夜(よる)の股関節(こかんせつ)の痛み(いたみ)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
夜(よる)、横(よこ)になっているときや寝返り(ねがえり)をうつときに股関節(こかんせつ)が痛(いた)むことを「夜間(やかん)の股関節痛(こかんせつつう)」といいます。股関節(こかんせつ)は脚(あし)のつけ根(ね)にある関節(かんせつ)で、立(た)つ・歩(ある)く・座(すわ)るなど、毎日(まいにち)の動(うご)きに欠(か)かせない部分(ぶぶん)です。夜(よる)に痛(いた)むと睡眠(すいみん)が妨(さまた)げられ、日常生活(にちじょうせいかつ)にも影響(えいきょう)することがあります。
重要な事実
- 股関節痛(こかんせつつう)は、加齢(かれい)による関節(かんせつ)の変化(へんか)や、炎症(えんしょう)、姿勢(しせい)など、様々(さまざま)な原因(げんいん)で起(お)こります。
- 寝(ね)ている間(あいだ)の姿勢(しせい)やマットレスも、痛(いた)みに影響(えいきょう)することがあります。
- 多くの場合(ばあい)、自己(じこ)ケアや運動(うんどう)習慣(しゅうかん)の見直(みなお)しで改善(かいぜん)が期待(きたい)できますが、受診(じゅしん)が必要(ひつよう)な場合(ばあい)もあります。
はい。夜(よる)の股関節痛(こかんせつつう)は非常(ひじょう)にありふれた悩(なや)みで、特に中高年(ちゅうこうねん)の方(かた)に多く見(み)られます。
股関節痛(こかんせつつう)は、子どもから高齢者(こうれいしゃ)まで幅広(はばひろ)い年齢層(ねんれいそう)で見(み)られますが、年齢(ねんれい)を重(かさ)ねるとともに関節(かんせつ)の軟骨(なんこつ)がすり減(へ)り、発症(はっしょう)しやすくなります。また、運動(うんどう)をよくする若(わか)い人(ひと)にも、筋肉(きんにく)や腱(けん)の炎症(えんしょう)などが原因(げんいん)で起(お)こることがあります。
症状
- 転(ころ)んだ後(あと)に、脚(あし)に体重(たいじゅう)をかけられず、立(た)てない
- 突然(とつぜん)の強い痛(いた)みで、脚(あし)が動(うご)かせない
- 股関節(こかんせつ)の痛(いた)みとともに高熱(こうねつ)や悪寒(おかん)がある
- 脚(あし)のしびれや力(ちから)が入(はい)らない感(かんじ)がある
- ⚠転(ころ)んで痛(いた)みはあるが、何(なに)とか歩(ある)ける
- ⚠股関節(こかんせつ)の周(まわ)りが赤(あか)く腫(は)れている
- ⚠発熱(はつねつ)があり、関節(かんせつ)の痛(いた)みが伴(ともな)う
- ⚠子どもが脚(あし)を引(ひ)きずる、または痛(いた)がって歩(ある)かない
- ⚠痛(いた)みが日(ひ)ごとに強(つよ)くなり、眠(ねむ)れない
一般的な症状
- 夜(よる)になって横(よこ)になると股関節(こかんせつ)が痛(いた)む
- 寝返(ねがえ)りをうつときに痛(いた)みで目(め)が覚(さ)める
- 朝(あさ)起(お)きたときに関節(かんせつ)がこわばって動(うご)きにくい
- 痛(いた)みが太(ふと)ももの前(まえ)やおしりの方(ほう)に響(ひび)く
- 立ち上がるときや歩(ある)き始(はじ)めに痛(いた)みを感(かん)じる
子供の症状
- 夜(よる)に脚(あし)のつけ根(ね)や太(ふと)ももを痛(いた)がって泣(な)く
- 跛行(はこう)といって、かばって歩(ある)くことがある
- 朝(あさ)になると痛(いた)みがやわらぐことが多い
- 熱(ねつ)を伴(ともな)う場合(ばあい)は、すぐに医師(いし)の診察(しんさつ)を受(う)ける必要(ひつよう)がある
高齢者の症状
- 安静(あんせい)にしていても股関節(こかんせつ)が痛(いた)む
- 寝返(ねがえ)りや起(お)き上(あ)がりの動作(どうさ)で痛(いた)みが強(つよ)くなる
- 痛(いた)みで夜中(よなか)に目(め)が覚(さ)めることが増(ふ)える
- 転倒(てんとう)や骨折(こっせつ)の後(あと)に痛(いた)みが続(つづ)く
原因
主な原因
- 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう): 関節(かんせつ)の軟骨(なんこつ)がすり減(へ)って骨(ほね)と骨(ほね)がぶつかり、炎症(えんしょう)や痛(いた)みを引(ひ)き起(お)こす
- 滑液包炎(かつえきほうえん): 関節(かんせつ)のクッションの役割(やくわり)をする袋(ふくろ)が炎症(えんしょう)を起(お)こす
- 腱炎(けんえん): 筋肉(きんにく)を骨(ほね)に付(つ)ける腱(けん)が炎症(えんしょう)を起(お)こす
- 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう): 腰(こし)やおしりの神経(しんけい)が圧迫(あっぱく)され、股関節(こかんせつ)の周(まわ)りに痛(いた)みが出(で)る
- 寝(ね)ている間(あいだ)の姿勢(しせい)や合(あ)わないマットレスによる圧迫(あっぱく)
リスク要因
- 加齢(かれい)
- 肥満(ひまん)や体重(たいじゅう)の増加(ぞうか)
- 過去(かこ)のケガや骨折(こっせつ)
- 長時間(ちょうじかん)の立ち仕事(しごと)や重(おも)い物(もの)を持(も)つ作業(さぎょう)
- 運動不足(うんどうぶそく)による筋力(きんりょく)の低下(ていか)
- 不適切(ふてきせつ)な寝姿勢(ねしせい)や硬(かた)い床(ゆか)など
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然(とつぜん)の強い痛(いた)みで歩(ある)けない場合(ばあい)
- 痛(いた)みに高熱(こうねつ)や腫(は)れ、赤(あか)みが伴(ともな)う場合(ばあい)
- 転(ころ)んだ後(あと)に痛(いた)みが続(つづ)く場合(ばあい)
定期受診を予約すべき場合:
- 痛(いた)みが2週間(しゅうかん)以上(いじょう)続(つづ)く
- 朝(あさ)のこわばりが30分(ふん)以上(いじょう)続(つづ)く
- 日常生活(にちじょうせいかつ)に支障(ししょう)が出(で)てきた
- 痛(いた)みのせいでよく眠(ねむ)れない
診断
医師(いし)はまず、痛(いた)みの場所(ばしょ)や程度(ていど)、どんなときに痛(いた)むかを詳(くわ)しく聞(き)きます。そのうえで、体(からだ)の動(うご)きや脚(あし)の長(なが)さ、筋力(きんりょく)などをチェックし、必要(ひつよう)に応(おう)じて検査(けんさ)を行(おこな)います。
行われる可能性のある検査
- X線(エックスせん)検査(けんさ): 骨(ほね)の形(かたち)や関節(かんせつ)のすき間(ま)を確認(かくにん)する
- 超音波(ちょうおんぱ)検査(けんさ): 関節(かんせつ)の周(まわ)りの炎症(えんしょう)や水(みず)のたまりを調(しら)べる
- MRI検査(エムアールアイけんさ): 軟骨(なんこつ)や腱(けん)、筋肉(きんにく)などの状態(じょうたい)を細(こま)かく見(み)る
- 血液検査(けつえきけんさ): 炎症(えんしょう)や感染症(かんせんしょう)の有無(うむ)を調(しら)べる
診察で予想されること
診察(しんさつ)では、横(よこ)になったり立(た)ったりして股関節(こかんせつ)の動(うご)きを確(たし)かめます。「どこがどんなとき痛(いた)いか」を伝(つた)えることが、原因(げんいん)を絞(しぼ)る手(て)がかりになります。必要(ひつよう)なら画像(がぞう)検査(けんさ)も行(おこな)われるため、時間(じかん)がかかることがありますが、無理(むり)のない範囲(はんい)で安心(あんしん)して受(う)けてください。
治療
治療(ちりょう)は、痛(いた)みの原因(げんいん)や状態(じょうたい)によって異(こと)なります。最初(さいしょ)は、生活習慣(せいかつしゅうかん)の見直(みなお)しや運動(うんどう)など、自分(じぶん)で取(と)り組(く)める方法(ほうほう)から始(はじ)めることが多(おお)いです。それでも改善(かいぜん)しない場(ばあ)いは、医師(いし)の指導(しどう)のもと、リハビリテーションや薬(くすり)を使(つか)った治療(ちりょう)を行(おこな)います。
自宅でのセルフケア
- 寝(ね)るときに膝(ひざ)の間(あいだ)に枕(まくら)やクッションを挟(はさ)んで、関節(かんせつ)への負担(ふたん)を減(へ)らす
- 痛(いた)む側(がわ)を下(した)にしないで、反(はん)たいがわや仰向(あおむ)けで休(やす)む
- 温熱(おんねつ)シートやタオルによる温(あたた)めで筋肉(きんにく)の緊張(きんちょう)を緩(ゆる)める(炎症(えんしょう)が強(つよ)いときは冷(ひ)やす場合(ばあい)もある)
- 寝(ね)る前(まえ)に軽(かる)いストレッチで股関節(こかんせつ)の周(まわ)りをほぐす
- 日中(にっちゅう)に→(の)運動(うんどう)をしすぎないようにし、適度(てきど)に休(やす)む
医療治療
医療機関(いりょうきかん)では、痛(いた)みを和(やわ)らげる薬(くすり)や、炎症(えんしょう)を抑(おさ)える注射(ちゅうしゃ)、理学療法(りがくりょうほう)などのリハビリテーションが行(おこな)われます。また、体重(たいじゅう)を減(へ)らすための生活指導(せいかつしどう)や、歩行(ほこう)を助(たす)ける杖(つえ)などの装具(そうぐ)が紹介(しょうかい)されることもあります。くすりの種類(しゅるい)や治療法(ちりょうほう)は、診断(しんだん)に基(もと)づいて医師(いし)が決(き)めるため、自己判断(じこはんだん)で市販(しはん)の薬(くすり)に頼(たよ)りすぎないことが大切(たいせつ)です。
手術が検討される場合
関節(かんせつ)の変形(へんけい)が進(すす)み、日常生活(にちじょうせいかつ)に支障(ししょう)が出(で)る場合(ばあい)や、ほかの治療(ちりょう)で効果(こうか)が得(え)られない場合(ばあい)には、人工関節(じんこうかんせつ)などの手術(しゅじゅつ)が検討(けんとう)されることがあります。
この病気と共に生きる
痛(いた)みを感(かん)じるときは、無理(むり)をせずに体(からだ)を休(やす)めることが大切(たいせつ)です。また、座(す)るときは硬(かた)すぎない椅子(いす)を選(えら)び、立(た)ちっぱなしを避(さ)けて、こまめに休憩(きゅうけい)を取(と)りましょう。就寝時(しゅうしんじ)は、枕(まくら)やクッションを使(つか)って、体(からだ)に負担(ふたん)のかかりにくい姿勢(しせい)を工夫(くふう)してみてください。
生活習慣のアドバイス
- 毎日(まいにち)30分(ふん)程度(ていど)の散歩(さんぽ)など、無理(むり)のない範囲(はんい)で体(からだ)を動(うご)かす
- 体重(たいじゅう)を適正(てきせい)に保(たも)つ
- 喫煙(きつえん)は血流(けつりゅう)を悪(わる)くするため、禁煙(きんえん)を心(こころ)がける
- 睡眠(すいみん)をしっかり取(と)り、疲労(ひろう)をためない
- 市販(しはん)の湿布(しっぷ)などを使用(しよう)する際(さい)は、薬剤師(やくざいし)に相談(そうだん)する
食事と運動
骨(ほね)と筋肉(きんにく)の健康(けんこう)のために、カルシウムやビタミンDを含(ふく)む食品(しょくひん)をバランスよく取(と)りましょう。運動(うんどう)は、水泳(すいえい)や自転車(じてんしゃ)こぎなど、股関節(こかんせつ)に負担(ふたん)をかけにくい種目(しゅもく)がおすすめです。運動(うんどう)を始(はじ)める前(まえ)に、医師(いし)や理学療法士(りがくりょうほうし)に相談(そうだん)すると安全(あんぜん)です。
精神的健康と心の健康
夜(よる)の痛(いた)みで眠(ねむ)れない日(ひ)が続(つづ)くと、疲労(ひろう)や不機嫌(ふきげん)、気分(きぶん)の落(お)ち込(こ)みなど、心(こころ)の面(めん)にも影響(えいきょう)が出(で)ることがあります。一人(ひとり)で抱(かか)え込(こ)まず、家族(かぞく)や友人(ゆうじん)、医療(いりょう)の専門家(せんもんか)に相談(そうだん)することが大切(たいせつ)です。
予防
すべての股関節痛(こかんせつつう)を予防(よぼう)できるわけではありませんが、体重(たいじゅう)を適正(てきせい)に保(たも)つこと、筋肉(きんにく)を鍛(きた)えること、正(ただ)しい姿勢(しせい)を心(こころ)がけることで、関節(かんせつ)への負担(ふたん)を減(へ)らし、発症(はっしょう)リスクを下(さ)げることができます。
合併症
治療しない場合
- 慢性的(まんせいてき)な痛(いた)みが続(つづ)き、睡眠不足(すいみんぶそく)や日中の疲労(ひろう)が生(しょう)じる
- 痛(いた)みをかばうことで、歩(ある)き方(かた)が乱(みだ)れ、腰(こし)や膝(しつ)に負担(ふたん)がかかる
- 活動量(かつどうりょう)が減(へ)ることで筋力(きんりょく)が低(さが)下(さ)がり、転倒(てんとう)のリスクが高(たか)まる
- 関節(かんせつ)の変形(へんけい)が進行(しんこう)し、日常生活(にちじょうせいかつ)の動作(どうさ)が制限(せいげん)される
長期的な見通し
多く(おおく)の場(ば)あい、適切(てきせつ)なケアと治療(ちりょう)で痛(いた)みは改善(かいぜん)します。原因(げんいん)をしっかり見(み)つけて、自分(じぶん)に合(あ)った対処法(たいしょほう)を続(つづ)けることで、快適(かいてき)な睡眠(すいみん)と活発(かっぱつ)な毎日(まいにち)に近(ちか)づくことができます。あきらめずに、医師(いし)や専門家(せんもんか)と一緒(いっしょ)に付(つ)き合(あ)っていきましょう。
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最終更新: 2026年7月31日
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