一時的な高血糖(糖尿病のような状態)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「糖尿病が来たり来なかったりする」というのは、正式な病名ではありません。血糖値(血液中のブドウ糖の量)が一時的に高くなって、糖尿病と同じような状態になることがある、という意味です。これは、病気やけが、強いストレス、妊娠、特定の薬の影響で起こることがあります。原因が治まれば血糖値は正常に戻ることが多いですが、将来、本当の糖尿病になるリスクが高いというサインでもあります。
重要な事実
- 血糖値は一時的に上がっても、原因がなくなれば下がることがあります。
- 一時的な高血糖でも、けっして油断はできません。将来の糖尿病の警告と考えましょう。
- 妊娠中に起こる一時的な高血糖は「妊娠糖尿病」と呼ばれ、母子の健康に影響するため注意が必要です。
はい、よくあります。特に、入院中の患者さんや妊娠中の女性には、一時的に血糖値が高くなることがあると言われています。
糖尿病の家系の人、太り気味の人、妊娠中の女性、病気やけがで体に強い負担がかかっている人、特定の薬(特にステロイドの飲み薬や注射薬)を使っている人に、起こりやすいとされています。
症状
- 意識がもうろうとして呼びかけに反応しない
- 呼吸が深くて速い、またはアセトン(甘酸っぱい)の息がする
- 激しい腹痛や吐き気が続き、水も飲めない
- ⚠血糖値が非常に高いまま数時間続く
- ⚠嘔吐や下痢が続いて水分がとれない
- ⚠高齢者や子どもで元気がなく、ぐったりしている
一般的な症状
- のどが異常に渇く
- トイレ(尿)の回数が増える
- だるさや疲れを感じる
- 食事をしているのに体重が減る
- 目がかすむ(ぼやけて見える)
子供の症状
- 子どもでは、おねしょが急に増えることがあります。
- 元気がない、機嫌が悪い、といった変化が見られます。
- 食べているのに体重が増えない、または減ってしまうこともあります。
高齢者の症状
- 高齢者では「のどが渇く」と感じにくいため、脱水に気づかれないことがあります。
- ぼんやりする、混乱する、意識がもうろうとするなど、認知症のような症状が出ることがあります。
- 転びやすくなる、尿失禁が増えるといった症状も見られます。
原因
主な原因
- 感染症や手術、けがなどで体に強いストレスがかかると、血糖値を上げるホルモンが多く出ます。
- 妊娠中は、胎盤から出るホルモンの影響で、インスリン(血糖を下げる働きを持つホルモン)が効きにくくなることがあります。
- ステロイドなどの特定の薬が血糖値を上げることがあります。
- まれに、膵臓(すいぞう)の調子が一時的に悪くなることで起こることもあります。
リスク要因
- 糖尿病の家族(親、兄弟姉妹)がいる
- 太り気味、または肥満である
- 運動不足の生活をしている
- 高血圧や脂質異常症(血液中の脂肪が多い状態)がある
- 妊娠中である
- ステロイド薬など血糖に影響する薬を使っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどが異常に渇く、トイレがとても近い、体重が急に減るなどの症状が続く
- 妊娠中で、健診で血糖値が高いと言われた
- 家で測った血糖値が何度も高めにでる
定期受診を予約すべき場合:
- 糖尿病の家族がいる、太り気味などのリスクがある場合、健康診断で血糖値が「境界型」(正常と糖尿病の間)と言われたことがある人は、定期的に検査を受けましょう。
- 生活習慣(食事、運動、睡眠)を見直すため、医師や看護師、管理栄養士に相談しましょう。
診断
医師が血液検査や尿検査を行い、血糖値の状態を確認します。糖尿病を診断する基準では、日によって血糖値が上がったり下がったりする場合、まずは再検査をして確認します。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値(10時間以上何も食べずに測る血糖値)
- HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー):過去1〜2か月の平均的な血糖値を反映する検査
- 経口ブドウ糖負荷試験:ブドウ糖の液を飲んだ後に血糖値がどう変わるかを調べる検査
- 尿検査:尿の中に糖やケトン体(脂肪が分解されるときに出る物質)が出ていないかを調べる検査
診察で予想されること
診断のためには、血液検査などが必要です。検査の前に一定時間食事を控えるなど、準備が必要な場合があります。医師の指示に従ってください。結果によっては、数か月後に再検査することもあります。
治療
治療の基本は、血糖値を上げている原因に対応することです。感染症やけがが治れば、血糖値も自然に正常に戻ることが多いです。妊娠中の方は産科と専門医が連携して管理します。一時的な高血糖でも、そのまま放っておくと、将来、本格的な糖尿病に移行することがあるため、生活習慣の改善が大切です。
自宅でのセルフケア
- 食事は野菜や海藻、きのこ、豆類を先に食べ、ご飯やパンなどの糖質をとりすぎないようにする
- ウォーキングなどの有酸素運動を、医師に相談しながら無理のない範囲で毎日続ける
- 体重が増えすぎている場合は、適正体重を目標に少しずつ減らす
- アルコールは控えめにし、タバコを吸っている人は禁煙を検討する
- 高すぎる血糖値を防ぐため、こまめに水分をとる(医師に指示された場合は除く)
医療治療
医師が血糖値を下げるための薬を必要と判断した場合は、飲み薬や注射薬(インスリン製剤を含む)が処方されることがあります。ただし、具体的な薬の名前や用量は医師が個々の状態に合わせて決めるため、自分で判断せずに必ず医師の指示に従ってください。妊娠中の方は、胎児への影響を考慮して、特に安全な治療法が選ばれます。
手術が検討される場合
なし
この病気と共に生きる
一時的な高血糖だった人も、その後も生活習慣に注意を続けることが大切です。糖尿病ではないからといって、以前のような食べ方や運動不足の生活に戻ると、再び高血糖になるリスクが高まります。定期的に血糖値やHbA1cをチェックし、医師のフォローアップを受けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 1日3食、規則正しく食べる
- 野菜から食べる習慣をつける
- 食後に少し歩く
- 睡眠をしっかりとり、ストレスをためない
- 血圧やコレステロールの管理も糖尿病の予防につながる
食事と運動
食事は、ご飯・パン・麺類などの糖質をとりすぎないようにし、たんぱく質や野菜をバランスよくとりましょう。運動は1日30分程度の早歩きが目安ですが、無理をせず、医師や管理栄養士に相談しながら始めると安心です。
精神的健康と心の健康
血糖値が高いと診断されると、不安や心配になるのは自然なことです。「自分は糖尿病になってしまうのか」という恐怖を感じる人もいます。しかし、一時的な高血糖は生活の見直しによって改善できる可能性があります。うつや強い不安を感じる場合は、一人で抱え込まずに医師や看護師、臨床心理士に相談してください。
予防
一時的な高血糖のすべてを予防できるわけではありませんが、普段からバランスの良い食事、適度な運動、適正体重を維持することで、血糖値の急上昇を防ぎやすくなります。特に、妊娠中の方は、産科の医師の指導に従って体重管理をすることが大切です。
ワクチン
なし
検診プログラム
健康診断では、空腹時血糖値やHbA1cの検査を受けることができます。糖尿病の家族がいる人や、35歳以上で太り気味の人は、年に1回は血糖値をチェックすることをお勧めします。妊娠中は、妊娠24週ごろを目安に血糖の検査(妊娠糖尿病のスクリーニング)が行われます。
合併症
治療しない場合
- 一時的な高血糖が繰り返し起こり、やがて本格的な糖尿病に進むことがある
- 血管が傷つきやすくなり、将来、心臓病、脳卒中、腎臓病(腎症)、目の病気(網膜症)などの合併症のリスクが高まる
- 妊娠中の高血糖がコントロールされないと、流産・早産・巨大児(大きすぎる赤ちゃん)のリスクが上がる
- 感染症にかかりやすくなる(膀胱炎、歯周病など)
長期的な見通し
一時的な高血糖は、正しく対応すれば血糖値を正常に戻し、将来の糖尿病を予防できる可能性があります。生活習慣を改善し、定期的に検査を受けることで、合併症のリスクを大きく減らすことができます。不安なことがあれば、医療者に相談しながら一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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