膀胱に尿が長くとどまる(慢性尿閉)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膀胱に尿が長くとどまる状態を「慢性尿閉」といいます。これは、排尿しても膀胱に尿が残り続け、時間がたってもなかなか出し切れない状態です。健康な膀胱では尿がすべて出ますが、この状態では少しずつ尿がたまってしまい、膀胱に負担がかかります。
重要な事実
- 慢性尿閉は、膀胱の筋肉がうまく収縮しない、または尿道が狭くなるなど、いくつかの原因で起こります。
- 放置すると、尿路感染症や腎臓の機能低下のリスクが高まります。
- 男性に多く見られますが、女性や子どもでも起こることがあります。
- 症状には、尿の出が悪い、何度もトイレに行く、おしっこが終わってもまだ残っている感じなどがあります。
中高年の男性に特に多く見られますが、女性や若い方でも起こることがあり、決して珍しい状態ではありません。
主に50歳以上の男性に多く、前立腺の病気(前立腺肥大など)が関係することが多いです。また、神経の病気(糖尿病、脊髄損傷など)をお持ちの方や、一部の薬を服用している方にも起こりやすくなります。
症状
- 全く尿が出ず、お腹が痛くてたまらない(急性尿閉)
- 尿に血が混ざり、激しい痛みがある
- 意識がもうろうとして、尿のコントロールができない
- ⚠排尿が急にできなくなった
- ⚠発熱と腰や下腹部の痛みがある
- ⚠尿の色が明らかに赤い
一般的な症状
- 尿の勢いが弱い、または尿が途切れ途切れになる
- 排尿してもすぐまた尿意を感じる(頻尿)
- 夜間に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
- 尿を出し切った感じがしない(残尿感)
- 尿が漏れる(溢流性尿失禁)
子供の症状
- おねしょが続く(夜尿症)
- おしっこの回数が多い、または少ない
- 排尿を我慢している様子がある
- お腹が張っている
高齢者の症状
- 尿が出にくく、時間がかかる
- 尿が漏れる(特に夜間)
- 尿路感染症を繰り返す
- 以前よりぼんやりする、体がだるい(老廃物がたまるため)
原因
主な原因
- 前立腺肥大(男性)
- 尿道の狭窄(尿道の一部が狭くなる)
- 膀胱の筋肉の弱まり(加齢や神経の病気による)
- 神経の病気(糖尿病、パーキンソン病、脊髄損傷など)
- 一部の薬の副作用(抗コリン薬、抗ヒスタミン薬など)
リスク要因
- 加齢(特に50歳以上)
- 男性であること(前立腺の影響)
- 糖尿病や高血圧などの慢性疾患
- 神経系の病気(脊髄損傷、多発性硬化症など)
- 過去の骨盤手術や放射線治療
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 全く尿が出ない(急性尿閉) → すぐに救急車(119)を呼ぶか、救急外来へ
- 尿に大量の血が混ざる
- 排尿できずに強い痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿の回数が多い、または出にくい状態が続く
- 残尿感がある
- 尿漏れがある
- 夜間頻尿で睡眠が妨げられる
診断
医師が問診(症状の詳しい話)を行い、必要に応じて検査をします。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(感染や血尿がないか調べる)
- 残尿測定(排尿後に膀胱にどれだけ尿が残っているか超音波で調べる)
- 尿流量測定(排尿の勢いと量を測る)
- 膀胱鏡(細いカメラで膀胱の中を見る)
- 超音波検査(膀胱や前立腺、腎臓の状態を調べる)
診察で予想されること
診断は比較的簡単で、痛みを伴う検査はほとんどありません。残尿測定や尿流量測定は普段通りトイレで排尿するだけです。もし原因がはっきりしない場合は、さらに詳しい検査(CTやMRIなど)を行うこともあります。
治療
治療の目的は、膀胱にたまった尿をきちんと排出し、腎臓や膀胱への負担を減らすことです。原因や症状の程度によって方法が異なります。
自宅でのセルフケア
- 決められた時間にトイレに行く(時間排尿)
- 排尿を促すために、前かがみになる、軽くお腹を押すなどの工夫(クレディ法)
- 水分を適切に摂る(脱水は避けるが、寝る前は控える)
- 便秘を予防する(腸が膀胱を圧迫するため)
- カフェインやアルコールを控える(膀胱を刺激するため)
医療治療
医師は、膀胱の筋肉を緩める薬や、排尿を助ける神経系に作用する薬を検討します。薬は症状や原因に合わせて選ばれ、必ず医師の指示に従ってください。また、尿道カテーテル(細い管)を一時的に挿入して尿を排出することもあります。
手術が検討される場合
薬やカテーテルで効果が不十分な場合や、前立腺肥大が強い場合などには、手術が検討されます。例えば、前立腺の一部を切除する手術や、尿道の狭窄を広げる手術などがあります。手術の適応は医師が詳しく説明します。
この病気と共に生きる
日々の生活では、排尿のタイミングや方法を工夫することで、症状を軽減しやすくなります。定期的に医師の診察を受け、状態に合わせたケアを続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 排尿日誌をつける(いつ、どのくらいの量が出たか記録)
- 症状に合わせて水分摂取量を調整する(医師や看護師に相談)
- 骨盤底筋体操(尿漏れ予防に役立つ)
- ストレスをためない(リラックスが排尿を助ける)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、便秘にならないように食物繊維を十分に摂りましょう。適度な運動は血流を良くし、前立腺や膀胱の健康にも良いとされています。ただし、激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
尿のトラブルは、不安や恥ずかしさ、外出へのためらいなどを引き起こすことがあります。特に夜間頻尿で睡眠不足になると、気分が落ち込むこともあります。一人で悩まず、医師や家族に相談することが大切です。
予防
加齢や神経の病気によるものは完全に予防できませんが、症状を悪化させない生活習慣はあります。適度な運動、バランスの良い食事、水分をこまめに摂る、便秘を防ぐことなどが大切です。また、前立腺肥大の場合は、定期的な検診で早期発見・早期治療につながります。
検診プログラム
50歳以上の男性は、年に一度の健康診断で前立腺のチェック(PSA検査など)を受けることが推奨されています。症状がなくても、泌尿器科で相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)を繰り返す
- 膀胱結石(膀胱内で尿の成分が固まる)
- 水腎症(腎臓に尿が逆流してたまり、腎機能が低下する)
- 慢性腎臓病への進行
- 急性尿閉(突然尿が出なくなる緊急状態)
長期的な見通し
慢性尿閉は適切に治療すれば、多くの場合、症状を改善し、合併症を防ぐことができます。治療は長期にわたることもありますが、ほとんどの方は日常生活をほぼ普通に送ることができます。定期的な通院と自己管理を続けることで、腎臓や膀胱の健康を守ることができます。希望を持って、医師と一緒に治療を進めていきましょう。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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