長く続く耳鳴り(耳鸣)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
耳鳴りとは、実際には音がしていないのに、耳や頭の中で音が聞こえる状態のことです。「キーン」「ザー」「ブーン」など、人によってさまざまな音が聞こえます。長く続く耳鳴り(慢性耳鳴り)は、命にかかわる病気というより、耳の働きや聴力の変化などが関係する症状として考えられています。原因やからだの状態によって、感じ方や気になり方は変わるものです。
重要な事実
- 耳鳴りは病気そのものではなく、何らかのサインとして起こる症状です。
- 長く続く耳鳴りは、睡眠や気分に影響をおよぼすことがあります。
- 補聴器や音響療法などの工夫で、気にならなくなる例が多くあります。
とてもよくある症状です。日本では成人のおよそ10~20%が一度は耳鳴りを経験するとも言われています。長く続く方は一部ですが、決してまれではありません。
聴力が低下しはじめる中年以降の方や、大きな音の環境で長年仕事をしてきた方に多くみられます。子どもや若い方にも起こることがありますが、言葉でうまく説明できず、まわりの人が気づきにくい場合があります。
症状
- 突然、片方の耳がほとんど聞こえなくなった
- 強いめまいやふらつき、吐き気をともなう
- 顔や手足のしびれ・まひ、言葉がでてこない、視界がおかしい(脳卒中の可能性がある)
- 頭を強く打ったあとに耳鳴りがあらわれた
- ⚠耳鳴りに加えて、耳の痛みや耳だれがある
- ⚠耳鳴りが急にひどくなり、日常生活に支障が出ている
- ⚠発熱やふらつきをともなう場合
一般的な症状
- 「キーン」「ザー」「ブーン」「シュー」など、いろいろな音が聞こえる
- 音の大きさや種類が、その日や時間帯によって変わる
- 夜や静かな場所で特に気になりやすい
- まわりがにぎやかなときは、ほとんど気にならないこともある
子供の症状
- 耳鳴りを言葉で説明できず、聞き返しが増えたり、耳を気にする仕草をみせることがあります
- 「耳がボーッとする」など、大人と少しちがう表現をすることがあります
- 集中力が落ちて勉強に手がつかないと感じることもあります
高齢者の症状
- 加齢による聴力低下と同時に起こることが多く、高音の耳鳴りが多い傾向があります
- 血圧や血流の変化、持病の薬の影響を受けやすい方もいます
- 転倒や気分の落ち込みなど、二次的な問題につながることもあるため注意が必要です
原因
主な原因
- 聴力の低下(加齢によるものや騒音によるものなど)
- 耳あかや異物が外耳道につまる
- メニエール病など内耳の病気
- ストレスや疲れ、睡眠不足
- 高血圧や血流の乱れ
- 一部の薬剤が原因になることもあります(自己判断せず、医師に相談してください)
リスク要因
- 年齢(中年以降)
- 大きな音に長期間さらされる(コンサート、工場、作業場など)
- 聴力の低下がある
- 長期間のストレスや睡眠不足
- 高血圧、糖尿病などの持病がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の難聴や強いめまい、顔まひなどがある場合は、すぐに119番へ連絡するか、休日夜間救急外来を受診してください
- 耳鳴りが数日のうちに急に悪化し、日常生活がつらいと感じる場合は、当日中に耳鼻咽喉科へ相談してください
定期受診を予約すべき場合:
- 耳鳴りが2週間以上続く、または繰り返す
- 耳鳴りのせいで眠れない、気分が落ち込む
- 耳鳴りと一緒に、聞こえが悪くなったと感じる
診断
耳鼻咽喉科で、いつからどんな音かなどの問診を受け、耳の内視鏡検査と聴力検査が行われます。必要に応じて、めまいの検査や画像検査(CT、MRIなど)を追加することもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(いつから、どこで聞こえる、どんな音か、気になるときは?など)
- 耳の観察(耳あか、炎症、異物がないかの確認)
- 聴力検査(ヘッドホンをつけて小さな音を聞き、聞こえの状態を調べます)
- 必要に応じて、血液検査やCT・MRIなどの画像検査
診察で予想されること
痛みをともなう検査はほとんどありません。耳の内側を器具でのぞいたり、ヘッドホンで音を聞いたりするものが中心です。所要時間は、検査内容にもよりますが、おおよそ1時間前後です。
治療
耳鳴りを完全に消す方法は今のところありませんが、しばしば「気にならなくなる」ことを目指し、音を感じる習慣をやわらげる治療や工夫が行われます。聴力が低下している場合は、補聴器で聞こえを補うと、自然と耳鳴りが和らぐことがあります。
自宅でのセルフケア
- 大きな音の場所では耳栓をする(コンサート、工事現場、花火など)
- 静かすぎて気になる夜は、タイマー付きの小さな音楽や自然音を流す
- 十分な睡眠と休養をとり、疲れをためない
- ストレスを一人で抱え込まず、深呼吸や趣味でリラックスする
- カフェインやアルコールなど、耳鳴りを強く感じることがある刺激物を控えめにする
医療治療
治療には、耳の専門医による生活指導、補聴器、音響療法(耳鳴りを意識しにくくするための音を使う方法)、認知行動療法(耳鳴りへの感じ方や考え方を調整する方法)などがあります。薬物が使われることもありますが、耳鳴りを完全に消す目的ではなく、不眠や不安をやわらげることを目的に、医師が慎重に判断します。どんな薬を使うときも、自分で量を調整せず、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
耳鳴りそのものに対する手術はほとんどありません。ただし、まれに、血管の異常や耳の奥の腫瘍など、原因となる病気が見つかった場合に、その病気の治療として手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
「気にしないように」とあせると、かえって気になるものです。耳鳴りがあっても、好きなことや大切なことに目を向けて過ごすことが、上手に付き合う第一歩です。気持ちの状態によって、耳鳴りの感じ方は大きく変わります。
生活習慣のアドバイス
- 寝る前はスマートフォンやパソコンの画面を避け、静かな音楽や自然音を流す
- 毎日同じ時間に起きて、規則正しい睡眠リズムをつくる
- 散歩や軽い体操など、無理のない運動を習慣に取り入れる
- 趣味の時間を大切にし、楽しいことに注意を向ける
食事と運動
耳鳴りに特別に効く食事はありません。しかし、バランスのよい食事と適度な運動を続けることは、血行を良くし、ストレスを減らすためにも役立ちます。極端なダイエットや偏った食事は、からだの調子を崩しやすくなるので避けましょう。
精神的健康と心の健康
耳鳴りが続くと、不安やいらいら、眠れないなどのつらさを感じることがあります。それは決して特別なことではありません。ひとりで抱え込まず、家族や医療者に話すだけでも心が軽くなります。もし強い落ち込みや不安が続くようであれば、電話・オンラインの相談窓口や、心の健康を専門とする医師にも相談してください。
予防
すべての耳鳴りを予防できるわけではありませんが、騒音から耳を守ることと、生活習慣を見直すことは、耳鳴りを防いだり悪化させないために大切です。大きな音の場所では耳栓を使い、ヘッドホンやイヤホンの音量は下げるようにしましょう。
ワクチン
耳鳴りを直接予防するワクチンはありませんが、インフルエンザなどの感染症が耳の病気のきっかけになることがあります。予防接種は、日ごろから医師や自治体の案内にしたがって受けるのがおすすめです。
検診プログラム
聴力の変化が気になる方、仕事で大きな音にさらされる機会がある方は、定期的に聴力検査を受けることが予防や早期発見につながります。特に症状がなくても、健診や健康診断で耳の検査を積極的に受けるとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 耳鳴りのせいで眠れず、睡眠不足が続く
- 不安や落ち込み、集中力の低下が長びく
- 日常生活や仕事のパフォーマンスに影響が出る
- 原因となる病気(難聴や血流の問題など)を見逃してしまう可能性がある
長期的な見通し
耳鳴りは多くの場合、命に関わる危険な状態ではありません。原因の治療や補聴器、音響療法、認知行動療法などの支援により、時間とともに気にならなくなることがほとんどです。「何とかしなければ」とあせらず、あなたのペースで専門家と一緒に工夫を重ねていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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