどの奥の炎症)はありえます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、のどの感染症を予防するのに役立つ場合があります。特に扁桃炎を繰り返す方は、季節性インフルエンザワクチンを毎年接種することを検討してください。ただし、ワクチンで扁桃炎を完全に予防できるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
検診プログラム
扁桃炎のスクリーニング検査は一般的には行われません。ただし、いびきや睡眠時無呼吸が疑われる場合は、睡眠検査が勧められることがあります。定期的な耳鼻科検診は、症状がない方には特に必要ありませんが、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 扁桃炎を繰り返すと、扁桃周囲膿瘍(のどの奥に膿がたまる)に進むことがあります。
- 重症の感染症が全身に広がり、敗血症(血液中に細菌が入る)などの生命にかかわる状態になる危険性があります。
- 扁桃が大きいと、睡眠時無呼吸が悪化し、高血圧や心臓病のリスクが高まることがあります。
長期的な見通し
扁桃摘出術は、多くの方で扁桃炎の再発を劇的に減らし、生活の質を向上させることができます。術後の痛みは一時的で、ほとんどの方は2~3週間で通常の生活に戻れます。まれに術後出血などの合併症もありますが、適切なケアで対処可能です。手術を勧められた場合でも、医師とよく話し合い、自分の状態に合った治療を選ぶことが大切です。希望を持って回復に臨みましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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