繰り返す腎炎(腎臓の炎症)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎炎とは、腎臓(血液をろ過して尿を作る臓器)に炎症が起こる病気です。「繰り返す腎炎」は、症状が良くなったり悪くなったりを何度も繰り返すタイプの腎炎を指します。炎症が落ち着いている時期(寛解)と、再び悪化する時期(再燃)を繰り返すのが特徴です。適切な治療と管理で、多くの方は普通の生活を送ることができます。
重要な事実
- 腎炎の多くは、免疫の異常(自分の体を攻撃してしまうこと)が関係しています
- 再発を繰り返すと、腎臓の働きがゆっくりと低下することがあります
- 早期発見と治療で、重症化を防げる可能性があります
- かかりつけの医師と定期的に相談することが大切です
日本では、慢性腎炎の一部として繰り返すタイプの腎炎が見られます。特にIgA腎症(免疫グロブリンAというたんぱく質が腎臓にたまる病気)は比較的多く、再発を繰り返すことがあります。正確な頻度ははっきりしませんが、決してまれな病気ではありません。
どの年齢でも起こりえますが、特に若い成人(20~30代)に多く見られます。女性より男性にやや多い傾向があります。また、全身性エリテマトーデス(SLE)という自己免疫疾患を持つ方では、ループス腎炎として繰り返すことがあります。
症状
- 急に息苦しくなる、呼吸がゼーゼーする(肺に水がたまる可能性)
- 意識がもうろうとする、けいれんが起きる
- まったく尿が出なくなる(急性腎不全の可能性)
- ⚠急に血尿がひどくなり痛みを伴う
- ⚠顔や手足が急にひどくむくむ
- ⚠血圧が急に上がり頭痛がする
一般的な症状
- 尿に泡が多く立つ(たんぱく尿のサイン)
- 尿の色が赤っぽい、またはコーラ色(血尿)
- 顔やまぶた、足のむくみ(浮腫)
- 尿量が減る
- 疲れやすい、だるさが続く
子供の症状
- 成長の遅れや体重増加の停滞
- 学校で尿検査に異常が出る(健診で見つかることが多い)
- 熱やのどの痛みの後に症状が悪化することがある
高齢者の症状
- むくみが足や腰に強く出る
- 高血圧を伴いやすい
- 腎機能の低下がゆっくり進むことが多く、気づきにくい
原因
主な原因
- 免疫の異常(自分の腎臓を攻撃してしまうこと)
- 特定の感染症(のどや皮膚の感染)がきっかけになることがある
- 遺伝的な体質(家族に腎炎の方がいる場合など)
リスク要因
- のどの痛みや発熱を伴う感染症にかかりやすい
- 自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)を持っている
- 腎炎の治療を途中でやめてしまう
- 慢性的な高血圧や糖尿病がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿の色が急に赤黒くなった、またはまったく尿が出ない
- 呼吸が苦しい、胸が痛い
- 意識がぼんやりする、けいれんがある
定期受診を予約すべき場合:
- 尿検査でたんぱくや血がずっと出ている
- むくみが続く、または繰り返す
- 血圧が高いと言われたことがある
- 腎臓病の家族がいる
診断
医師が問診と診察を行い、尿検査・血液検査・画像検査(エコーなど)で腎臓の状態を調べます。必要に応じて腎生検(腎臓の組織を少し取って調べる検査)を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(たんぱくや血、免疫細胞の有無)
- 血液検査(腎機能や免疫の状態)
- 腎エコー(超音波で腎臓の形や大きさを調べる)
- 腎生検(確定診断や重症度評価のため)
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることがあります。腎生検は入院が必要な場合もありますが、小さな組織を取るだけなので体への負担は比較的少ないです。検査結果に基づいて、医師があなたに合った治療計画を立てます。
治療
治療の目標は、炎症を落ち着かせ、再発を減らし、腎機能を長く保つことです。重症度や原因によって治療法が異なります。必ず医師の指示に従い、自己判断で治療をやめないでください。
自宅でのセルフケア
- 塩分を控える(むくみや高血圧の予防)
- たんぱく質の摂りすぎに注意する(医師や管理栄養士のアドバイスに従う)
- 十分な休息をとり、疲れをためない
- 感染症予防のため、手洗い・うがいを徹底する
医療治療
治療には、炎症を抑える薬(ステロイドや免疫抑制薬)、血圧を下げる薬(腎臓を守る効果もある)、むくみを改善する薬などが使われます。重症の場合は、血液をきれいにする治療(透析)が一時的に必要なこともあります。治療は長期間にわたることが多いので、医師とよく相談しながら進めましょう。
手術が検討される場合
通常、繰り返す腎炎に対して手術が必要になることはほとんどありません。ただし、腎臓の機能が完全に失われた場合は、腎移植(健康な腎臓を移植する手術)を検討することがあります。これは最終的な選択肢の一つです。
この病気と共に生きる
症状が落ち着いている時期は、普通の日常生活を送ることができます。ただし、疲れやストレスは再発のきっかけになることがあるので、無理をしないことが大切です。定期的な通院と検査を続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- バランスの良い食事を心がける(減塩、適度なタンパク質)
- 適度な運動(ウォーキングなど)を習慣にする
- 禁煙する(喫煙は腎臓に悪影響)
- アルコールは適量にとどめる
食事と運動
食事は、医師や管理栄養士のアドバイスを受けるのが安心です。一般的には、塩分控えめ(1日6g未満が目安)、たんぱく質は控えめ(ただし極端な制限は不要)、カリウムやリンの制限が必要な場合もあります。運動は軽い有酸素運動(ウォーキング、水中ウォーキングなど)を週に数回行うと良いでしょう。無理な筋トレは避けてください。
精神的健康と心の健康
繰り返す症状や治療の長期化は、不安やストレスを感じることがあるかもしれません。そうした気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、医師に相談しましょう。必要であれば、心のケアの専門家(カウンセラーなど)に相談することも検討してください。
予防
繰り返す腎炎を完全に予防する方法はありませんが、再発を減らし進行を遅らせることは可能です。規則正しい生活、バランスの良い食事、感染症予防、ストレス管理が大切です。また、血圧や血糖値を適切にコントロールすることで腎臓への負担を減らせます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、感染症を予防し腎炎の悪化を防ぐのに役立ちます。医師と相談して接種を検討しましょう。その他のワクチンについても、主治医に相談してください。
検診プログラム
定期的な尿検査と血液検査による経過観察が重要です。症状がなくても年に1回は検診を受けることをおすすめします。特に家族に腎臓病の方がいる場合は、早めに医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 慢性腎臓病(腎機能が徐々に低下する)
- 高血圧が悪化する
- むくみがひどくなる(ネフローゼ症候群)
- 最終的に腎不全(透析が必要になる状態)になる可能性がある
長期的な見通し
適切な治療を受け、生活習慣に気をつければ、多くの方は腎機能を長く保つことができます。治療がうまくいけば、再発を減らし、普通の日常生活を続けることが可能です。腎臓の病気は長期にわたるものですが、医療の進歩により予後は改善しています。希望を持って、医療チームと一緒に歩んでいきましょう。
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地域の団体
- 厚生労働省 腎臓病に関するページ ↗ · 日本
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月30日
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