夜間の視力低下(暗いところで見えにくい)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
夜間の視力低下とは、暗い場所や夜に物が見えにくくなる状態のことです。これは「夜盲症(やもうしょう)」とも呼ばれます。明るい場所ではしっかり見えるのに、暗くなると見えにくくなる、明るい場所から暗い場所に移動したときに目が慣れるまで時間がかかる、といった症状が特徴です。一つの病気というより、目のさまざまなトラブルのサインとして現れることが多いです。
重要な事実
- 夜間の視力低下は白内障や網膜の病気、ビタミンA不足などが原因で起こることがあります。
- 「暗い所で少し見えにくい」というだけなら、特に病気でない場合もあります。
- 急に症状が出たり、片目だけ見えにくくなった場合は、すぐに医療機関を受診してください。
夜間の視力低下は、高齢者では比較的よく見られる症状です。20代や30代でも、近視が強い方や網膜の病気がある方に現れることがあります。原因によって頻度は異なりますが、珍しい症状ではありません。
どんな年齢でも起こる可能性がありますが、特に高齢者、強度の近視の方、ビタミンAが不足しがちな方、目の病気の家族歴がある方に多く見られます。子どもでは生まれつきの網膜の病気が原因となることがあります。
症状
- 突然、片目または両目の視力が落ちた
- 視野の一部が急に欠けた(真っ暗に見える部分がある)
- 光が走るような閃光(せんこう)が続く
- 目を動かすと痛みがあり、視力も落ちている
- 交通事故や転倒など、夜間の見えにくさでけがをした場合は119番を呼ぶ
- ⚠数日から数週間のうちに夜間の視力低下が進んだ
- ⚠目が痛む、赤くなる、かすむなど、夜間の見えにくさ以外の症状もある
- ⚠夜間の見えにくさで日常生活に支障が出始めた
- ⚠子どもの夜間の視力低下が明らかである
一般的な症状
- 夜や薄暗い場所で視力がはっきりしない
- 暗い場所から明るい場所へ移動したとき、目がなかなか慣れない(逆も同様)
- 夜の運転中に対向車のライトがまぶしく感じる
- 映画館や薄暗い室内で座席や階段が見えにくい
- 夜道を歩くときに転びやすくなる
- 周囲の人の手の動きや表情が暗いところで確認しにくい
子供の症状
- 夕方になると遊ぶのを嫌がる
- 暗い部屋で物にぶつかることが多い
- 夜、トイレに行くのを怖がる
- 映画館や薄暗い場所で周りの子に遅れをとる
高齢者の症状
- 夜間の歩行中につまずいたり、転んだりしやすくなる
- 夜の運転が以前より怖く感じる
- 照明が明るい場所でないと新聞や本が読めない
- 電気を消したあと、部屋の中で物の位置がわからなくなる
原因
主な原因
- 白内障(しろそこひ): 目の中のレンズが濁り、光が透りにくくなる病気です。
- 網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう): 網膜の働きが徐々に弱くなり、夜盲が初期症状として現れる遺伝性の病気です。
- ビタミンA不足: 暗いところで見るために必要な物質が作れず、夜盲になることがあります。
- 強度の近視: 目の奥の網膜が薄くなると、暗いところでの視力が低下しやすくなります。
- 緑内障(りょくないしょう)の進行: 視神経の障害で視野が狭くなり、夜間の見えにくさを感じることがあります。
- 糖尿病による網膜の障害: 血糖値が高い状態が続くと網膜の血管が傷み、夜間視力に影響することがあります。
リスク要因
- 加齢(歳をとることで目のレンズや網膜の働きが弱くなる)
- 家族に夜盲症や網膜の病気の人がいる
- 偏った食事や栄養不足(特にビタミンA不足)
- 強度の近視がある
- 糖尿病や緑内障などの持病がある
- 夜間の運転や暗い場所での作業が多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然視力が落ちた、視野が欠けた、閃光が続くなど、急な変化がある場合は、すぐに眼科を受診してください。
- 目の痛みを伴う場合は、同じ日に受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 夜間の見えにくさが数週間以上続く場合
- 夜の運転や歩行に支障を感じる場合
- 健康診断や人間ドックで「夜盲の可能性」を指摘された場合
- 定期的に眼科を受診していない、または緑内障・白内障などの治療中で症状が変わった場合
診断
夜間の視力低下の診断は、眼科での問診と目の検査で行います。目の構造や網膜の働きを調べ、原因を特定していきます。必要に応じて、内科的な検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査(明るい場所と暗い場所での視力を比べる)
- 屈折検査(近視や遠視の程度を調べる)
- 細隙灯顕微鏡検査(目の中のレンズの濁りなどを観察)
- 眼底検査(網膜や視神経の状態を詳しく見る)
- 暗順応検査(暗いところに目が慣れるまでの時間を測る)
- 網膜電図(網膜の電気的反応を記録する検査)
- 血液検査(ビタミンAの不足や糖尿病の有無を調べる)
診察で予想されること
検査は通常、痛みを伴いません。眼底検査では目薬で瞳を広げることがあり、その後数時間はまぶしさを感じやすくなったり、近くが見えにくくなったりします。そのため、検査の日は車の運転を避け、自転車や徒歩で来院するように案内されることがあります。結果はその場で説明されることもあれば、追加検査が必要な場合もあります。
治療
治療は原因によって異なります。白内障や近視の矯正など、根本の原因に対する治療が行われることがあります。ビタミンA不足が原因の場合は、食事の改善やサプリメントの使用を医師が検討します。網膜色素変性症など遺伝性の病気では、完全に治すことは難しい場合がありますが、夜間の生活を安全に送るための工夫や、進行を遅らせる取り組みを行うことができます。
自宅でのセルフケア
- 夜間に車を運転する場合は、夜間運転が危険だと感じたら控える
- 家の中の廊下や階段に足元灯(ナイトライト)をつける
- 外出時は明るい服装や反射材を身につける
- 暗い場所では懐中電灯やスマートフォンのライトを活用する
- 昼間に強い日差しを浴びたあとは、夕方以降サングラスをはずして目の暗順応を助ける
- 食べ物のバランスを整える(特に緑黄色野菜などビタミンAを含む食品を意識する)
医療治療
白内障などの目のレンズの濁りが原因の場合は、手術によって視力を改善できることがあります。網膜の病気では、進行を抑えるための治療や光を通過させる工夫(特殊なメガネやロービジョン支援など)が行われることがあります。ビタミンA不足の場合は、医師の指導のもとでビタミンAを補充する方法が検討されます。すべての治療は医師の診断に基づいて行われ、薬の種類や用量は各自の状態に合わせて決まりますので、自分で判断せず医師に相談してください。
手術が検討される場合
白内障による夜間視力低下では、濁った水晶体を取り除いて人工のレンズに置き換える手術が選択されることがあります。手術が必要かどうかは、年齢や目の状態、日常生活での困りごとを考えて医師と相談して決めます。
この病気と共に生きる
夜間の見えにくさがあると、夕方以降の外出や夜の運転が不安になるかもしれません。日が暮れる前に用事を済ませる、照明を工夫する、歩く範囲をあらかじめ確認しておくなど、自分のペースで安全に過ごせる方法を見つけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 家の中の照明は少し明るめにする
- 階段の端や段差がわかりやすいように、色の違うテープやすべり止めを貼る
- 外出時は急な暗がりを避け、明るい場所を選んで歩く
- 夜間の外出時は、家族や友人に行き先や帰宅時間を伝えておく
- 定期的に眼科で検査を受ける
- 夜間運転に不安がある場合は、昼間の運転に切り替える、または公共交通機関を使う
食事と運動
バランスのよい食事を心がけましょう。特にビタミンAは目の健康に関係します。にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、レバー、うなぎなどに多く含まれます。サプリメントを自分で大量に摂るのは逆効果になることもあるため、医師や薬剤師に相談してください。運動は、転倒を防ぐために安全な場所で行い、夜間の運動は避けて昼間に行うのが安心です。
精神的健康と心の健康
夜に見えにくいということは、「夜に外に出られない」「人に迷惑をかける」といった不安や孤独感につながることがあります。特に運転を控えることで自由が減り、気分が落ち込んでしまう方もいます。そのような気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、そして医師やカウンセラーに話してみてください。
予防
すべての夜間視力低下を予防できるわけではありません。遺伝性の網膜疾患などは生まれつきの要因が関係するため、予防は難しい場合があります。しかし、目の健康を保つために、バランスのよい食事、適度な休憩、紫外線対策、禁煙、定期的な眼科検診を心がけることは、白内障や糖尿病網膜症などの進行を予防する助けになります。
検診プログラム
定期的な眼科検診は、自覚症状がない目の病気を早期に見つけるために大切です。特に40歳を過ぎたら、緑内障や白内障の検査を定期的に受けましょう。家族に夜盲症や網膜の病気の人がいる場合は、若いうちから眼科で相談することをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 夜間の転倒や交通事故のリスクが高まる
- 白内障や網膜の病気など、原因となる病気の進行を見逃してしまう
- 夜間の外出を避けるようになり、運動不足や社会的な孤立が進むことがある
- 運転免許の更新や仕事の内容に制限が出る場合がある
長期的な見通し
夜間の視力低下の見通しは原因によって異なります。白内障やビタミンA不足によるものは、適切な治療で改善する可能性が高いです。網膜色素変性症など遺伝性の病気では、完全な回復は難しいこともありますが、夜間の安全な生活を送るための工夫や白杖(はくじょう)などのサポートを活用することで、多くの方は自立した生活を続けることができます。焦らず、医療者と一歩ずつ話し合って進めていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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