高齢者の声がれ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
嗄声(させい)とは、声がかすれたり、出にくくなったりする状態のことです。声帯(こたい)と呼ばれるのどの奥にある筋肉のひだがうまく閉じたり震えたりしなくなるために起こります。高齢になると、声帯の筋肉や粘膜が衰えたり、乾燥したりして、嗄声が起こりやすくなります。
重要な事実
- 加齢に伴い、声帯の筋肉が弱くなり、声がかすれやすくなります。
- 風邪や声の使いすぎなど一過性の原因で起こることもありますが、長く続く場合は別の病気が隠れていることがあります。
- 早期に医療機関を受診することで、原因を特定し適切な対応ができます。悪性の病気(がん)の可能性も否定できませんが、多くは良性の原因です。
はい、高齢者ではよく見られる症状です。65歳以上の方の約3人に1人が何らかの声の問題を経験すると言われています。
主に65歳以上の方に見られますが、特に声をよく使う職業(教師や歌手など)の方、喫煙者、胃酸の逆流がある方に多く見られます。男性の方が女性よりやや多い傾向があります。
症状
- 突然、声が出なくなり、息苦しい
- 顔や首が腫れる、呼吸がゼーゼーする
- 血を吐く、またはせきに血が混じる
- ⚠急に声がかすれて、のどが痛い(感染症の悪化の可能性)
- ⚠声がかすれると同時に、高熱や強いのどの痛みがある
一般的な症状
- 声がかすれる
- 声が出にくい、声が小さい
- 声を出そうとすると息が混じる
- のどに違和感や痛みがある
子供の症状
- この記事は高齢者向けのため、子どもでの症状は省略します。
高齢者の症状
- 声のかすれが2週間以上続く
- 声が不安定で、話すときに途中で声が途切れる
- 食べ物や飲み物を飲み込むときにむせる(嚥下障害の合図)
- のどの痛みや違和感が長引く
- 体重が減る、原因不明の疲れ(全身疾患の可能性も)
原因
主な原因
- 加齢による声帯の萎縮や筋力低下(老人性声帯萎縮)
- 声の使いすぎ(大声を出す、長時間話す)
- 風邪や気管支炎などの感染症
- 胃酸がのどに逆流する(逆流性食道炎)
- 喫煙やアルコールの摂りすぎ
- 声帯にできるポリープや結節(声帯ポリープ、声帯結節)
- 声帯の炎症や腫瘍(良性・悪性)
- 神経の病気(神経麻痺など)
- 甲状腺の病気
- 薬の副作用(特に血圧の薬や利尿薬など)
リスク要因
- 大量の飲酒
- 慢性のせきや痰
- 胃食道逆流症(GERD)
- 加齢(特に70歳以上)
- 声をよく使う職業
- 全身の病気(糖尿病、甲状腺疾患、神経疾患など)
- 薬の長期服用(特に抗コリン薬や利尿薬)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 声のかすれが突然始まり、呼吸困難を伴う
- のどに強い痛みがあり、発熱が続く
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
定期受診を予約すべき場合:
- 声のかすれが2週間以上続いている
- 声のかすれが徐々に悪化している
- のどの違和感や痛みが長引く
- 体重減少や原因不明の疲れがある
診断
医療機関では、まず問診(いつから、どんな状況で起こるかなど)と、のどや声帯の状態を観察する「喉頭鏡(こうとうきょう)」というカメラを使った検査が行われます。必要に応じて、声帯の動きを詳しく調べる「ストロボスコピー」や、画像検査(CTなど)が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 喉頭鏡検査(のどにカメラを入れて声帯を見る)
- ストロボスコピー(声帯の震え方や粘膜の状態を詳しく調べる)
- 画像検査(CTやMRI:のどや首の周りの組織の状態を確認)
- 血液検査(炎症や全身の病気の有無を調べる)
- 胃カメラ(逆流性食道炎が疑われる場合)
診察で予想されること
喉頭鏡検査は、のどに麻酔スプレーをかけて行うため、多少の違和感はありますが、数分で終わります。検査後はすぐに日常生活に戻れます。画像検査や血液検査は通常は痛みを伴いませんが、結果が出るまでに数日かかることがあります。
治療
治療は原因によって異なります。多くは自然に改善するか、簡単な生活習慣の見直しで良くなります。長く続く場合や、声帯に問題がある場合は、言語聴覚士(げんごちょうかくし)によるリハビリや、場合によっては薬や手術が行われることがあります。
自宅でのセルフケア
- 声を休める(無理に話さない、ささやき声も避ける)
- 水分をこまめに摂り、のどを乾燥させない
- 加湿器やマスクでのどを保湿する
- 喫煙やアルコールを控える
- 刺激の強い食べ物(辛いもの、酸っぱいもの)を避ける
- 胃酸の逆流がある場合は、食後すぐに横にならない、脂肪分の多い食事を控える
医療治療
医師は原因に応じて治療を提案します。例えば、感染症の場合は抗生物質や抗炎症薬が処方されることがありますが、これらは医師の指示に従って使用します。逆流性食道炎が原因の場合は、胃酸を抑える薬が使われることがあります。声帯の炎症やポリープには、ステロイドの吸入や内服が行われることもありますが、いずれも医師の診断のもとで行われます。また、言語聴覚士による発声訓練(声を効率よく出す練習)が有効な場合もあります。
手術が検討される場合
声帯にポリープや結節があり、声が出にくい場合や、悪性の腫瘍が疑われる場合には、手術で取り除くことが検討されることがあります。手術は耳鼻咽喉科の専門医が行います。
この病気と共に生きる
嗄声があっても、生活の質を保つためには、コミュニケーションの工夫が大切です。筆談やジェスチャー、スマートフォンの音声入力や文字表示アプリなどを活用すると、話す負担を減らせます。のどを乾燥させないように、室内の湿度を50〜60%に保ち、こまめに水分を摂りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 声を出さずに済む時間を作る(毎日30分以上)
- のどを刺激しないよう、マスクやスカーフで保護する
- 禁煙、節酒を心がける
- ストレスをためない(リラックスできる趣味を持つ)
- 規則正しい生活で免疫力を保つ
食事と運動
のどに負担をかけないために、柔らかくて刺激の少ない食べ物(おかゆ、うどん、スープなど)を選びましょう。辛いものや熱すぎるものは避けてください。水分は常温か少し温かめのものを、こまめに飲むと良いです。適度な運動(ウォーキングなど)は全身の血流を良くし、声帯の健康にも良い影響を与えます。ただし、激しい運動や大声を出す運動は避けましょう。
精神的健康と心の健康
声が出にくいと、会話が億劫になり、人との交流を避けてしまうことがあります。孤独感やうつ状態につながることもあるため、気になる場合は医師や家族に相談してください。必要に応じて、心理的なサポートやカウンセリングを受けることもできます。また、地域の高齢者サロンや電話相談などを利用するのも良いでしょう。
予防
完全に予防することは難しいですが、原因となる生活習慣を改善することで、リスクを減らすことができます。特に、禁煙と節酒は重要な予防策です。また、声を大切に使い、長時間の会話や大声を避けることも効果的です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、感染症による嗄声を予防するのに役立ちます。厚生労働省は65歳以上の方への定期接種を推奨しています。詳しくはかかりつけ医にお問い合わせください。
検診プログラム
特に定期的なスクリーニング検査はありませんが、年に1回は健康診断で体重や血液検査を受け、全身の健康状態を確認することが推奨されます。また、のどの違和感や声の異常を感じたら早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 声帯の慢性的な炎症や傷が残る(声帯瘢痕)
- 声がほとんど出なくなる(発声障害の悪化)
- 食べ物や飲み物を飲み込む力が弱まる(誤嚥性肺炎のリスクが高まる)
- うつ状態や社会的孤立
- 原因が悪性腫瘍の場合、発見が遅れると進行する可能性がある
長期的な見通し
ほとんどの場合、嗄声は適切なケアで改善します。特に、生活習慣の改善や言語聴覚士の指導で、多くの方が元の声に戻ったり、より良い声で話せるようになります。悪性の病気であっても、早期発見・早期治療で治る可能性は十分にあります。あきらめずに、早めに医療機関を受診することが大切です。どんなことでも、まずはかかりつけ医や耳鼻咽喉科の医師に相談してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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