前立腺の病気と吐き気について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
前立腺(ぜんりつせん)は男性だけにある臓器で、尿の通り道(尿道)の周りにあります。前立腺に炎症や腫れが起こると、尿の出が悪くなったり、痛みが出たりします。また、重症化すると吐き気や発熱を伴うことがあります。吐き気は前立腺の病気が直接原因というより、炎症や感染が進んだときの体の反応です。
重要な事実
- 前立腺の炎症(前立腺炎)は細菌感染が原因になることが多い
- 前立腺が大きくなる病気(前立腺肥大症)では吐き気はまれだが、尿がたまると吐き気を起こすことがある
- 前立腺がんの治療中に吐き気が副作用として出ることがある
- 吐き気とともに高熱や排尿困難がある場合は緊急の可能性がある
前立腺の病気自体は中高年の男性に多く見られますが、吐き気を伴うのは比較的まれです。急性前立腺炎や前立腺がんの治療中など、特定の状況で見られます。
主に40歳以上の男性に多いですが、若い男性でも前立腺炎を起こすことがあります。前立腺肥大症は50歳以上に多く、前立腺がんは高齢になるほどリスクが高まります。
症状
- 全く尿が出ない(尿閉)
- 強い腹痛や腰の痛みで動けない
- 高熱(38.5度以上)と悪寒
- 意識がもうろうとする
- 吐き気がひどく、水分も取れない
- ⚠排尿時に強い痛みがある
- ⚠尿に血が混じる(血尿)
- ⚠吐き気が続く、または繰り返す
- ⚠発熱がある(37.5度以上)
- ⚠前立腺のあたりを押すと痛い
一般的な症状
- 頻尿(トイレが近い)
- 排尿時の痛みや違和感
- 尿が出にくい、または途中で止まる
- 夜間、何度もトイレに起きる
- 下腹部や腰、股の付け根の痛み
- 吐き気や気分が悪くなる
- 倦怠感(だるさ)
- 発熱や悪寒(寒気)
子供の症状
- 小児では前立腺の病気は非常にまれです。吐き気がある場合は、他の原因(胃腸炎や尿路感染など)を考えます。
高齢者の症状
- 高齢者では前立腺肥大症が多く、排尿困難が続くと膀胱に尿がたまり、それが原因で吐き気や食欲不振を起こすことがあります。
- 前立腺がんの治療(ホルモン療法など)の副作用として吐き気が出ることがあります。
- 発熱や強い痛みを伴う場合は、急性前立腺炎や尿路感染症の可能性があります。
原因
主な原因
- 急性前立腺炎: 細菌が前立腺に感染して炎症を起こす。まれに重症化して吐き気や発熱を伴う。
- 前立腺肥大症: 前立腺が大きくなり尿道を圧迫する。ひどくなると尿がたまり、吐き気を感じることがある。
- 前立腺がんの治療: ホルモン療法や抗がん剤治療の副作用として吐き気が出ることがある。
- 慢性前立腺炎: 長期間続く炎症で、吐き気は少ないが体調不良を感じることがある。
- その他: 前立腺の検査(生検など)後に一時的に吐き気を感じることがある。
リスク要因
- 年齢が50歳以上
- 前立腺炎や尿路感染症の既往歴
- 尿路のカテーテル(管)を使用している
- 糖尿病や免疫力の低下
- 長時間の座位や自転車運転
- 前立腺がんの治療中
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿が出ない、または尿の量が極端に少ない
- 高熱と強い痛みがある
- 吐き気がひどく、水分も取れない
- 意識がもうろうとする
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿の違和感や頻尿が続く
- トイレに行くたびに痛みがある
- 尿に血が混じる
- 原因不明の吐き気が続く
- 前立腺の病気と診断されていて、症状が悪化した
診断
医師が問診(症状や経過を聞く)と診察を行います。症状や年齢から前立腺の病気が疑われる場合、いくつかの検査を行って診断します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査: 尿に細菌や血液が混じっていないか調べる
- 血液検査: 前立腺の炎症の程度やPSA(前立腺特異抗原)という値を見る
- 直腸診: 医師が指を肛門から入れて前立腺の大きさや硬さを調べる
- 超音波検査: 前立腺や膀胱の状態を画像で確認する
- 尿流量検査: 尿の出方を測る
- 必要に応じて、CTやMRIなどの画像検査
診察で予想されること
診察では前立腺を直接触る検査(直腸診)があります。少し不快かもしれませんが、短時間で終わります。前立腺がんの検査が必要な場合、前立腺生検(組織を取る検査)が行われることもあります。検査結果は通常、数日から1週間程度でわかります。
治療
治療は原因によって異なります。細菌感染が原因なら抗菌薬(抗生物質)を使います。前立腺肥大症やがんの治療中に吐き気がある場合は、吐き気を抑える薬や生活の工夫で対応します。必ず医師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- 水分をしっかりとる(ただし尿閉の恐れがある場合は医師の指示に従う)
- 激しい運動や自転車に長時間乗るのは避ける
- 温かいお風呂にゆっくり入り、リラックスする
- 痛みがある場合は無理に我慢せず、安静にする
- アルコールや辛い食べ物は控える
医療治療
医師は前立腺の炎症に対して抗菌薬を処方することがあります(種類や期間は症状によります)。前立腺肥大症に対しては、前立腺を縮らせる薬や尿の出をよくする薬が使われることがあります。吐き気に対しては、吐き気止めの薬が処方されることもあります。前立腺がんの治療に伴う吐き気には、吐き気予防の薬を用いることがあります。これらの薬は医師の指示のもとで使用してください。
手術が検討される場合
薬で改善しない前立腺肥大症や、前立腺がんの一部のケースでは、手術(内視鏡手術や前立腺摘出など)が行われることがあります。吐き気そのものを手術で治すわけではなく、原因となる病気の治療が目的です。
この病気と共に生きる
前立腺の病気と付き合うには、定期的な通院と症状の記録が役立ちます。吐き気があるときは、無理をせず休むことが大切です。また、尿の出方や痛みの変化を医師に伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 排尿を我慢しない(トイレは我慢せずに行く)
- 適度な運動を続ける(ウォーキングなど)
- 便秘に気をつける(いきむと前立腺に負担がかかる)
- 喫煙は控える
食事と運動
バランスの良い食事を心がけましょう。特にトマトや大豆製品などの野菜を多くとると良いと言われています。ただし、特定の食品で病気が治るわけではありません。水分はこまめにとりましょう(1日1.5~2リットル程度)。排尿に問題がある場合は、就寝前の水分は控えめに。
精神的健康と心の健康
前立腺の病気や吐き気は、不安やストレスを感じることがあります。特にがんの治療中は気持ちが落ち込みやすいです。吐き気が続くと食欲が落ち、体力が低下することもあります。そうしたときは、一人で悩まずに医師や家族に相談しましょう。
予防
前立腺の病気すべてを予防する方法は確立されていません。しかし、健康的な生活習慣(バランスの良い食事、適度な運動、禁煙)がリスクを減らす可能性があります。感染が原因の前立腺炎は、尿路感染を防ぐことで予防できることがあります。
ワクチン
特になし
検診プログラム
前立腺がんの検診(PSA血液検査)は、50歳以上の男性に推奨されることがあります。ただし、すべての男性に必要なわけではなく、医師と相談して決めましょう。前立腺肥大症の検診は特にありませんが、症状があれば泌尿器科を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 急性前立腺炎が悪化すると、前立腺膿瘍(うみのたまり)になることがある
- 尿閉(尿が出なくなる)が長く続くと、腎臓に障害が出る可能性がある
- 前立腺がんを放置すると、転移するリスクがある
- 吐き気が続くと栄養不足や脱水を起こすことがある
長期的な見通し
前立腺の病気は早期に発見し、適切な治療を受ければ多くの場合、症状は改善します。吐き気も治療とともに治まることがほとんどです。前立腺がんも、早期発見・治療で治る可能性が高くなります。定期的な診察と生活習慣の見直しで、多くの方は日常生活に支障なく過ごせます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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