夜間のめまい(寝ているときの回転性めまい)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
夜間のめまいとは、夜、布団に入って寝返りを打ったときや、起き上がろうとしたときに起こる「グルグル回る」めまいのことです。多くは、耳の奥の三半規管(体のバランスを感じる器官)に小さな結晶が入り込むことで起こる「良性発作性頭位めまい症」が原因です。しかし、他の病気が原因となっている場合もあるため、医師の診断が大切です。
重要な事実
- 夜間のめまいの多くは良性発作性頭位めまい症(BPPV)によるもので、適切な運動や生活の工夫で改善しやすい。
- めまいの原因を調べるには、耳鼻咽喉科の受診が役立ちます。
- 突然の強い頭痛やしびれを伴うめまいは、脳卒中など緊急の病気の可能性があるため、すぐに119番に連絡してください。
はい、とても一般的な症状です。特に中高年に多く見られますが、どの年齢でも起こり得ます。
特に50歳から70歳の方に多く、女性は男性の約2倍起こりやすいとされています。また、頭部にけがをした経験のある方や、寝不足・ストレスが多い方にもよく見られます。
症状
- めまいとともに、突然の激しい頭痛がある
- ろれつが回らない、言葉が出てこない
- 片方の手足に力が入らない・しびれる
- 顔のゆがみがある
- 意識がもうろうとする・意識を失う
- めまいに加えて、胸の痛み・圧迫感・呼吸困難がある
- ⚠めまいが30分以上続く、または何日も繰り返す
- ⚠耳鳴りや難聴が急に現れた
- ⚠ひどい吐き気やおう吐で水分が取れない
- ⚠まっすぐ立っていられない、歩けない
- ⚠目の動きがおかしい
- ⚠糖尿病や高血圧などの持病がある人が新しいめまいを起こした
一般的な症状
- 寝返りを打ったとき・起き上がったとき・仰向けから横向きになったときに、部屋が回るような激しいめまいが起こる(数十秒〜1分程度で治まることが多い)
- めまいに伴う吐き気やおう吐
- めまいが治まった後も、頭がふわふわする残る感じ
- 動くのが怖くなり、じっとしていたくなる
子供の症状
- 子どもではめまい自体は少ないですが、中耳炎や偏頭痛、乗り物酔いなどが原因で夜間にめまいを起こすことがあります。
- ぐずる、顔色が悪い、まっすぐ歩けないなどのサインが見られたら、無理に動かさずに休ませ、かかりつけ医や小児科に相談してください。
高齢者の症状
- 高齢者は、めまいとともに転倒リスクが高まります。特に夜中にトイレに立つときなどは注意が必要です。
- めまいだけでなく、ろれつが回らない、片方の手足が動かない、意識がもうろうとするなどの症状があれば、まず脳卒中の可能性を考え、すぐに119番してください。
- 高齢者は、血圧の変動や心臓の病気、薬の副作用でめまいを起こすこともあるため、自己判断せずに医師に相談しましょう。
原因
主な原因
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV):耳の奥の耳石という小さな結晶がはがれて三半規管に入り込み、頭の動きをきっかけにめまいを起こす。最も多い原因です。
- メニエール病:内耳のリンパ液が増えて圧が高まり、めまい・耳鳴り・難聴を繰り返す病気。
- 前庭神経炎:内耳からの情報を脳に伝える神経が炎症を起こし、突然の強いめまいが数日続く。
- 起立性低血圧:体を起こしたときに血圧が大きく下がり、めまいや立ちくらみが起こる。
- そのほか、中耳炎、脳の血流の低下、心臓の不整脈、薬の副作用なども原因になり得ます。
リスク要因
- 加齢(特に50代以降)
- 頭部にぶつけた経験がある
- 寝不足や疲労、強いストレス
- 長時間同じ姿勢でいる(スマートフォンを寝転がって見るなど)
- 高血圧・糖尿病・心臓病などの生活習慣病
- 水分不足や低栄養
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- めまいとともに、激しい頭痛・ろれつの回らなさ・片方の手足のまひ・意識障害がある場合は、迷わず119番に連絡してください。
- 胸の痛みや呼吸困難を伴うめまいも緊急です。
- めまいで立てない、ぐったりしている、けいれんがある場合も救急車を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- めまいが繰り返し起こる、日中のめまいにもつながる、耳鳴りや難聴がある、吐き気が強い。
- 気になり始めたら、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- かかりつけ医がいる場合は、まずそこに相談しても良いですが、めまいの専門は耳鼻咽喉科です。
診断
医師はまず、いつから、どのようなときに、どのくらいのめまいが起こるかを詳しく質問します。次に、あなたの頭を安全な範囲で動かしてめまいを再現させる検査(頭位変換検査)や、耳の観察、目や体のバランスのチェックを行います。必要に応じて、聴力検査や画像検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 頭位変換検査(めまいを起こす頭の位置を確認する検査)
- 聴力検査
- 平衡機能検査(体のバランスを調べる検査)
- MRIやCT(まれに、脳や内耳の状態を詳しく見るために行う)
診察で予想されること
耳鼻咽喉科では、頭を動かすだけの簡単な検査が中心です。痛みはほとんどありません。めまいが出る検査もありますが、すぐに治まるように医師が対応してくれます。検査結果はその場で説明してもらえることが多いです。
治療
治療は原因によって異なります。最も多い良性発作性頭位めまい症では、はがれた耳石を元の場所に戻す「耳石置換法」という一連の頭の運動が効果的です。吐き気が強い場合や、原因となる病気に合わせて、対症療法(症状をやわらげる治療)も行われます。
自宅でのセルフケア
- めまいが起きたときは、無理に動かさず、安全な場所に座ったり横になったりして安静にしましょう。
- 明るい光や急な動きを避け、目を開けて一点を見つめるとめまいが少しやわらぐことがあります。
- 寝るときは頭を少し高くする枕の高さにし、寝返りはゆっくりと。
- 水分をしっかりとり、寝不足やストレスをためないようにしましょう。
- めまいが続く間は、車の運転や高所作業など危険を伴う活動は避けてください。
医療治療
薬物療法では、めまいや吐き気を和らげるお薬や、血流を改善するお薬が使われることがありますが、これらの薬は医師が原因や症状に合わせて処方します。市販薬を自己判断で使わず、必ず医師の指示に従ってください。また、メニエール病などでは、塩分を控える食事療法とともに、内耳の圧を調整する薬が使われることもあります。
手術が検討される場合
良性発作性頭位めまい症に対して手術が必要になることはほとんどありませんが、薬や運動療法でよくならない場合や、腫瘍や炎症など、内耳や神経に手術が必要な病気が見つかった場合には、専門医と相談しながら手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
夜間のめまいは、正しい知識と対処法で、日常生活を安全に保つことができます。夜中にトイレに立つときは、まずベッドや布団の端に座って数秒待ち、ゆっくり立ち上がりましょう。枕元に手すりを付ける、夜中は小さな明かりをともしておくなど、転倒しにくい環境作りが役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 毎日十分な睡眠をとる(7〜8時間を目安に)
- 寝る前のスマートフォン操作や、激しい運動を控える
- 急に頭を動かさない、特に朝起きたときはゆっくり動く
- ストレスを発散する・感じたら無理をしない
- 規則正しい生活リズムで、三食しっかり食事をとる
食事と運動
食事は、塩分の取りすぎに注意し、バランスよく食べることが大切です。特にメニエール病の方は、塩分を控えるよう医師から指示されることがあります。運動は、めまいが治まっている時期に、無理のないウォーキングなどの軽い運動を続けると、血流がよくなり、めまいの予防に役立つことがあります。めまいがするときは、運動を中止して休みましょう。
精神的健康と心の健康
夜間のめまいは、「また夜になるのが怖い」「眠るのが不安」といった気持ちを引き起こすことがあります。不安やおそれは自然な反応です。無理に我慢せず、家族や友人、医師に気持ちを話してください。それでも不安が続く場合は、心療内科やカウンセラーに相談するのも一つの方法です。
予防
すべてのめまいを予防することはできませんが、次のような工夫で、良性発作性頭位めまい症の再発や、転倒による事故を減らせる可能性があります。頭を急に動かさない、寝るときは頭を少し高くする、体調を整えることが大切です。また、高血圧や糖尿病などの持病がある場合は、きちんと治療しておくことが、めまいの予防と関係する場合があります。
ワクチン
めまい全般を予防するワクチンはありませんが、原因の一つである中耳炎などを防ぐ予防接種は、一部の感染症を予防するのに役立つことがあります。予防接種の種類や時期については、医師に相談してください。
検診プログラム
定期的な健康診断で、血圧や血糖値、コレステロールなどをチェックしておくことは、生活習慣病に関連するめまいを防ぐことにつながります。年に一度は健康診断を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- めまいを繰り返すうちに、夜中に転倒してけがをするリスクが高まります(特に高齢者では骨折などにつながることも)。
- めまいが続くと、外出や家事がおっくうになり、活動量が減ることで筋力低下や体力低下を招くことがあります。
- 睡眠不足と不安が悪化し、めまいがさらに起こりやすくなる悪循環に陥ることがあります。
長期的な見通し
多くの夜間のめまいは、良性発作性頭位めまい症など、適切な治療でよくなる病気です。耳石置換法により、数回の治療でめまいが消えることも少なくありません。原因によっては少し時間がかかることもありますが、適切な診断と治療を受ければ、ほとんどは改善が見込めます。安心して治療に取り組んでください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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