帯状疱疹(ヘルペス)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
帯状疱疹は、子どものころにかかった水ぼうそうと同じウイルスが、体の中に静かに潜んでいて、免疫力が落ちたときに再び活動を始めて起こる病気です。体の左右どちらかの神経に沿って、ピリピリとした痛みと赤い発疹や水ぶくれが帯のように出ます。
重要な事実
- 帯状疱疹のウイルスは、水ぼうそうにかかったことのない人に水ぼうそうをうつすことがありますが、帯状疱疹自体は人から直接うつりません。
- 発疹は体の片側だけに出ることがほとんどで、体の中央の線を越えません。
- 発疹に気づいたら早めに皮膚科を受診すると、治療の効果が高まります。
日本では、成人のおよそ3人に1人が一生のうちに帯状疱疹になると言われています。特に50歳を過ぎると増えます。
50歳以上の人に多く見られますが、若い人や子どもでも、大きなストレスや疲れ、病気や薬で免疫力が下がっているときにかかることがあります。
症状
- 次のような症状がある場合は、すぐに119番(救急車)を呼んでください。
- 目の周りや鼻の先に発疹があり、目が赤い、見えにくい、まぶしい、目が閉じづらいなど目の症状を伴う
- 高熱、激しい頭痛、意識がぼんやりする、けいれんがある
- 顔の片側に広い発疹があり、口角が下がる、額のしわが寄らないなど顔面神経の麻痺の症状がある
- ⚠次のような症状がある場合は、その日のうちに(または翌日には)皮膚科を受診してください。
- ⚠痛みがとても強く、夜も眠れない
- ⚠発疹が広がっていたり、膿が出ていたり、発熱がある
- ⚠妊娠中、がん治療中、臓器移植後などで免疫力が低下している人に発疹が出た
一般的な症状
- 体の片側に沿って現れるピリピリ、チクチク、焼けるような痛み(発疹より先に痛みを感じることもあります)
- 赤い斑点や小さな水ぶくれが帯状に集まって現れる(体幹、顔、首、腕、脚など)
- 発熱、全身のだるさ、頭痛などの症状(発疹の前に出ることもあります)
子供の症状
- 子どもの場合、痛みをうまく言葉にできないことがあります。機嫌が悪い、触られるのを嫌がるなどのサインが見られます。
- 水ぶくれをかきこわして、細菌感染を起こすことがあるため注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢になるほど、痛みが強く、長く続きやすい傾向があります。
- 発疹が治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹の後に続く神経痛)が多いため、早めの受診が大切です。
原因
主な原因
- 水ぼうそう(水痘)にかかった後、ウイルスは神経の根元(神経節)にひっそりと潜んでいます。
- 加齢、ストレス、過労、病気や薬などによって免疫力が低下すると、ウイルスが再び活動を始め、神経に沿って増えます。
- ウイルスが神経に炎症を起こすため、片側に痛みと発疹が現れます。
リスク要因
- 50歳以上
- 過去に水ぼうそうにかかったことがある(ほとんどの成人がこれに当てはまります)
- がん、HIV感染症、膠原病などで免疫力が弱っている
- ステロイドや免疫抑制薬などの治療を受けている
- 強いストレス、睡眠不足、極度の疲労
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発疹が目の周りや鼻の先にある場合、特に目の症状が伴うならすぐに受診してください。
- 顔面に発疹があり、顔が動かしにくい(顔面神経麻痺)場合は救急外来も選べます。
- 妊娠中、高齢者、免疫抑制薬を使っている人、糖尿病などの慢性疾患がある人は、症状が軽くても早めに受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 体の片側に帯状の痛みや発疹がある場合は、帯状疱疹の可能性が高いので、早めに皮膚科を受診してください。
- 痛みだけでまだ発疹が出ていない場合も、気になる症状が続くなら相談できます。
- 帯状疱疹を繰り返す、または両側に発疹が出る場合は、ほかの病気の可能性があるため、必ず医師に相談してください。
診断
帯状疱疹は、医師が発疹の形や出ている場所(体の片側かどうか)、痛みを確認し、視診で診断することがほとんどです。
行われる可能性のある検査
- 水ぶくれの中の液体を調べるPCR検査(ウイルスの遺伝子を検出する検査)
- 血液検査(抗体価を測る検査)
- まれに、神経の炎症や脳への影響を調べるためにMRI(磁気共鳴画像)検査を行うこともあります
診察で予想されること
診察では、発疹が出た日、痛みの始まり、持病、妊娠の有無、服用中の薬などを聞かれます。最近の疲れやストレスについても伝えると、診断の手がかりになります。
治療
帯状疱疹の治療の中心は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の内服です。発疹が出てから72時間以内に治療を始めると効果が高いといわれています。痛みが強い場合は、鎮痛薬や神経の痛みに効く薬も併用されます。
自宅でのセルフケア
- 発疹の部分は清潔に保ち、かさぶたになるまでは、強くこすらないようにしましょう。
- 水ぶくれがつぶれないように、ゆったりした下着や衣服を選びましょう。
- 入浴はシャワーで短めにし、熱い湯や長時間の入浴は避けましょう。
- 安静を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。
医療治療
抗ウイルス薬は、内服薬として処方されます。重症の場合は点滴で行うこともあります。痛みには、消炎鎮痛薬、うずくような痛みを抑えるお薬(神経障害性疼痛の治療薬)、麻酔薬の貼り薬、神経ブロック注射などが使われます。抗菌薬は、細菌感染を合併した場合にのみ使われます。
手術が検討される場合
帯状疱疹そのものに手術は通常必要ありません。ただし、発疹をかいたことで膿瘍(膿のかたまり)ができた場合は、切開して排膿する処置を行うことがあります。
この病気と共に生きる
帯状疱疹は、発疹が出てから通常2~4週間で治ります。水ぶくれの液体にはウイルスが含まれているため、水ぼうそうをまだ発症したことのない人が触らないように注意が必要です。手洗いを徹底し、タオルや寝具の共有は避けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 疲労とストレスをためないこと(免疫力を保つために)
- 規則正しい生活と十分な睡眠
- 痛みが強い時期は、無理せず休む
- アルコールは控えめに(肝臓で薬を代謝するため)
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事で、タンパク質やビタミンを十分にとり、感染に対する抵抗力を高めましょう。痛みのない範囲で体を動かすことは、血行を良くし、回復を助けると考えられます。
精神的健康と心の健康
強い痛みが続くと、不安やイライラ、気分の落ち込みを感じることがあります。これは自然な反応です。もし気分が沈む日が続いたり、眠れないなど生活に支障が出ている場合は、医師に相談しましょう。精神的なつらさが強い場合は、一人で抱え込まず、医療機関や自治体の相談窓口にも連絡できます。
予防
帯状疱疹は、ワクチン接種によって予防や重症化の防止が期待できます。日本では、任意接種ですが、50歳以上の方や、免疫力の低下が心配な方は、医師に相談することをおすすめします。
ワクチン
帯状疱疹を予防するワクチンには、注射のタイプが2種類あります。接種回数や費用、対象年齢は異なります。どちらを受けるかは、医師と相談して決めましょう。自治体によっては助成もあるため、お住まいの自治体の窓口に問い合わせてみてください。
検診プログラム
帯状疱疹のための特別な検診やスクリーニング検査はありません。予防で最も大切なのはワクチンと、日頃からの免疫力維持です。
合併症
治療しない場合
- 帯状疱疹後神経痛:発疹が治った後も、数か月から数年続くことがある強い神経痛
- 細菌感染による化膿や、あと(瘢痕)の残存
- 顔面帯状疱疹での角膜炎・結膜炎・ぶどう膜炎(視力低下のリスク)
- まれに、脳炎、髄膜炎、脊髄炎などの神経の合併症
長期的な見通し
帯状疱疹は、早期に治療すれば、多くの場合は数週間で治り、重い合併症を避けられます。たとえ合併症が起きても、治療やリハビリで症状を和らげられます。ワクチンで予防できる病気でもあります。安心して医師に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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