糖尿病と疲れ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血液中の糖(ブドウ糖)が多くなりすぎる病気です。体の中では、エネルギーをつくるために糖が必要ですが、インスリンというホルモンの働きが十分でないと、糖がエネルギーとして使われにくくなります。すると体はうまく働けず、疲れやだるさを感じることがあります。ここで説明する「疲れ」は、糖尿病の影響で起こる可能性のある一つの症状です。
重要な事実
- 疲れは糖尿病の一般的な症状の一つです。
- 血糖値が高い状態が続くことや、低血糖・睡眠の問題・気分の落ち込みなど、さまざまな原因が重なって起こります。
- 疲れの原因を医療者といっしょに探せば、対処できることが多くあります。
- 糖尿病と疲れには、食事・運動・睡眠・ストレスケアなど日々の生活が深く関係しています。
はい。糖尿病の方は、疲れやすさやだるさを感じることが少なくありません。特に血糖コントロールが安定していない時期に、疲れを強く感じる人が多くいます。
1型・2型どちらの糖尿病でも起こりえます。血糖値の管理に不安がある方、インスリン注射やほかの治療を始めたばかりの方、睡眠不足のある方、糖尿病の合併症がある方は、疲れを感じやすい傾向があります。
症状
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとする(この場合はすぐに119番に電話)
- 呼吸が速く、深くなる
- 吐き気や嘔吐が続く
- 強い腹痛がある
- 異常な口の渇きと頻尿が急に出る
- 冷や汗や震えに加えて、意識がもうろうとする
- けいれんがある
- ⚠疲れが強く、食事や水分が取れない
- ⚠発熱や下痢など感染症を疑う症状がある
- ⚠血糖値が急に高くなったり低くなったりする(自己測定できる場合)
- ⚠手足のしびれ、視界の変化、胸の痛みがある
一般的な症状
- 長く続くだるさ、体が重い感じ
- 十分に睡眠をとっても疲れが抜けない
- 集中力が続かない
- 日中の強い眠気
- 少し動くだけで息が上がる
- 朝、起きるのがつらい
- イライラしやすい
子供の症状
- 以前より疲れやすくなる
- 元気がなく学校でぼんやりする
- 異常にのどが渇く
- おしっこの回数が多い
- 食事をとっているのに体重が減る
高齢者の症状
- 活動量が減り、一日中横になって過ごす
- 筋力が落ちて歩くのが不安定になる
- 水分をとるのを忘れて脱水になりやすい
- 物忘れや意欲の低下が目立つ
原因
主な原因
- 血糖値が高い状態が続くと、血液がドロドロになり、体の細胞がエネルギーを十分に使えない
- 血糖値が低くなる時間帯がある(低血糖)
- 睡眠時無呼吸症候群など、眠りの質を下げる問題
- 気分の落ち込みや不安などの心理的なストレス
- 甲状腺の病気や貧血など、糖尿病とは別の病気を合併している
- 腎臓・神経・心臓などに糖尿病の合併症が出ている
リスク要因
- 血糖コントロールが安定しない
- 運動不足
- 睡眠不足・不規則な生活
- 強いストレス
- 感染症にかかった後
- 糖尿病の薬やインスリンの量が体に合っていない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 疲れが強く、日常生活がほとんど送れない
- 急な体重減少がある
- のどの渇きやトイレの回数が極端に増えた
- 低血糖のような症状(冷や汗、震え、強い空腹感)を何度も起こす
定期受診を予約すべき場合:
- いつもの疲れが最近ひどくなった
- 血糖の記録が乱れているのに原因がわからない
- 睡眠をとっても疲れが取れない状態が続く
- 気分の落ち込みが長引く
診断
疲れの原因を診断するには、まず医師が症状の様子や生活習慣を詳しく聞きます。糖尿病の状態を把握するために血液検査や尿検査を行い、必要に応じてほかの病気が隠れていないかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 血糖値の測定(いつもの血糖の状態を確認)
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す検査
- 尿検査(尿糖やたんぱくの有無)
- 血液検査(腎臓・肝臓・甲状腺の働き、貧血の有無など)
- 睡眠の状態を問診や質問票で評価
診察で予想されること
診察では、疲れが始まった時期、きっかけ、睡眠や食事の様子も聞かれます。血糖の自己測定をしている人は、測定値を一緒に見ながら話し合います。すぐに原因が決まることもあれば、数週間の記録が必要なこともあります。
治療
治療の中心は、血糖値を安全な範囲に近づけることです。ただし、疲れの原因は血糖値だけとは限らないため、睡眠、食事、運動、気分、ほかの病気なども含めて、一人ひとりに合った計画をつくります。
自宅でのセルフケア
- 食事は1日3食、できるだけ規則正しくとる
- 水分をこまめにとる(医師から制限されている場合は指示に従う)
- 無理のない範囲で軽い運動(散歩など)を続ける
- 就寝時間と起床時間を整える
- 昼間に短い休息を取り入れる
- 血糖値の記録をつけ、体調との関係を観察する
医療治療
医師は、糖尿病の状態や合併症の有無に合わせて、血糖をコントロールするための薬やインスリン治療を検討します。薬の種類や量は、その人の食事、運動、腎臓の状態などによって細かく調整されます。必ず医師の指示に従い、自己判断で止めたり増やしたりしないでください。疲れの原因が別の病気にある場合は、その病気への治療も行われます。
手術が検討される場合
疲れそのものを治すための手術は通常ありません。ただし、糖尿病の合併症(例えば目の病気や血管の問題)が原因で、治療の一環として手術が必要と判断されることはあります。その場合は、担当医がメリットとリスクを十分に説明します。
この病気と共に生きる
疲れには波があるのが自然です。調子のよい日とよくない日の差を気にしすぎず、「今日は休む日」と決めることも大切です。血糖値と疲れの関係をメモに残すと、自分に合う対処法が見つかりやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を最優先にする
- 寝る前にスマートフォンを遠ざける
- 食後に10分ほど歩く
- ストレスを話せる人をもつ
- 歯や足など、体の小さな変化もチェックする
食事と運動
食事は、野菜から食べ始める、よく噛む、食べる順番を工夫することで、血糖の上がり方をゆるやかにできることがあります。管理栄養士に相談して、無理なく続けられる献立を見つけましょう。運動は、医師に確認したうえで、ウォーキングなどの有酸素運動を週に数回、息がはずむ程度で行うのが目安ですが、体調に合わせて調節してください。
精神的健康と心の健康
疲れが続くと、「何もできない」「周りに迷惑をかけている」と感じることもあります。糖尿病は気分にも影響を与えることがあります。眠れない、興味がわかない、涙が出るなどの状態が続くときは、一人で抱えずに医師に相談しましょう。万一、命を絶ちたい気持ちが浮かんだら、すぐに119番を呼ぶか、かかりつけ医または地域の精神保健福祉センターに相談してください。
予防
糖尿病そのものを完全に防げるとは限りませんが、疲れの悪化は予防できる可能性が高いです。血糖の記録を見直し、睡眠を大切にし、無理をしない生活を心がけることで、つらさを軽くすることができます。
ワクチン
感染症にかかると血糖が乱れやすくなり、疲れが強くなることがあります。どの予防接種が自分に必要かは、かかりつけ医に相談して決めましょう。
検診プログラム
症状がなくても、健康診断や医療機関での定期的な血液検査で血糖値やHbA1cをチェックすることが大切です。厚生労働省の特定健診・特定保健指導の制度を利用できる場合は、ぜひ活用してください。
合併症
治療しない場合
- 疲れのために活動量が減り、血糖コントロールがさらに悪くなる
- 高血糖の状態が続き、神経・腎臓・目の病気などの合併症リスクが高まる
- 低血糖を繰り返すと、意識障害や転倒・事故のリスクが高まる
- 気分の落ち込みが続き、うつ状態になりやすくなる
- 合併症が見つかるのが遅れて、治療が難しくなる
長期的な見通し
疲れの原因は、ひとつではないことがほとんどです。しかし、医療者と一緒に原因をひとつずつ確かめ、生活を見直すことで、多くの人は疲れをやわらげることができます。完璧を目指す必要はありません。小さな改善を積み重ねることが、少しずつ楽になる道につながります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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