突然、血糖値が高くなる「急な糖尿病」とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血液の中の糖(血糖)が多くなりすぎてしまう病気です。「急な糖尿病」とは、数日から数週間という短い間に、のどの渇きやおしっこの量が増えるなどの症状が突然現れ、血糖値が非常に高くなってしまう状態をいいます。日本では、成人に急に起こる「劇症1型糖尿病」というタイプが比較的多いことが知られています。
重要な事実
- 急な糖尿病は、膵臓から出るインスリンというホルモンが急に不足して起こります。
- 早く気づいて治療すれば、命に関わる状態を防げます。
- 原因がはっきりしないことも多いですが、風邪や胃腸炎の感染がきっかけになることがあります。
糖尿病全体の中ではまれです。しかし、日本では特に成人に突然発症する「劇症1型糖尿病」が世界の中でも多いと報告されています。
子どもから大人まで、どの年齢でも起こり得ます。特に、若い人や中高年の成人で急に発症することがあります。糖尿病の家族歴がある人に多いわけではありません。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- けいれんを起こす
- 呼吸が速くて深い(クスマウル呼吸)
- 吐き気やおう吐が続き、水分がまったく取れない
- ⚠強いのどの渇きとおしっこの増加が急に現れた
- ⚠吐き気や腹痛があり、食事や水分が取れない
- ⚠家庭で血糖値を測れる場合、血糖値が非常に高い(300mg/dL以上など)
- ⚠目のかすみが急に出て、ものがはっきり見えない
一般的な症状
- 強いのどの渇き
- おしっこの量が増える、何度もトイレに行く
- 体がだるい、疲れやすい
- 体重が急に減る
- 目がかすむ、視界がぼやける
子供の症状
- おねしょが増える
- 甘いものを欲しがる、または食欲がない
- 機嫌が悪い、元気がない
- 吐き気やおなかの痛み
高齢者の症状
- 意識がぼんやりする、元気がない
- 口の中や皮膚が乾燥する(脱水)
- 風邪や肺炎などの感染症をきっかけに血糖が上がる
- いつもより歩きたがらない、動きが遅くなる
原因
主な原因
- 1型糖尿病:免疫の異常やウイルス感染などがきっかけで、インスリンを作る細胞が壊れてしまいます。
- 劇症1型糖尿病:膵臓のインスリンを作る細胞が数日で急激に破壊され、血糖値が急上昇します。
- 他の原因:特定の薬や膵臓の病気、内分泌の病気によって起こることもあります。
リスク要因
- 風邪や胃腸炎などの感染症
- 大きなストレスや過労
- 特定の薬剤の使用(医師が判断する必要があります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識の変化がある、または意識が薄れている場合
- 吐き気や腹痛が強く、水分や食事が全く取れない場合
- のどの渇き、おしっこの増加、体重減少が数日で急に現れた場合
定期受診を予約すべき場合:
- だるさ、のどの渇きなどが数週間続く場合
- 家族に糖尿病の人がいる場合、あるいは自分が糖尿病のリスクを感じている場合
診断
血液検査と尿検査で、血糖値やHbA1c(過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す値)を調べます。急な糖尿病では、ケトン体という物質が尿や血液にたまっているかが大切な手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:血糖値、HbA1c、ケトン体、血液の酸性度(pH)
- 尿検査:糖やケトン体
- インスリン分泌を調べる検査(血液中のC-ペプチド)
診察で予想されること
まず問診と尿・血液検査が行われます。急に症状が出ている場合は、脱水やケトアシドーシス(血液が酸性になる危険な状態)がないかを確認するため、入院して詳しく調べることがあります。検査は痛みを伴いますが、すぐに終わります。
治療
治療の中心は、足りなくなったインスリンを補うことです。急に血糖が高くなり、ケトン体がたまっている場合は、入院して点滴などで状態を安定させてからインスリン治療を始めます。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された方法で、毎日決まった時間にインスリン注射を行う(自己管理の練習が必要)
- 血糖値の記録をつけて、受診のときに医師に見せる
- 脱水を防ぐため、飲み物をこまめに飲む(ただし、砂糖入りの飲み物は避ける)
- 低血糖(冷や汗・動悸・ふるえ)が起きたときの対処法を医師や看護師に確認しておく
医療治療
インスリン療法が基本です。インスリンは注射またはインスリンポンプ(持続皮下インスリン注入)で補充します。医師が、あなたの生活スタイルや血糖値の状態に合わせて、具体的なインスリンの種類や量を決めます。どの薬を使うかは必ず医師が判断します。
手術が検討される場合
この病気自体に対して通常、外科手術は行いません。ただし、膵臓の病気や腫瘍が原因で糖尿病が起こっている場合は、原因となる病気の治療として手術が必要なことがあります。
この病気と共に生きる
毎日の血糖値の測定と、決められたインスリン注射が欠かせません。通院を続け、HbA1cの値と血糖の状態を定期的に評価します。急な発症で戸惑うかもしれませんが、医療チームが生活のリズムに合わせて治療を調整してくれます。
生活習慣のアドバイス
- 食事を規則正しく、3回しっかりとる
- 炭水化物(ごはん、パン、めん類)の量を毎食だいたい一定にする
- 適度な運動(医師に相談してから始める)
- 十分な睡眠をとり、ストレスをためない
- たばこはやめ、お酒は医師に相談して飲む
食事と運動
栄養バランスの良い食事を心がけ、甘い飲み物やお菓子をとりすぎないようにします。運動は血糖値を下げるのに役立ちますが、急に激しい運動をすると低血糖を起こすこともあるため、歩くなどの軽い運動から始め、医師や看護師に相談しながら続けましょう。
精神的健康と心の健康
突然の病気に驚き、不安や悲しみを感じることはとても自然です。血糖コントロールに悩んだり、毎日の注射が負担に感じたりするかもしれません。こころの不調が続く場合は、ひとりで抱えずに医師や看護師、臨床心理士に話してください。必要に応じて、精神科の先生を紹介してもらうこともできます。
予防
急な糖尿病の多くは、原因がはっきりせず、予防が難しいのが現状です。ただし、日頃からバランスの良い食事、適度な運動、十分な休養を心がけ、のどの渇きや体重減少など、体のサインを見逃さないことが大切です。
ワクチン
感染症は血糖値を急に悪化させるきっかけになるため、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種がすすめられることがあります。予防接種の時期や種類は、かかりつけの医師と相談してください。
検診プログラム
健康診断で血糖値を測ることは大切です。特に症状がなくても、年に1回は血液検査を受け、血糖値が高いと言われたら放置せずに医療機関へ相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- ケトアシドーシス:血液が酸性になる命に関わる状態
- 昏睡(こんすい):意識を失う危険な状態
- 重度の脱水
- 感染症を起こしやすくなる
- 長期的には、腎症(腎臓の病気)、網膜症(目の病気)、神経障害(しびれなど)が進む
長期的な見通し
急な糖尿病は驚くほどのスピードで進行しますが、早く診断して適切なインスリン治療を始めることで、多くの場合、症状は改善し、元気な日常生活を送ることができます。治療を続けることで、合併症を防ぎ、安心して暮らせるようになります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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