発熱を伴う膝の痛み
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膝の痛みと発熱が一緒にあると、膝の中に炎症や感染が起きている可能性があります。これは「関節の感染症」や「炎症性の関節の病気」など、きちんと調べて治療が必要な状態のサインかもしれません。早めに医療機関で診てもらうことが大切です。
重要な事実
- 膝の痛みと発熱がある場合は、感染症など深刻な原因が隠れていることがあるため、早めの受診が必要です。
- 放置すると関節の軟骨や骨を傷め、膝の機能が低下する恐れがあります。
- 早く診断し適切な治療を始めれば、多くの場合、後遺症をできるだけ抑えられます。
膝の痛みそのものはよくありますが、発熱を伴う場合はあまり多くありません。しかし、発熱を伴う場合は一般的な関節の使いすぎとは異なり、感染や強い炎症が疑われるため、注意が必要です。
子どもや高齢者に多く見られますが、どの年齢でも起こり得ます。免疫力が低下している方や、膝にけがをしたことのある方、関節の病気を持っている方は特に注意が必要です。
症状
- 急に高熱が出て、膝が激しく腫れて痛み、動かせない
- 膝の痛みとともに、冷や汗をかく、息苦しい、意識がぼんやりするなどの全身症状がある
- 最近、膝の手術やけがをしたのに、急な発熱と激しい膝の痛みが出た
- ⚠発熱を伴う膝の腫れや痛みがある(たとえ軽く見えても)
- ⚠膝の痛みで歩くのが難しく、日常生活に支障が出ている
- ⚠発熱が続き、熱が下がらない
一般的な症状
- 膝の腫れ(はれ)や赤み、熱感(膝が熱く感じる)
- 動かすと強い痛みがあり、体重をかけにくい
- 発熱(体温が上がる)
- 膝がこわばって動かしにくい
- 悪寒(さむけ)やだるさ
子供の症状
- 子どもは膝の痛みをうまく言葉にできず、ぐずったり、足を引きずったりすることがあります。
- 発熱に加えて、膝に触れると嫌がる、動かすのを嫌がるなどのサインが見られたら注意してください。
- 特に小さい子どもでは、膝の感染症が進行しやすいため、早めの受診が大切です。
高齢者の症状
- 高齢者は痛みを感じにくいことがあり、症状がはっきりしないまま進行することがあります。
- 人工関節を使用している方は、感染症が起きやすいため、発熱を伴う膝の痛みは特に注意が必要です。
- 普段の動き方が変わる、元気がないなどの変化にも目を向けましょう。
原因
主な原因
- 細菌が膝関節に入り込んで起こる「化膿性(かのうせい)関節炎」という感染症
- 細菌が出す毒素(どくそ)が関節に炎症を起こす「反応性関節炎」
- 痛風(つうふう)やリウマチなど、体の免疫の異常による強い炎症
- 膝のけがや手術のあとに細菌が入ることによる感染
- そのほか、ウイルス感染の合併症として関節の炎症が起こることもあります
リスク要因
- 糖尿病や免疫力を下げる病気がある
- 関節リウマチや痛風などの関節の病気を持っている
- 最近、膝の手術やけがをした
- 人工関節などの医療機器を入れている
- 高齢や妊娠中などで体力や免疫力が低下している
- 皮膚に傷や感染症がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱とともに膝に腫れや赤み、強い痛みがある
- 膝を動かせない、または熱があって痛みがひどくなる
- 症状が数時間で急に悪化した
定期受診を予約すべき場合:
- 膝の軽い痛みと微熱があるが、我慢できる程度で、日常生活は送れている
- 以前からある関節痛が最近悪化して、時々発熱がある
診断
医師は、まず詳しい問診と診察を行います。膝の腫れや熱感、動かし方を確認し、その上で必要な検査を行って原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症や感染のサインを調べます)
- 関節液検査(膝にたまった水を採取して、細菌や炎症の有無を調べます)
- X線(レントゲン)検査で骨や関節の状態を確認
- 超音波(エコー)検査やMRIで関節の中の状態を細かく調べることもあります
診察で予想されること
受診すると、医師が膝の状態を丁寧に診て、必要な検査をすすめます。関節液を調べる場合も、局所麻酔を使って行うため、それほど強い痛みはありません。原因がはっきりするまで時間がかかることもありますが、焦らず検査を受けることが大切です。
治療
治療は原因によって異なります。細菌感染が疑われる場合は、早急に抗菌薬(抗生物質)や関節の洗浄などの治療が必要になります。また、炎症を抑える治療や、関節を休めて負担を減らすことも大切です。
自宅でのセルフケア
- 膝に体重をかけないようにして、安静にし、余計に動かさない
- 腫れが強いときは、タオルで冷やして痛みを和らげる(凍傷に注意しながら行う)
- 水分をしっかりとり、体を休める
- 発熱があるときは、無理に動かさずに休養を優先する
医療治療
医療機関では、原因に合わせて、抗菌薬(こうきんやく)による治療、関節にたまった液を抜く処置、炎症を抑える薬や痛みを和らげる薬の使用などが行われます。どの薬を使うかは、原因や症状、患者さんの状態によって医師が決めます。指示に従って治療を続けることが大切です。
手術が検討される場合
細菌感染がひどく、関節の中に膿(うみ)がたまっている場合は、関節を洗浄したり、壊れた組織を取り除いたりする手術が必要になることがあります。早期に治療すれば、手術を避けられる可能性も高まります。
この病気と共に生きる
治療後は、医師の指示に従いながら、徐々に膝を動かすことが大切です。無理をせず、痛みが強くない範囲で日常生活を戻していきましょう。安静と適度な運動のバランスを大切にしてください。
生活習慣のアドバイス
- 膝に負担がかかる動作(正座、しゃがむ、重い物を持つなど)を避ける
- 体重を管理し、膝への負担を減らす
- かかとの低い歩きやすい靴を履く
- 床には座らず、椅子を利用する
食事と運動
膝の炎症や感染を防ぐためには、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特に、カルシウムやビタミンD、たんぱく質を十分に取ることが大切です。運動は、関節に負担が少ない水中歩行や軽いストレッチを、医師の許可を得てから始めると良いでしょう。
精神的健康と心の健康
膝の痛みが続くと、動くことが難しくなり、気分が落ち込んだり、不安を感じたりすることがあります。これは自然な反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、医師などに気持ちを話すことが大切です。
予防
すべての原因を予防することは難しいですが、細菌感染による関節炎を防ぐためには、皮膚の傷を清潔に保つこと、体の免疫力を高める生活をおくることが役立ちます。また、関節に違和感があるときは、無理をせず早めに休むことが大切です。
ワクチン
肺炎球菌やインフルエンザなどの感染症は、関節炎の原因になることがあります。厚生労働省が推奨する予防接種を、年齢や健康状態に合わせて受けることを検討すると良いでしょう。
検診プログラム
特定の検診はありませんが、関節の痛みや腫れ、発熱などのサインを見逃さず、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 感染が関節の軟骨や骨にまで広がり、関節の機能が失われる
- 感染が血流に乗って全身に広がり、敗血症(はいけつしょう)という命に関わる状態になる
- 関節が変形して、慢性的な痛みが残る
- 治療が遅れると、手術や長期間の入院が必要になることがある
長期的な見通し
早期に正しい治療を受ければ、多くの場合、回復が期待できます。治療が遅れるほど関節に影響が及ぶことがあるため、発熱を伴う膝の痛みを軽く見ずに、早めに医療機関を受診してください。医師とともに適切な治療を続ければ、後遺症をできるだけ少なくすることができます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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