長引く膝の痛み
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膝の痛みが3か月以上続いたり、繰り返したりして、日常生活に支障が出ている状態です。代表的な原因に、膝の軟骨がすり減って骨と骨がぶつかる「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」があります。
重要な事実
- 膝の痛みは加齢とともにある程度増えますが、適切な対処で和らげることができます。
- 体重、筋力、生活の中の動作が膝への負担に大きくかかわります。
- 手術をしない保存療法(ほぞんりょうほう)が治療の基本です。
とてもよくある症状です。日本では年齢が上がるほど膝の痛みを経験する人が多くなり、高齢者のおよそ3人に1人が膝の痛みを持つともいわれています。
中高年に多く見られますが、スポーツをしている若い人や、膝をけがした経験がある人にも起こります。女性は男性よりやや多いとされています。
症状
- 突然の強い痛みで足を踏ん張れない(この場合はすぐに119番へ)
- 膝が大きく変形している(すぐに119番へ)
- 膝が赤く腫れ、熱を持ち、発熱もある(感染の可能性があるためすぐに119番へ)
- 深い傷や骨折が疑われるけがをした(すぐに119番へ)
- ⚠膝が急に腫れて、体重をかけると強い痛みがある
- ⚠膝を曲げ伸ばしすることができない
- ⚠痛みが強く、夜も眠れない
- ⚠膝の腫れと発熱がある
一般的な症状
- 階段や坂道で膝に痛みを感じる
- 朝起きたときや動き始めに膝がこわばる
- 膝が腫れたり、水がたまって張っている感じがする
- 正座やしゃがみ込みが難しい
- 動かすと「ゴリゴリ」「ミシミシ」といった音がする
子供の症状
- 成長期の子どもに多く、膝の前側やお皿の下が痛む
- 運動中や運動のあとに痛みが強くなることが多い
- 痛みは片側だけの場合も、両側の場合もあります
高齢者の症状
- 朝のこわばりがあり、動き出すと少し楽になる
- 立ち上がりや靴下をはく動作で膝に痛みを感じる
- 膝が完全に伸びにくくなる
- 膝の内側に痛みを感じることが多い
原因
主な原因
- 変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減り、骨と骨がぶつかって痛む)
- 関節リウマチ(免疫の異常で関節に炎症が起きる病気)
- けが(半月板損傷、靱帯損傷など)
- 過度な使いすぎ(長時間の立ち仕事や激しいスポーツ)
- 感染症(細菌が関節に入って炎症を起こす)
リスク要因
- 肥満や体重増加
- 膝のけがの既往
- 太ももの筋力低下
- スポーツや仕事で膝に繰り返し負担がかかる
- 家族に同じ症状の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 膝に激痛があり、うまく歩けない
- 膝が腫れて熱を持っている
- 膝を支える力が入らない
定期受診を予約すべき場合:
- 膝の痛みが2週間以上続いている
- 朝のこわばりが30分以上続く
- 歩く、立ち上がるなどの日常生活に支障がある
- 痛みが少しずつ強くなっている
診断
医師が膝の痛みの様子、腫れ、動かし方、筋力などを診察し、必要に応じて画像検査や血液検査を行います。問診では、痛みの始まりや原因になった動作、仕事やスポーツの様子なども詳しく伺います。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨のすり減りや変形を確認)
- 血液検査(炎症やリウマチなどの反応を確認)
- MRI検査(軟骨や半月板、靱帯の状態を確認)
- 超音波(エコー)検査(関節の水のたまりや炎症を確認)
診察で予想されること
これらの検査は外来で受けられます。膝に水がたまっている場合は、注射器で抜いて調べることもあります。結果をもとに、原因に合わせた治療の計画を立てます。
治療
治療の基本は、手術をしない保存療法(ほぞんりょうほう)です。痛みの原因や生活スタイルに合わせて、運動療法、生活指導、薬物療法などを組み合わせます。無理のない範囲で続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 痛みが強いときは膝を休め、氷などで冷やす(アイシング)
- サポーターやテーピングで膝を支える
- 体重を減らして膝への負担を軽くする
- 椅子や手すりを使って立ち上がるなど、動作を工夫する
- 痛みが落ち着いたら、ウォーキングや水中運動など軽い運動を取り入れる
医療治療
医師の診断に基づいて、痛みや炎症を和らげる薬(飲み薬や塗り薬)が処方されたり、関節に注射が行われたりすることがあります。リハビリテーション(理学療法)で筋力や可動域を改善するのも一般的です。薬は必ず医師の指示に従って使いましょう。
手術が検討される場合
保存療法で改善がみられず、日常生活が大きく制限される場合は、手術が検討されることがあります。手術には、傷んだ組織を修復する方法や、人工関節に置き換える人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)などがあります。医師と十分に相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
膝の痛みと長く付き合うには、痛みのサインを無視せず、体の状態に合わせて無理なく動くことが大切です。痛みが強い日は休み、できることから少しずつ始めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 体重の管理(標準体重を目標にする)
- 医師や理学療法士の指導を受けた筋力トレーニング
- 長時間の正座やしゃがみ込みを避ける
- 低い椅子や座り心地のよいものを選ぶ
- 痛みを感じたら早めに休む
食事と運動
骨や軟骨の健康のために、カルシウム、ビタミンD、たんぱく質などの栄養素をバランスよくとりましょう。運動は、膝に負担の少ない水中歩行や自転車こぎなどがおすすめです。運動を始める前に医師や理学療法士に相談しましょう。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと、眠れない日が続いたり、気分が落ち込んだりすることがあります。それは自然な反応です。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医療者に話しましょう。つらい気持ちが続く場合は、心のケアの専門家に相談することも選択肢の一つです。
予防
完全に防ぐことはできませんが、膝への負担を減らす生活習慣でリスクを下げられます。特に、体重管理、適度な運動、けがをしないこと、下肢の筋力を保つことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 膝の曲げ伸ばしが悪くなり、歩きづらくなる
- 太ももの筋肉が衰えて転倒しやすくなる
- 痛みが続いて生活の質が低下する
- 症状が進むと手術が必要になることがある
長期的な見通し
膝の痛みは、多くの場合、適切な治療や生活の工夫で症状を和らげることができます。関節の状態に合わせて無理をしない生活を続ければ、痛みと上手に付き合いながら活動的な日々を保つことができます。希望を持って、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。