高齢者の排尿痛
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
おしっこをするときに痛みがある状態を「排尿痛」といいます。高齢になると、尿路(にょうろ:尿が通る道)の感染症や前立腺(ぜんりつせん:男性の膀胱の下にある臓器)の問題などが原因で起こりやすくなります。適切に対応すれば改善できる症状です。
重要な事実
- 高齢者の排尿痛は、尿路感染症(UTI)が最も多い原因です。
- 女性は男性より尿路感染症になりやすいですが、男性も前立腺の問題で起こることがあります。
- 放置すると腎臓(じんぞう:腰のあたりにある臓器)まで感染が広がる可能性があるため、早めの受診が大切です。
- 水分をしっかりとることが予防に役立ちます。
はい、高齢者ではよく見られる症状です。特に65歳以上の女性や、前立腺に問題がある男性で多く報告されています。
高齢者全般に影響しますが、特に女性は尿道(にょうどう:膀胱から尿を体外に出す管)が短いため、細菌が入りやすく感染しやすいです。男性は前立腺肥大(ぜんりつせんひだい:前立腺が大きくなること)によって排尿痛が起こることがあります。
症状
- 排尿がまったくできない(尿閉:にょうへい)
- 腰や背中に激しい痛みがある
- 高熱(38度以上)や悪寒(おかん:激しいふるえ)がある
- 意識がもうろうとする
- ⚠排尿時の痛みが強い
- ⚠尿に血が混じっている
- ⚠発熱(37.5度以上)がある
- ⚠痛みが数日続く
一般的な症状
- おしっこをするときのヒリヒリ・焼けるような痛み
- おしっこが近い(頻尿:ひんにょう)
- おしっこが急にしたくなる(尿意切迫:にょういせっぱく)
- おしっこの量が少ない
- おしっこの色が濁っている、または血が混じる
子供の症状
- この記事は高齢者向けです。小児の排尿痛については、別の情報をご参照ください。
- 一般的に小児では、発熱やおねしょの増加などの症状が現れることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、典型的な痛みや頻尿に加えて、食欲低下やぼんやりするなどの症状が出ることがあります。
- 言葉でうまく伝えられない場合、不機嫌や活動量の低下で気づくこともあります。
原因
主な原因
- 尿路感染症(にょうろかんせんしょう:膀胱や尿道に細菌が入って炎症を起こすこと)
- 前立腺肥大(男性)
- 前立腺炎(ぜんりつせんえん:前立腺の炎症)
- 萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん:女性の腟の粘膜が薄くなることによる炎症)
- 膀胱結石(ぼうこうけっせき:膀胱の中にできる石)
- 薬の副作用(一部の抗がん剤や利尿剤など)
リスク要因
- 年をとる(免疫力の低下)
- 女性であること
- 前立腺の病気(男性)
- 糖尿病(とうにょうびょう:血糖値が高くなる病気)
- 水分摂取が少ない
- 排便・排尿を我慢する習慣
- カテーテル(尿道に管を入れる医療器具)を使用している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- おしっこがまったく出ない
- 高熱とともに腰や背中に激痛がある
- 意識がぼんやりする
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿時の痛みが2日以上続く
- 尿に血が混じる
- 発熱がある
- 頻尿で日常生活に支障が出る
診断
医師が症状を聞き、尿を調べる検査(尿検査)を行います。必要に応じて超音波(ちょうおんぱ)検査などで膀胱や前立腺の状態を見ます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(にょうけんさ):尿の中に細菌や白血球、血がないかを調べます。
- 尿培養(にょうばいよう):細菌の種類を特定する検査です。
- 超音波検査(ちょうおんぱけんさ):膀胱や前立腺の様子を画像で確認します。
- 血液検査(けつえきけんさ):炎症の程度や腎臓の働きを調べます。
診察で予想されること
診察では、症状の経過や持病、服薬状況を聞かれます。尿検査のための採尿は、清潔な状態で途中の尿(中間尿:ちゅうかんにょう)を採取します。結果は当日または数日でわかることが多いです。痛みが強い場合は、症状を和らげるための対応を先に行うこともあります。
治療
原因に合わせた治療を行います。多くは抗菌薬(こうきんやく:細菌を抑える薬)による治療が中心です。痛みを和らげるための漢方薬や対症療法も用いられます。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分を摂る(1日1.5~2リットルを目安に)
- トイレを我慢せず、尿意を感じたらすぐに行く
- 排便後は前から後ろへ拭く(女性の場合)
- 締め付けのない下着を着用する
- 刺激の強い食べ物(香辛料、アルコール、コーヒーなど)を控える
医療治療
医師は原因に応じて治療法を選びます。尿路感染症には抗菌薬を数日から1週間程度服用します。前立腺肥大には前立腺をリラックスさせる薬や縮小させる薬(ホルモン治療など)が使われることがあります。萎縮性腟炎にはホルモン補充療法(ホルモンを補う治療)が行われることもあります。すべての治療は医師の指導のもとで行われます。
手術が検討される場合
前立腺肥大が薬で改善しない場合や、膀胱結石が大きい場合などに手術が検討されることがあります。手術の必要性は医師が詳しく説明します。
この病気と共に生きる
排尿痛を繰り返す場合は、日々の生活習慣で予防することが大切です。痛みが出たときは無理せず、水分を多めに取り、安静にしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- ストレスをためないようにする
- 適度な運動(ウォーキングなど)を続ける
- 排尿日記(おしっこの時間や量、痛みの程度を記録)をつけると医師に伝えやすい
食事と運動
バランスのよい食事で免疫力を高めましょう。クランベリージュースが予防に役立つという報告もあります(ただし糖分の多いものは避けてください)。適度な運動は血流を良くし、膀胱や腎臓の健康を保ちます。
精神的健康と心の健康
排尿痛が続くとトイレに行くのが怖くなったり、外出を控えたりして、気分が落ち込むことがあります。周囲に相談したり、かかりつけ医に症状を伝えたりして、一人で悩まないようにしましょう。
予防
完全に防ぐことはできませんが、リスクを減らすことは可能です。水分を十分に摂ること、トイレを我慢しないこと、清潔を保つことが基本です。
ワクチン
高齢者ではインフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種が推奨されますが、排尿痛を直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
特に一般的な検診はありませんが、年に一度の健康診断で尿検査を受けることで異常の早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 腎盂腎炎(じんうじんえん:腎臓に感染が広がる重い病気)
- 菌血症(きんけつしょう:細菌が血液中に入り全身に広がること)
- 慢性の膀胱炎(ちんせいぼうこうえん:繰り返す膀胱の炎症)
- 急性尿閉(きゅうせいにょうへい:尿が急に出せなくなり、カテーテルが必要になる状態)
長期的な見通し
適切な診断と治療を受ければ、ほとんどの排尿痛は改善します。再発を防ぐためには、生活習慣の見直しが大切です。高齢になっても、排尿の健康を保つことは十分可能です。気になる症状があれば、早めに医師に相談してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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