夜に悪化しやすい副鼻腔炎(ちくのう症)の正しい知識と対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副鼻腔炎は、鼻の奥にある空洞(副鼻腔)の中の粘膜が炎症を起こして腫れたり、膿(うみ)がたまったりする病気です。副鼻腔と鼻は細い通り道でつながっており、この通り道がふさがると、鼻づまりや痛み、頭重感などがおこります。夜になると横になることで鼻水がたまりやすく、症状が強く感じることが多くあります。
重要な事実
- 夜に横になると副鼻腔の通り道がつまりやすく、鼻づまりや痛みが強くなることがあります。
- 副鼻腔炎は風邪やアレルギー性鼻炎などがきっかけとなって起こることが多いです。
- 多くの副鼻腔炎は、適切なケアと治療で改善が見込めます。
とても一般的な病気で、日本では年間に多くの人が経験します。風邪をひいた後に続く鼻水や鼻づまりの中で、実際に副鼻腔炎が関係していることも少なくありません。
子どもから大人まで、すべての年齢で起こり得ます。特に、風邪をひきやすい人、アレルギー性鼻炎がある人、免疫力が低下している人は注意が必要です。子どもの場合は、大人よりも副鼻腔が小さく未発達なため、炎症をおこしやすいという特徴があります。
症状
- 高熱(40度近く)に加えて、激しい頭痛があり、首が硬く前を向けない
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応がにぶい
- 呼吸が苦しく、息ができない
- 目の周りやまぶたが急にはれ上がり、目が痛い・物が二重に見える
- ⚠高熱が続く(38度以上)
- ⚠目の周りが赤くはれて痛みが強い
- ⚠頬や額を押すと激痛があり、だんだん痛みが強くなる
- ⚠頭痛が急にひどくなる
- ⚠吐き気やおう吐がある
一般的な症状
- 鼻づまり、鼻水(透明から黄色や緑色のものまで)
- 顔や目の周り、額の痛み・重だるさ
- 頭痛(特に前かがみになると強くなる)
- 夜に悪化するせきや鼻水のつまり(後鼻漏:鼻水がのどに流れること)
- 嗅覚が鈍くなる、口臭がする
- 微熱、疲労感
原因
主な原因
- ウイルス感染(風邪やインフルエンザ)がきっかけで、副鼻腔の粘膜がはれて通り道がふさがる
- 細菌感染(ウイルス性の炎症の後に、細菌が増えて膿がたまる)
- アレルギー性鼻炎やハウスダスト、花粉などによる粘膜の炎症
- 歯の根の病気が原因で、上顎の副鼻腔に炎症が広がる(歯性上顎洞炎)
リスク要因
- 風邪をひきやすい・治りかけの時期に無理をする
- 喫煙や受動喫煙(たばこの煙を吸うこと)
- アレルギー性鼻炎、喘息
- 免疫力の低下(疲労、睡眠不足、ストレスなど)
- 副鼻腔の形がもともと狭い、鼻の中にポリープができるなどの鼻の構造の問題
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く、または熱がないのに顔や目の周りの痛みがとても強い
- 目の周りがはれて、目を動かすと痛い
- 頭痛が急にひどくなり、我慢できない
定期受診を予約すべき場合:
- 鼻づまりや鼻水が10日以上続いている
- 症状が一度よくなったのに、また悪くなった
- 何度も副鼻腔炎をくり返す
- 嗅覚が戻らない、集中力が落ちる
診断
問診と、鼻の内部をのぞく内視鏡検査などが基本です。必要に応じて、CT(エックス線を使って断層写真を撮る検査)やレントゲンで副鼻腔の状態を確認することもあります。
行われる可能性のある検査
- 鼻鏡や内視鏡で鼻の粘膜の状態、膿やポリープの有無を確認
- 副鼻腔のレントゲン検査またはCT検査
- 必要に応じて、膿の原因となる細菌を調べる検査
診察で予想されること
診察では、症状がいつから始まったか、鼻水の色、痛む場所、熱の有無などを聞かれます。特別な準備は必要ありません。鼻の奥を観察するときに少し違和感があることがありますが、短時間で終わります。
治療
副鼻腔炎の治療は、原因(ウイルス、細菌、アレルギーなど)に合わせて行います。多くの場合、症状をやわらげる処置と生活の工夫を組み合わせながら、数週間かけて改善を目指します。細菌感染が疑われる場合は、医師が適切な抗菌薬を処方することがあります(ご自身で判断せず、必ず医師の指示に従ってください)。
自宅でのセルフケア
- 上半身を少し高くして休む(枕を工夫する)ことで、夜の鼻づまりが楽になることがあります
- 加湿器や濡れタオルで部屋の湿度を50〜60%に保つ
- 鼻の通りをよくするために、蒸しタオルを鼻の周りにあてる(火傷に注意)
- 鼻水を温かい塩水で鼻うがいをして洗い流す(市販のキットが利用できます。清潔に行いましょう)
- 水分を多めに取り、鼻水をさらさらにする
医療治療
医療機関では、鼻の粘膜の腫れを軽くする薬、鼻水や炎症を抑える薬、気道の通りをよくする処置などが行われます。細菌感染の可能性が高い場合には、医師が選んだ抗菌薬を服用します。どの薬を使うかは症状や原因によって異なります。必ず医師の処方に従い、途中でやめずに飲み切ることが大切です。
手術が検討される場合
薬の治療でよくならず、副鼻腔の通りが悪い状態が続いたり、鼻の中にポリープ(良性のできもの)があったりする場合に、日帰りで行える手術を検討することがあります。手術が必要かどうかは、詳しい検査のあとに耳鼻咽喉科医(じびいんこうかい)が判断します。
この病気と共に生きる
副鼻腔炎は、完治するまでに時間がかかることがあります。夜に症状が強い場合は、日中の過ごし方にも注意しましょう。睡眠をしっかり取ることと、鼻に負担をかけない生活が回復への近道です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠とバランスの良い食事で免疫力を保つ
- たばこを吸わない・周囲のたばこの煙を避ける
- ストレスをためすぎない(深呼吸や軽い運動でリラックス)
- 外出後は手洗い・うがいを習慣にする
- 鼻を強くかみすぎない(耳や頭部に負担をかけないように)
食事と運動
栄養バランスの良い食事(特に緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンを意識する)と、無理のない範囲でのウォーキングなどの有酸素運動が免疫力を高める助けになります。激しい運動は逆効果のこともあるため、体調に合わせて行いましょう。
精神的健康と心の健康
夜も眠れないほど症状がつらいと、気分が落ち込んだり、イライラしやすくなったりすることがあります。「長引く」「また悪化した」という不安も自然な感情です。症状が体に出ている間は、自分を責めずに、回復を最優先に考えるようにしましょう。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、かぜ予防や鼻のケア、生活習慣の改善で、副鼻腔炎になるリスクや悪化を減らせる可能性があります。特に、風邪をひいた後に無理をせず休むことが大切です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種は、風邪や細菌感染のリスクを減らすことで、間接的に副鼻腔炎の予防に役立つことがあります。接種については、かかりつけ医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 炎症が長引いて慢性化し、鼻の中にポリープができることがある
- まれに、細菌が目の周りに広がって視力障害をおこすことがある
- まれに、脳の近くに炎症が広がって髄膜炎や脳膿瘍という重い病気になることがある
長期的な見通し
適切な治療とセルフケアを続ければ、多くの副鼻腔炎は数週間から数か月のうちに改善します。夜の症状がつらくても、焦らず根気よくケアを続けることが大切です。また、症状をがまんせずに医療機関に相談することで、早く快適に過ごせます。
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最終更新: 2026年7月31日
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