耳の不調と吐き気
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
耳の不調(耳の痛み、聞こえにくさ、めまいなど)に、吐き気やおう吐がともなうことをまとめて「耳の症状と吐き気」と呼んでいます。多くは内耳(耳のいちばん奥にある、からだのバランスを感じる部分)のトラブルが原因で、めまいとセットで起こります。吐き気は、内耳がからだの「バランスがおかしい」という信号を脳に送ることで、胃が反射的に反応して起こるものです。
重要な事実
- 内耳(うちじ)は、音を感じるだけでなく、からだのバランスを保つ役割も持っています。
- 吐き気は、内耳から送られる「めまい」の信号にからだがついていけずに起こる反射反応です。
- 原因は様々で、風邪のあとの一時的なものから、治療が必要な病気まであります。
- 多くの場合、適切な診察と対処で改善が期待できます。
はい、とてもよくある症状です。クリニックや病院で「めまいと吐き気」をともなう耳のトラブルを相談する人は、大人を中心に少なくありません。
大人に多く見られますが、子どもや高齢者にも起こります。特に高齢者は、めまいで転倒しやすくなるため注意が必要です。
症状
- 突然、激しいめまいや吐き気とともに、ろれつが回らない、顔や手足のしびれ、力が入らない
- 片目が見えない、物が二重に見える
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 高熱とともに首が硬く動かせない
- 致命的な症状が疑われるため、すぐに119番に電話してください
- ⚠急に聴こえが悪くなった(突発性難聴の可能性)
- ⚠吐き気やおう吐が強くて水も飲めない
- ⚠耳から血やうみのようなものが流れる
- ⚠激しい耳の痛みが続く
- ⚠立っていられないほどの強いめまい
一般的な症状
- 耳の痛み、耳がつまった感じ
- 聞こえにくさ、耳鳴り
- めまい(ぐるぐる回る感じ、ふわふわする感じ)
- 吐き気、おう吐
- ふらつき、立っているのがつらい
子供の症状
- 耳をさわる、引っ張る
- 熱がある
- 吐き気やおう吐
- 元気がない、ぐずる
- バランスが悪く転びやすい
高齢者の症状
- めまいでふらつき、転倒しやすくなる
- 吐き気だけでなく、食欲の低下や脱水が見られることも
- 聞こえの変化で会話がしにくくなる
- バランスの不安から外出をおっくうに感じることも
原因
主な原因
- 内耳の炎症(かぜなどのウイルス感染がきっかけ)
- メニエール病(内耳に水分がたまり、めまいや聴力の変化をくり返す)
- 耳石(バランスを感じる小さな粒)の位置がずれることによる良性発作性頭位めまい症
- 中耳炎(耳の奥の炎症)
- 耳あかや異物が耳の穴に詰まること
- 強いストレスや疲れ
- 特定の薬の影響や、ヒトのからだが原因不明でバランス機能が乱れること
リスク要因
- かぜやインフルエンザなどの感染症にかかったことがある
- 強いストレスや睡眠不足が続いている
- 高齢でバランス機能が低下している
- 大きな騒音のある環境で働く
- 家族に同じようなめまいの経験者がいる
- 塩分をとりすぎる食生活(メニエール病の悪化要因のひとつ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に聞こえにくくなった
- 強いめまいと吐き気で歩けない
- 激しい耳の痛みがある
- 耳から血やうみが出る
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の痛みや聞こえにくさが2〜3日続く
- 軽いめまいや吐き気がたびたび起こる
- 耳鳴りや耳のつまりが気になる
診断
耳鼻科の医師が、あなたの症状の始まりや種類を丁寧に聞き、耳の内部を観察したり、簡単なバランスのテストをしたりして診断します。吐き気やめまいには耳以外の原因もあるため、必要に応じて他の診療科と連携します。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡(じきょう)で耳の穴や鼓膜を見る検査
- 聴力検査(音がどのくらい聞こえているかを調べる)
- バランス機能の検査(目を開けたままや閉じたまま立つなど)
- 頭の位置を変えてめまいが起こるかを確認する検査
- 必要に応じて、CTやMRIなどの画像検査
診察で予想されること
診察では、どのような時にめまいが起こるか、吐き気の程度はどうか、最近の風邪や薬の使用などについて質問されます。痛みをともなう検査や、体に負担がかかる大きな検査はほとんどありませんので、安心してください。
治療
治療の目的は、原因となっている耳の病気を治すことと、めまい・吐き気のつらい症状をやわらげ、日常生活を安全に送れるようにすることです。原因に合わせて、薬による治療、耳のケア、症状を引き起こす頭の動きを減らすリハビリテーションなどを組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- めまいが起きたときは、無理に動かず、安全な場所に座るか横になって休む
- 急に立ち上がったり、頭を激しく動かしたりしない
- 吐き気が強いときは、少しずつゆっくり水分をとる
- 暗くて静かな部屋で目を閉じて休む
- 症状がおさまるまで、車の運転や高い場所での作業はしない
医療治療
医師は、めまいや吐き気を抑える薬、内耳の炎症をしずめる薬、水分のバランスを整える薬などを、あなたの状態に合わせて処方することがあります。また、めまいの原因が炎症の場合には、炎症をおさえる治療が行われることもあります。くすりの種類や量は医師が決めるものです。市販薬を自己判断で使わず、必ず指示に従ってください。
手術が検討される場合
まれに、薬では治らない中耳炎や、メニエール病の症状が重い場合、また内耳に問題がある場合には、手術が検討されることがあります。手術はすべての人に必要なわけではなく、耳鼻科の専門医とよく相談したうえで決めます。
この病気と共に生きる
めまいや吐き気が続く間は、普段の動きをゆっくりにし、家の中でも手すりをつかう、夜間は足元を明るくするなど、転ばない工夫をしましょう。症状のない日でも、無理をせず、十分な休息をとることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- ストレスを上手に発散する
- めまいのきっかけになる、急な首の動きや高いところを避ける
- 車の運転や危険な作業は、めまいの時期は避ける
- 耳の掃除のやりすぎに注意し、耳鼻科の指導に従う
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、特にメニエール病の可能性がある場合は塩分を控えめにすることがすすめられます。また、めまいが落ち着いた後は、医師や理学療法士の指導のもとで、転倒を防ぐためのバランス運動やウォーキングを無理のない範囲で取り入れると良いでしょう。
精神的健康と心の健康
めまいや吐き気は予測できない形で起こることがあり、不安や恐怖、仕事や外出へのおそれが続くと、気分の落ち込みにつながることもあります。そうした感情は自然な反応ですが、ひとりで抱え込まず、家族や友人、医療者に話すことが大切です。
予防
すべての耳の病気と吐き気を予防することはできませんが、かぜなどの感染症対策(手洗い・うがい)、十分な睡眠、バランスのよい食事、ストレスをためない生活は、発症リスクを下げることに役立ちます。また、めまいが起きたあとに無理をすると再発しやすいため、しっかり休むことも予防のひとつです。
ワクチン
かぜやインフルエンザなどの感染症が内耳の炎症のきっかけになる場合があります。予防接種が役立つこともあるため、体調や年齢にあわせて医師や保健センターに相談してみましょう。
検診プログラム
特に症状がなくても、年に一度の健診で問診や聴力のチェックを受けることが勧められます。難聴やバランスの低下は、早期に見つけることで対策が立てやすくなります。
合併症
治療しない場合
- めまいによる転倒で骨折やケガをすることがある
- 吐き気が続いて水分がとれず、脱水になる
- 放置すると聞こえが悪くなったまま、もとに戻らないことがある
- 仕事や家事、運転などに支障が出る
- 症状が続いて不安やうつ状態になることがある
長期的な見通し
多くの場合、適切な診断と治療を受ければ症状は次第に軽くなり、めまいや吐き気もやわらいでいきます。治るまでに時間がかかる人でも、医師と相談しながら生活を工夫することで、安心して過ごせることがほとんどです。希望を持って、無理のないペースで治療を続けましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。