血糖値の乱れ(代謝の不安定さ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(体のエネルギー源)の量のことです。健康な体では、ホルモンの働きによって血糖値は一定の範囲に保たれています。しかし、この調整がうまくいかないと、血糖値が高くなったり低くなったりして、体調に変化が現れることがあります。このように血糖値が上下して体調に影響する状態を、ここでは「血糖値の乱れ」と呼びます。血糖値の乱れは、食事や運動、ストレスなどによって一時的に起こることもあり、「来たり消えたりする」ことが特徴です。
重要な事実
- 血糖値は、食べ物から吸収される糖分と、ホルモン(インスリンやグルカゴンなど)の働きによって調節されています。
- 血糖値が乱れると、だるさ、眠気、めまい、イライラ、冷や汗などの症状が出ることがあります。
- 頻繁に起こる場合や、症状が強い場合は、糖尿病などの病気のサインであることもあるため、医療機関で相談することが大切です。
はい、非常によく見られる症状です。健康な人でも、食後に一時的に血糖値が上がったり、空腹時に下がったりして体調が変わることがあります。ただし、症状が頻繁に現れたり、生活に支障をきたす場合は、体の代謝に問題がある可能性があります。
年齢や性別を問わず起こり得ますが、特に糖尿病の家族がいる人、運動不足の人、過体重や肥満の人、妊娠中の人、更年期の女性などに起こりやすいことが知られています。
症状
- 意識がもうろうとする、または意識を失った
- けいれんが起きた
- 呼びかけに対して反応がなく、緊急の対応が必要な状態
- このような場合は、すぐに119番に電話してください。
- ⚠冷や汗、激しい動悸、強い震えがあり、立っていられない
- ⚠めまいがひどく、何かにつかまらないと歩けない
- ⚠血糖値の乱れによる症状が繰り返し起こり、日常生活に支障が出ている
一般的な症状
- 食後に強い眠気を感じる
- 空腹時にめまい、冷や汗、手の震えが起こる
- イライラしやすくなる
- 疲れやすく、体がだるい
- 頭がぼーっとする、集中できない
- 甘いものが異常に食べたくなる
子供の症状
- 理由がなく機嫌が悪くなったり、泣きわめいたりすることがある
- 授業中に集中力が続かず、眠そうにする
- 朝起きられず、朝食を抜くと体調が悪くなる
- 冷や汗や手足の震えが出ることがある
高齢者の症状
- めまいやふらつきがあり、転倒しやすくなる
- 強いだるさや疲労感が続く
- 高齢者は低血糖の症状(冷や汗や動悸など)が出にくく、代わりに意識がぼんやりしたり、混乱のようになることがある
- 認知症に似た症状(返事が遅い、話がまとまらない)が一時的に見られることがある
原因
主な原因
- 食事から摂る糖質量と、インスリンなどのホルモンのバランスが崩れること
- 食事の時間や量が不規則である(食べすぎ、食べなさすぎ、間食が多いなど)
- ストレスや睡眠不足により、自律神経やホルモンの働きが乱れること
- 運動不足により、筋肉で糖を消費しにくくなること
- 飲酒やカフェインの過剰摂取が血糖値の上下に影響すること
- まれに、膵臓や副腎、甲状腺などのホルモンを分泌する臓器の病気が原因となること
リスク要因
- 糖尿病の家族がいる
- 過体重または肥満である
- 運動の習慣がない
- 食事の時間が不規則で、夜食や間食が多い
- 妊娠中である(妊娠糖尿病のリスク)
- 更年期など、女性ホルモンの変化による影響
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 冷や汗や動悸が突然起こり、意識がうすれそうになる
- 低血糖のような症状が頻繁に起こり、自分で対処できない
- 血糖値の乱れによる症状で、日常生活ができなくなるほど苦しい
定期受診を予約すべき場合:
- 食後の眠気やだるさが続く
- 健康診断で血糖値やHbA1c(過去1~2か月の平均的な血糖の状態を示す指標)の値が異常と言われた
- 体重が急に増えたり減ったりする
- 疲れやすさ、イライラ、めまいなどが慢性的に続く
診断
医師はまず、あなたの症状、食事や運動の習慣、家族歴について詳しく聞きます。そのうえで、血糖値が乱れているかどうかを調べるために血液検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値の測定(8時間以上食事をとらずに採血する)
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の測定(過去1~2か月の平均的な血糖値を反映する)
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖を飲んだ前後の血糖値を測り、体の糖の処理能力を調べる)
- ホルモンや甲状腺の機能を調べる血液検査(必要に応じて)
診察で予想されること
採血は数分で終わります。結果が出るまで通常は数日かかるため、後日改めて結果を聞くための受診が必要です。医師から結果の説明を受け、今後の生活や治療について相談できます。
治療
血糖値の乱れの治療は、原因や生活習慣によって異なります。多くの場合、まず食事・運動・睡眠などの生活習慣を整えることから始めます。生活習慣の改善だけでは足りない場合は、医師の指導のもとで薬を用いることもあります。治療の目標は、血糖値を安定させ、症状を和らげ、将来の合併症を防ぐことです。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい食事:1日3食、時間を決めて、野菜・たんぱく質・糖質の順に食べると血糖値の上がり方がゆるやかになります。
- 適度な運動:食後に10分ほど歩くだけでも血糖値の上昇を抑える効果があります。
- 十分な睡眠を確保し、ストレスをためない工夫をする。
- 甘い飲み物やお菓子のとりすぎに注意する。
- 空腹時に低血糖の症状が出やすい人は、1回の量を減らして回数を増やすなど、自分に合った食べ方を見つける。
医療治療
医療機関では、血糖値を調整する薬や、インスリンというホルモンを補充する薬が使われることがあります。薬の種類や量は、血糖値の値や症状、生活スタイルによって一人ひとり異なります。必ず医師の指示に従い、自己判断で量を変えたりやめたりしないでください。また、血糖値の乱れの原因となるほかの病気(甲状腺や副腎などの病気)が見つかった場合は、その病気の治療が優先されます。
手術が検討される場合
一般的に、血糖値の乱れそのものに対する手術はありません。ただし、まれに血糖値を上げるホルモンを過剰に分泌する腫瘍(インスリノーマなど)が原因で血糖値が乱れる場合があり、その場合は手術で腫瘍を取り除くことがあります。
この病気と共に生きる
血糖値の乱れと上手につきあうには、自分の体調の変化に気づくことが第一歩です。毎日の食事内容、運動、睡眠時間、症状が出た時間帯をノートやアプリに記録すると、症状が起きやすい場面が見えてきます。健康診断や医師の診察も定期的に受け、変化があれば相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に食事をする
- ウォーキングなど軽い運動を習慣にする
- 睡眠時間をしっかり確保する
- ストレスをため込まないためのリラックス方法を見つける
- タバコや過度の飲酒は控える
食事と運動
野菜やたんぱく質を先に食べ、そのあとにごはんやパンなどの糖質を食べると、血糖値が上がりにくくなります。運動は1日30分、週に150分程度を目安に、無理のない範囲で続けましょう。食後に10分歩くだけでも効果があります。運動を始める前に、かかりつけ医に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
血糖値が乱れると、だるさや不安感、イライラが続き、気分が落ち込むことがあります。また、体調を気にしすぎてストレスを感じることもあります。そんなときは無理をせず、家族や友人に話を聞いてもらったり、医療機関や相談窓口を利用してください。気分の落ち込みが長く続き、日常生活に影響が出る場合は、心の健康の専門家に相談することも重要です。
予防
血糖値の乱れは、健康的な生活習慣を続けることで予防できることが多いです。バランスのよい食事、適度な運動、質のよい睡眠、ストレス管理が基本です。特定の食品やサプリメントに頼るのではなく、長く続けられる生活習慣を身につけることが大切です。
ワクチン
血糖値の乱れそのものを防ぐワクチンはありません。ただし、糖尿病などの持病がある人は感染症にかかると重症化しやすいため、インフルエンザなどの定期接種について医師と相談するとよいでしょう。
検診プログラム
日本では、40歳から始まる特定健診(メタボリックシンドローム検診)や職場の健康診断で、血糖値がチェックされます。これらの検査を定期的に受けることで、血糖値の異常を早く発見し、早期に対策をとることができます。
合併症
治療しない場合
- 境界型糖尿病(正常と糖尿病の間の状態)から糖尿病へ進行することがあります。
- 動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気を起こしやすくなります。
- 神経が障害され、手足のしびれや感覚の低下が現れることがあります。
- 腎臓の機能が低下し、腎不全になるリスクがあります。
- 目の網膜の血管が傷つき、視力低下や失明につながることがあります。
長期的な見通し
血糖値の乱れは、早期に気づいて生活習慣を改善すれば、進行を防いだり、健康な状態を取り戻したりできることが多いです。たとえ糖尿病と診断されても、適切な治療と自己管理を続けることで、合併症を抑えながら穏やかに過ごすことができます。あきらめずに、医療者と一緒に取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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