朝の低血糖
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
朝の低血糖とは、起床時に血糖(血液中のブドウ糖)が正常な範囲より低くなっている状態を指します。血糖は脳や体のエネルギー源なので、低くなると、ふらつきや冷や汗、意識の混乱などが起こります。
重要な事実
- 朝の低血糖は、糖尿病の治療中の方に多いですが、糖尿病がない方でも起こりえます。
- 前日の食事量や運動、アルコール、睡眠中のホルモンの働きが関係することがあります。
- 低血糖は、適切な対処で回復しますが、重症になると意識を失うこともあり、早めの対応が大切です。
糖尿病の薬物治療を受けている人では比較的よくみられます。糖尿病がない人では、まれですが、ホルモンの病気などが原因であらわれることがあります。
特に、血糖を下げる薬を使っている人、食事量が少ない人、激しい運動をする人、アルコールを多く飲む人、副腎や甲状腺などの病気がある人に多い傾向があります。
症状
- 意識がない — すぐに119番に連絡
- けいれんを起こしている
- 呼びかけに反応しない
- ぐったりして意識がもうろうとしている
- ⚠低血糖の症状があっても、糖分をとっても改善しない
- ⚠糖尿病の治療中で、低血糖が頻繁に起こる
- ⚠転倒してけがをした、頭をぶつけた
一般的な症状
- 手足のふるえ
- 動悸(心臓がドキドキする)
- 強い空腹感
- めまい・ふらつき
- 集中できない・ぼんやりする
子供の症状
- 機嫌が悪くなる
- ぐずる・泣きやまない
- 落ち着きがなくなる
- 異常に眠そうになる
- 言葉が出にくくなる
高齢者の症状
- けん怠感
- ふらつき
- 転びやすい
- 意識がもうろうとする
- 言動がおかしい(認知症と間違われることも)
原因
主な原因
- 血糖を下げる治療薬が効きすぎる
- 夜間や早朝の空腹が長くなる
- 前日の夕食を抜いた、量が少なかった
- アルコールの飲みすぎ、特に空腹時の飲酒
- 副腎や下垂体、甲状腺などホルモンを調整する臓器の病気
- 運動を急に増やした
リスク要因
- 糖尿病の薬物治療中
- 食事量の減少や食欲不振
- 肝臓や腎臓の機能低下
- 激しいスポーツ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がもうろうとする場合や、周囲の人が呼びかけに反応しない場合は、すぐに119番に連絡してください
- 低血糖の症状が繰り返し起こる
定期受診を予約すべき場合:
- 朝の低血糖を何度も経験する
- 糖尿病の治療中の方は、薬を調整する必要があるため必ず医師に相談
- 低血糖の原因がはっきりしない場合
診断
医師が症状の詳しい話を聞き、空腹時や低血糖時、または症状が出たときに血糖値を測定します。血糖値が低いのに症状がある場合は、その後に症状が改善するかを確認することも重要です。
行われる可能性のある検査
- 血糖値の測定(空腹時や症状のあるとき)
- 血中インスリン値・Cペプチド値の測定
- 肝機能・腎機能検査
- 副腎皮質ホルモンなどのホルモン検査
- 腹部超音波やCT検査(まれに膵臓の腫瘍の確認)
- 72時間空腹試験(原因不明の場合)
診察で予想されること
問診と採血が中心です。必要に応じて、数時間から数日の検査入院をすすめることもあります。検査は痛みをともなう場合がありますが、たいていは安全に行えます。
治療
治療の目標は、低血糖をおこさない状態を維持することです。原因に応じて、食事療法、運動、薬の調整をおこないます。糖尿病の治療薬の変更は、必ず医師の指示に従ってください。低血糖が起きたときには、まず糖分を摂取して回復させることが基本です。
自宅でのセルフケア
- 低血糖の症状を感じたら、ブドウ糖や砂糖入りの飲み物、飴などを摂取する
- 朝食を抜かない
- 食事の間隔が長くなる時は、軽食や間食をとる
- 運動の前後には補食をとる
- アルコールを飲むときは食事をとりながら適量にする
- 低血糖が心配なときは、血糖測定器でこまめに確認する
医療治療
糖尿病の治療中の方では、使用中の血糖を下げる薬の種類や量を医師が調整します。また、ホルモンの病気が原因の場合は、不足しているホルモンを補うホルモン補充療法などをおこないます。くすりの選択や使い方は、必ず医師の診察に基づいて決められます。
手術が検討される場合
膵臓の腫瘍(インスリノーマなど)が原因で低血糖が続く場合に、手術が検討されることがあります。ただし、多くの低血糖では手術は必要ありません。専門医とよく相談してください。
この病気と共に生きる
朝の低血糖を予防するには、前日の夕食の内容と時間が大きく影響します。夕食を抜かず、野菜、たんぱく質、炭水化物をバランスよくとりましょう。また、就寝前に低血糖が心配なときは、医師や看護師に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムで食事時間を一定にする
- 低血糖の症状を感じたら、無理をせずすぐに行動する
- 家族や職場の人に、低血糖の症状と対処法を伝えておく
- 携帯用に飴やブドウ糖を持ち歩く
食事と運動
食事は、精製された糖質だけに頼らず、食物繊維を含む野菜やたんぱく質を一緒にとると、血糖値が急激に変動しにくくなります。運動は食後を中心に、空腹時を避けて行いましょう。
精神的健康と心の健康
低血糖が起こると、強い不安や恐怖を感じることがあります。また、低血糖の予防のために気を張りすぎて疲れてしまうこともあります。そうした気持ちは自然なものです。心配な時は、医療者に相談して安心を得てください。気分の落ち込みが続くときは、専門家のサポートを受けることも重要です。
予防
朝の低血糖は、原因によっては生活習慣の改善と薬の調整で予防できます。ただし、糖尿病の治療薬を使っている人が自己判断で薬をやめたり減らしたりするのは危険です。必ず医師の管理のもとでおこないましょう。
ワクチン
低血糖そのものを予防するワクチンはありません。
検診プログラム
糖尿病などの持病がある方は、定期的な血糖値のチェックと医師の診察が大切です。低血糖の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 意識障害や昏睡(こんすい)
- けいれん
- 転倒によるけが(骨折など)
- 認知機能の低下
- 心血管イベント(不整脈など)のリスク上昇
長期的な見通し
適切な治療と生活習慣の改善により、低血糖をしっかり予防し、健康な生活を続けることができます。糖尿病やホルモンの病気がある方も、医師と協力することでコントロールは可能です。不安を抱え込まず、一歩ずつ対処していきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。