股関節の痛みと発熱
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
股関節(太ももの付け根)の痛みと発熱が同時にある状態です。この組み合わせは、関節や骨の中に細菌が入って炎症を起こしている可能性があるため、早めに医療機関で受診することが大切です。
重要な事実
- 股関節の痛みと発熱は、関節や骨の感染症のサインであることがあります。
- 子どもは痛みを上手に伝えられないため、歩かない、機嫌が悪いなどの変化に注意しましょう。
- 早期に治療すれば、多くの場合、後遺症なく回復します。
股関節の感染症自体はまれですが、子どもや高齢者ではときどき見られます。痛みと発熱の組み合わせは、緊急の検査が必要になるときもあるため、軽く見ずに医療機関へ相談してください。
とくに10歳以下の子ども、高齢者、人工関節を使っている人、糖尿病などで免疫力が低下している人に見られやすいです。
症状
- 次の症状がひとつでもある場合は、すぐに119番(救急車)を呼んでください:
- 高熱と同時に、股関節がまったく動かせず、立つことができない
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとする
- 息が速い、脈が速い、冷や汗が出る(重い感染症の可能性)
- 赤ちゃんや幼児がぐったりして、泣き続ける
- ⚠次の症状がある場合は、同じ日中に医療機関へ相談してください:
- ⚠発熱を伴う股関節の痛みが続いている
- ⚠足を少し動かすだけで激しく痛む
- ⚠痛みで眠れない、食事がとれない
- ⚠感染症の治療中なのに、また痛みと熱が出てきた
一般的な症状
- 股関節や太ももの付け根、膝のあたりの痛み
- 38度以上の発熱
- 足をかばうように歩く(跛行:はこう)
- 立ったり、足に体重をかけたりするのがつらい
- 股関節の周りが赤く腫れたり、触ると熱っぽい
- 足を曲げ伸ばしするときに強い痛み
子供の症状
- 『歩きたくない』『だっこして』と言う
- おとなしくして、動きたがらない
- おむつ替えで脚を動かすと激しく泣く
- 発熱のあと、突然足を引きずる
高齢者の症状
- 股関節の痛みに加えて、だるさや意識のぼんやりが現れる
- 高熱のため動けなくなり、転倒してしまう
- 施設に入所中に、『痛い』と訴えたり、動作がにぶくなったりする
原因
主な原因
- 化膿性関節炎(関節の中に細菌が入り、うみがたまる感染症)
- 骨髄炎(骨の中に細菌が入り、炎症を起こす感染症)
- 一過性滑膜炎(関節の内側の膜に炎症が起きるが、細菌の感染がはっきりしない状態)
- リウマチなどの炎症性関節疾患
リスク要因
- 最近、のどや皮膚に細菌の感染があった
- 股関節の手術を受けたことがある
- 糖尿病、がん、免疫を抑える薬を使っている
- 高齢である、または乳幼児である
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱と股関節の痛みが同時にある場合(特に子どもや高齢者)
- 足に体重をかけるのがつらい、または全く歩けない
- 関節が腫れて赤く、触ると熱い
定期受診を予約すべき場合:
- すでに治療中で、経過を診てほしいとき
- 痛みはあるが発熱はなく、日常生活ができるとき(一度は受診しましょう)
診断
医師はまず、痛みの場所や熱の経過、最近のけがや感染について詳しく話を聞きます。次に、股関節の動きや押したときの痛み、腫れなどを診察で確認します。必要に応じて、血液検査や画像検査を行い、原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:白血球やCRPなど炎症の値、細菌の反応を調べます
- 関節エコー(超音波検査):関節の中のうみや水分のたまりを確認します
- レントゲン(X線検査):骨や関節の異常を確認します
- MRI(磁気共鳴画像):骨の中の炎症や感染を詳しく観察します
- 関節穿刺:関節液を針で採取して、細菌の有無や炎症の程度を調べます
診察で予想されること
痛みと発熱が強い場合は、入院が必要になることがあります。整形外科または小児科の受診が勧められます。受診の際は、体温の記録や症状が始まった日時を伝えると、診断がスムーズです。
治療
治療の目的は、感染や炎症をすみやかに抑え、関節を守ることです。原因によって治療法は変わります。細菌感染が疑われる場合は、抗生物質(抗菌薬)の点滴や内服が行われ、関節の中にうみがたまっているときは、針で取り除くか、手術で洗浄します。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示があるまでは、痛む股関節に体重をかけずに安静にする
- 水分をしっかりとり、体を休める
- 体温と痛みの変化を毎日メモして、治療の参考にする
- 医師に相談せずに、自分で痛み止めや湿布などを使わない
医療治療
治療の中心は抗生物質(抗菌薬)です。感染の原因となる細菌に合わせて薬が選ばれ、点滴や内服で数週間使用します。炎症や痛みをしずめるための薬が併用されることもありますが、必ず医師の処方どおりに使ってください。関節の中にうみがたまった場合は、針で吸引するか、手術で関節の中を洗ってきれいにします。
手術が検討される場合
うみが関節内に大量にたまり、針での吸引では取りきれない場合や、骨の中まで感染が広がっている場合は、手術で感染した組織を取り除くことが必要です。人工関節がある場合も、感染の治療のために再手術を検討することがあります。
この病気と共に生きる
治療が終わったあとも、リハビリを続けながら日常生活に戻っていきます。股関節の違和感が続く場合は、無理をせずに主治医や理学療法士に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- バランスのよい食事と十分な睡眠で体力を保つ
- 手洗いやうがいを習慣にして、感染症を予防する
- 股関節に負担のかかる動作は、回復後に少しずつ始める
- 体調の変化を記録し、定期受診を欠かさない
食事と運動
回復期には、医師や理学療法士の指導のもと、股関節の曲げ伸ばしや歩行訓練を行います。たんぱく質やビタミンを含む食事をとり、脱水を防ぐため水分補給も大切です。
精神的健康と心の健康
病気や入院について不安や怖さを感じるのは自然なことです。痛みで眠れない、気分が落ち込むなどの症状があれば、一人で抱え込まず、医師や看護師に相談してください。
予防
股関節の感染症を完全に予防することはできませんが、リスクを減らすことはできます。けがをしたら傷をきれいに洗い、皮膚の感染症を長引かせないこと、糖尿病などの基礎疾患をきちんと治療しておくことが大切です。
ワクチン
おたふくかぜやインフルエンザなどの予防接種は、感染症全体のリスクを下げるのに役立つと言われています。詳細はかかりつけ医にご相談ください。
検診プログラム
特に指定の検査はありません。日頃から股関節の違和感に注意し、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 関節や骨の軟骨が破壊され、股関節の変形や機能障害が残る
- 細菌が血液中に広がり、敗血症(はいけつしょう)という重い全身感染症になる
- 痛みが慢性化し、脚の長さが左右でちがうなどの後遺症が出る
長期的な見通し
早期に診断して治療を始めれば、多くの人は感染症がおさまり、股関節の機能も回復します。治療には数週間かかることがありますが、医療チームと一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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