上がったり下がったりする血糖値 ― 高血糖と低血糖の理解と対処
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の量のことです。食事の後には一時的に上がり、時間がたつと下がるのが正常ですが、何かの原因で血糖値が高くなったり低くなったりを、何度も繰り返すことがあります。これは、体の中でインスリンというホルモンの働きがうまくいかなくなると起こりやすく、糖尿病やその前段階、ほかのホルモンの病気が関係していることもあります。
重要な事実
- 血糖値は1日のうちで、食事や運動、ストレスなどによって自然に変化します。
- 高血糖と低血糖では症状が大きく異なり、両方を経験することがあります。
- 血糖値の変動は、一度の検査だけではなかなか評価できないため、医師が複数の検査を組み合わせて判断します。
血糖値の変動は、健康な人でも日常的に起こります。しかし、頻繁に異常を感じる人や、実際に高血糖が続いている人は少なくありません。日本では糖尿病が強く疑われる人が約1,000万人いるとされ、予備群も含めるとさらに多くの人が血糖値の影響を受けています。
子どもから高齢者まで、どの年齢でも起こり得ます。特に、太り気味の人、糖尿病の家族がいる人、運動不足の人、ストレスの多い生活を送っている人に多く見られます。また、妊娠中は血糖値が上がりやすくなることもあります。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- けいれん発作が起きる
- 脈が速く、呼吸が苦しそう
- 体の片側が動かない、麻痺がある
- ⚠高血糖の症状(強いのどの渇き、吐き気、腹痛)が続く
- ⚠低血糖の症状(冷や汗、意識がもうろうとする)がなかなか改善しない
- ⚠水分が取れず、脱水が心配される
一般的な症状
- のどが渇きやすい
- トイレが近い(尿の回数が多い)
- 疲れやすく、だるい
- めまいや動悸を感じる
- 急に強い空腹感がある
- イライラしやすい
- 頭痛がする
子供の症状
- おねしょが増える
- 夜中にのどが渇いて起きる
- 機嫌が悪くなりやすい
- 元気がなく、遊びたがらない
高齢者の症状
- 意識がぼんやりする、認知症のような症状
- 転倒しやすくなる
- 食欲が落ちる
- めまいやふらつきが出やすい
原因
主な原因
- 糖尿病(1型・2型)によるインスリンの分泌不足や働きの低下
- 糖尿病治療薬やインスリン注射の影響(効きすぎると低血糖になる)
- 副腎や甲状腺など、血糖を調節する臓器の病気
- 極端な食事制限や、食事と食事の間隔があきすぎること
- 強いストレスや睡眠不足
リスク要因
- 家族に糖尿病の人がいる
- 野菜や食物繊維が少なく、糖分の多い食事をしている
- 運動不足
- 肥満、特に腹部に脂肪がつきやすい体型
- 妊娠(妊娠糖尿病)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高血糖や低血糖の症状が繰り返し出る
- 最近、体重が急に減った
- のどが異常に渇く、排尿の回数が増えた
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血糖値が高いと指摘された
- めまいや疲れなど、血糖値の変動が疑われる症状が続く
診断
血糖値の上がり下がりが続くときは、内科(または内分泌代謝科)の医師が、血液検査や尿検査を行い、糖尿病やほかのホルモンの病気がないか調べます。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値:朝ごはんを食べる前の血糖値を測ります
- HbA1c:過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を表す数値です
- ブドウ糖負荷試験:糖分を摂った後の血糖値の変化を調べます
- 尿検査:尿に糖やケトン体が出ていないか調べます
診察で予想されること
検査は血液を取って行うため、体に大きな負担はかかりません。結果に基づいて、医師があなたに合った治療方法や生活改善のアドバイスをしてくれます。
治療
治療の中心は、生活習慣の改善と、必要に応じて薬を使って血糖値を整えることです。急に血糖値を上げない工夫と、自分自身の毎日の管理がとても大切になります。
自宅でのセルフケア
- 食事は1日3回、決まった時間にバランスよく食べる
- 甘い飲み物やスナック菓子を控える
- 野菜やたんぱく質を先に食べ、糖の吸収をおだやかにする
- 無理のない範囲で定期的に体を動かす
- 自分の体調に合わせて休憩を取り、ストレスをためない
医療治療
医師は、血糖値を下げる内服薬や注射薬を、あなたの体調や糖尿病のタイプに合わせて処方します。薬の種類や量は人それぞれで、飲み忘れや使い方を誤ると低血糖になるリスクもあります。必ず医師や薬剤師の説明をよく聞き、指示どおりに使ってください。
手術が検討される場合
ほとんどの場合、手術は必要ありません。ただし、インスリンや血糖を調節するホルモンに関係する腫瘍(しゅよう)が見つかった場合には、外科的な治療が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
毎日決まった時間に食事をし、血糖値を安定させることが基本です。血糖自己測定を医師にすすめられた場合は、記録をつけて受診時に見せると、治療の参考になります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、規則正しい生活を送る
- 糖質のとりすぎに注意し、野菜を先に食べる
- ウォーキングなど、無理なく続けられる運動を週に数回取り入れる
- タバコをやめる、お酒はほどほどにする(医師に確認して)
食事と運動
食事は、白米やパンなど糖質の多いものを一度にたくさん食べないようにし、野菜やたんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品)とうまく組み合わせましょう。運動は、食後に軽く歩くだけでも血糖値を下げる助けになります。激しい運動は逆に血糖値を上げることもあるため、医師に相談して無理のない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
血糖値の変動が続くと、気分の落ち込みや不安を感じることがあります。周囲に理解してもらえないと感じることもあるかもしれませんが、無理をせず、医療者や身近な人に気持ちを伝えることが大切です。つらいと感じたときは、メンタルヘルス相談を利用するのも一つの方法です。
予防
完全に防ぐことはできませんが、バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠など健康的な生活習慣を続けることで、糖尿病への進行を抑えられる可能性があります。
ワクチン
血糖値を直接下げるワクチンはありませんが、糖尿病の方は感染症にかかりやすいため、かかりつけ医がすすめる定期接種(インフルエンザなど)を受けておくことをおすすめします。
検診プログラム
年に一度は、健康診断で血糖値やHbA1cをチェックすることをおすすめします。すでに糖尿病と診断されている人は、決められた間隔で必ず受診してください。
合併症
治療しない場合
- 神経の障害により、手足のしびれや感覚が低下する
- 腎臓の働きが低下し、透析が必要になることがある
- 目の網膜の血管が傷み、視力が低下することがある
- 動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる
- 低血糖を繰り返すと、意識を失うこともある
長期的な見通し
血糖値をしっかり管理すれば、多くの合併症は予防できます。たとえ血糖値の変動があっても、医師と一緒に自分に合った管理方法を見つけて続けることで、健康で充実した毎日を送ることができます。あきらめずに、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。