肺がん
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- NICE—Lung cancer: diagnosis and management. NG122(2023)
- NHS—Lung cancer(2023)
- WHO—Cancer fact sheet(2023)
- CDC—Lung Cancer(2024)
- NCCN—NCCN Guidelines for Patients: Lung Cancer(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
肺がんは、肺の細胞が異常に増え始める病気です。正常な細胞が制御を失って増殖し、腫瘍(かたまり)を作ります。肺は呼吸に欠かせない臓器で、酸素を取り込み二酸化炭素を出しています。肺がんが進行すると、この働きが妨げられることがあります。
重要な事実
- 肺がんは日本で最も多く診断されるがんの一つで、がんによる死亡原因の上位を占めます。
- 喫煙は肺がんの最大のリスク要因ですが、非喫煙者でも発症することがあります。
- 早期に発見して治療を始めると、治る可能性が高まります。定期的な検診が重要です。
- 厚生労働省は、高リスクの方への低線量CT検査による検診を推奨しています。
はい、肺がんは日本でよく見られるがんで、年間約12万人が新たに診断されています。特に65歳以上の方に多く、全がんの中でも死亡者数が多いがんでです。
肺がんは主に長期間喫煙している方や、過去に喫煙していた方に多く見られます。また、受動喫煙やアスベスト(石綿)などの環境因子にさらされた方、肺がんの家族歴がある方もリスクが高くなりますが、誰でも発症する可能性があります。
症状
- 突然の激しい胸の痛み
- 急に呼吸ができなくなるような息苦しさ
- 大量の血を吐く
- 意識を失いそうになる
- ⚠咳や痰に血が混じる(少量でも)
- ⚠新しい咳が3週間以上続く
- ⚠息切れが徐々に悪化する
- ⚠原因不明の体重減少がある
一般的な症状
- 長引く咳(3週間以上続く)
- 痰に血が混じる(血痰)
- 胸の痛みや違和感
- 息切れや呼吸が苦しい
- 声のかすれ
- 理由のない体重減少
- 疲れやすさ
子供の症状
- 小児の肺がんは非常にまれですが、症状は大人と似ており、咳、息切れ、胸痛などが見られることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、症状が風邪や加齢によるものと似ているため見逃されがちです。
- 微熱や倦怠感、食欲不振、繰り返す肺炎や気管支炎などの症状が現れることがあります。
原因
主な原因
- 肺がんの主な原因はたばこの煙です。喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんになるリスクが約15~30倍高いと言われています。
- ラドン(自然放射性ガス)やアスベスト(石綿)などの環境中の有害物質も原因となります。
- 大気汚染や職場での化学物質へのばく露もリスクを高める可能性があります。
リスク要因
- 喫煙(現在・過去)
- 受動喫煙
- 肺がんの家族歴
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症などの肺の病気
- アスベストやラドン、重金属、ディーゼル排気ガスへの職業的ばく露
- 高線量の放射線治療の既往
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血が混じった痰が出た
- 息切れが急に悪化した
- 胸に鋭い痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 咳や風邪のような症状が3週間以上続く
- 声が長期間かすれる
- 理由なく体重が減っている
診断
肺がんの診断は、まず画像検査で異常を見つけ、その後細胞や組織を採って顕微鏡で調べることで確定します。診断には呼吸器専門医や呼吸器外科医、病理医などがチームで対応します。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線検査(レントゲン)
- 胸部CT検査(コンピュータ断層撮影)
- PET-CT検査(がんの広がりを調べる)
- 気管支鏡検査(口や鼻から細いカメラを入れて肺の中を見る)
- 生検(組織を一部取り出して調べる)
- 痰の細胞診(痰の中のがん細胞を調べる)
診察で予想されること
最初に呼吸器内科または総合診療科を受診します。問診と聴診の後、画像検査を受けます。異常が見つかれば、さらに詳しい検査や専門医の紹介があります。診断までに数週間かかることもありますが、結果を待つ間は不安かもしれません。医師や看護師に質問や心配事を遠慮なく伝えてください。
治療
肺がんの治療は、がんの種類(組織型)、進行度(ステージ)、患者さんの全身状態や希望に応じて決まります。主な治療法には手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)があります。これらを組み合わせることもよくあります。治療方針は、がん専門医や多職種のチームで話し合って決められます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙は最も効果的な自己管理です。治療効果を高め、副作用を減らすことができます。
- 栄養バランスの良い食事を心がけ、体力を維持しましょう。
- 体調に合わせた軽い運動(散歩など)を続けることで、気分や体力の改善が期待できます。
- 医師や看護師に症状や困っていることをこまめに伝え、適切なサポートを受けましょう。
医療治療
肺がんの医療治療にはいくつかのアプローチがあります。手術は早期のがんで行われることが多く、肺の一部または片方の肺全体を切除します。放射線治療はがん細胞を放射線で壊す治療で、手術ができない場合や補助的に使われます。薬物療法には、従来の抗がん剤に加え、がん細胞の特定の遺伝子変異を標的にする薬や、免疫の力を利用した薬などがあります。これらの治療は医師が患者さんに合ったものを選びます。化学放射線療法(放射線と抗がん剤の併用)も行われます。
手術が検討される場合
肺がんの手術は主にステージIやIIの早期がんが対象です。がんの大きさや場所、患者さんの肺の機能によって、肺の一部分だけを切除する方法(部分切除)から、片方の肺全体を取る方法(肺全摘)まであります。手術後の呼吸リハビリテーションが重要です。
この病気と共に生きる
肺がんと診断された後も、多くの方は日常生活を送ることができます。治療中は副作用や症状に合わせて活動を調整しましょう。疲れを感じやすいので、休息を大切にし、無理をしないことが大切です。定期的に通院し、医師の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける(治療効果を高めるためにも必須です)
- 受動喫煙や大気汚染を避ける
- 感染症予防のため、手洗いやマスクを心がける
- 疲れたらしっかり休む。体調に合わせて活動する
食事と運動
バランスの良い食事をとり、特にたんぱく質やビタミンをしっかり摂ることで体力を維持しましょう。また、医師の許可があれば、軽い散歩やストレッチなどの運動を続けることが、心肺機能の維持や気分転換に役立ちます。呼吸が苦しい時は無理をせず、徐々に強度を調整してください。
精神的健康と心の健康
肺がんの診断や治療は、不安や悲しみ、怒りなどの感情を引き起こすことがあります。また、治療の副作用が気分に影響することもあります。これらの感情は自然なものです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに話してみましょう。必要に応じて、心理カウンセリングや精神科のサポートを受けることもできます。何か悩んでいる時は、遠慮なく相談してください。また、自殺や希死念慮がある場合は、すぐに医療機関や相談窓口(例えば、いのちの電話)に連絡してください。
予防
すべての肺がんを予防できるわけではありませんが、リスクを大幅に減らすことは可能です。最も効果的な方法は禁煙することです。また、受動喫煙を避け、アスベストやラドンなどの有害物質へのばく露を避けることも重要です。健康的な食事や適度な運動も推奨されますが、直接の予防効果は限定的です。
検診プログラム
リスクの高い方(長年喫煙している、肺がんの家族歴があるなど)には、低線量CT検査を用いた肺がん検診が有効です。厚生労働省は、50歳以上で喫煙指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が600以上の方を対象に、年1回の検診を推奨しています。検診で早期発見できれば、治癒の可能性が高まります。
合併症
治療しない場合
- がんが肺の中で大きくなり、呼吸が困難になる
- がんが他の臓器(脳、骨、肝臓など)に転移する
- 胸水(肺の周りに液体がたまる)がたまり、息苦しさが増す
- 気道が狭くなり肺炎を起こしやすくなる
- 全身の衰弱(カヘキシー)
長期的な見通し
肺がんの見通し(予後)は、診断された時のがんの進行度や種類、患者さんの健康状態によって大きく異なります。早期に発見されれば、治癒を目指せる場合もあります。最近では新しい治療薬や治療法の開発が進み、進行した肺がんでも長くコントロールできることが増えています。一人ひとりの状況に合わせた治療計画を医師と話し合い、希望を持って治療に臨むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。