Ovarian Cancer
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
卵巣がんは、卵巣(卵子をつくる臓器)にできるがんです。初期には症状がほとんどなく、見つけにくいことが特徴です。早期に発見できれば治療しやすいがんですが、進行してから見つかることもあります。
重要な事実
- 日本の女性で年間約1万人が新たに診断されます(厚生労働省データ)。
- 早期(ステージI)の5年生存率は90%以上ですが、進行すると低くなります。
- 症状が非特異的で、胃腸の不調と間違われることが多いです。
- 遺伝性のリスク(BRCA遺伝子変異など)が一部の症例に関わります。
日本では女性のがんの中で9番目に多いがんですが、全体的にはあまり一般的ではありません。生涯で約80人に1人の割合で発症するとされています。
主に閉経後の50~70歳の女性に多く見られますが、若い女性でも発症することがあります。遺伝的要因がある場合、より若い年齢で発症するリスクが高まります。
症状
- 突然の激しい腹痛や骨盤痛(卵巣腫瘍の破裂や捻転の可能性)
- 息苦しさや呼吸困難(肺に水がたまるなど)
- 意識の低下やショック症状(血圧低下など)
- ⚠数日続く強いおなかの張りや痛みで日常生活に支障がある
- ⚠原因不明の急激な体重変化
- ⚠出血(不正出血や性器出血)が止まらない
一般的な症状
- おなか(腹部)の張りや膨満感
- 食欲不振やすぐにお腹がいっぱいになる
- おなかや骨盤の痛み
- トイレが近い、または便秘が続く
- 体重が増えたり減ったりする(特に原因がわからない場合)
子供の症状
- 卵巣がんが子どもに発生することは非常にまれです。症状がある場合は、思春期前の女児でも腹痛や腹部のしこりが見られることがありますが、ほとんどは良性の卵巣腫瘍です。
高齢者の症状
- 高齢の女性では、上記の症状に加えて、疲れやすさ、食欲低下、体重減少が目立つことがあります。また、おなかに水がたまる(腹水)ことで急激におなかが大きくなることもあります。
原因
主な原因
- 卵巣がんの正確な原因はまだ完全にはわかっていません。
- 細胞の遺伝子に変化が起き、異常な細胞が増え続けることで発生します。
- 遺伝性の原因として、BRCA1やBRCA2という遺伝子の変異が一部の症例に関与しています。
リスク要因
- 年齢(特に50歳以上)
- 家族歴(母親や姉妹、娘などに卵巣がんや乳がんの人がいる)
- 遺伝性の遺伝子変異(BRCAなど)
- 初経が早い、または閉経が遅い
- 出産経験がない(または初産が遅い)
- 子宮内膜症(チョコレートのう胞)のある人
- 肥満(特に閉経後)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急激な腹痛やおなかの張りが続く場合
- 息苦しさや胸の痛みがある場合
- 原因不明の出血がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 上記の症状が2週間以上続く場合
- 閉経後に初めておなかの張りや痛みを感じた場合
- 年に一度の婦人科検診で異常を指摘された場合
診断
卵巣がんの診断は、まず問診と内診(腟の中から卵巣の状態を調べる)から始まります。その後、画像検査や血液検査を行い、必要に応じて組織を取る検査(生検)で確定します。
行われる可能性のある検査
- 内診(医師が手指で卵巣の大きさや硬さを確認)
- 経腟超音波検査(腟の中から超音波で卵巣を映す)
- 血液検査(CA125という腫瘍マーカーを測定)
- CTやMRI(がんの広がりを詳しく調べる)
- 生検(手術や針で組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる)
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることがあります。検査中は不安かもしれませんが、医師が一つずつ説明してくれます。もし卵巣がんが見つかっても、適切な治療でコントロールできることが多いです。
治療
卵巣がんの治療は、がんの進行度や年齢、健康状態に応じて組み合わせて行われます。主な治療法は手術と薬物療法(抗がん剤など)です。治療は専門の医師(婦人科腫瘍医)が担当します。
自宅でのセルフケア
- 治療中は体を休めることが大切です。無理せず、体調に合わせて活動しましょう。
- 食事は栄養バランスを整え、消化の良いものを中心にしましょう。
- 医療チームに相談しながら、適度な運動(散歩など)を取り入れると体力維持に役立ちます。
医療治療
治療の中心は手術(多くは卵巣と周囲の組織を摘出)と、術後または進行例に対して行われる抗がん薬治療です。抗がん薬は点滴や飲み薬で投与され、数週間ごとに繰り返すことが一般的です。場合によっては、標的治療薬や免疫療法が用いられることもありますが、どの薬を使うかは医師が最適なものを選びます。放射線治療はあまり使われません。
手術が検討される場合
手術は、がんを取り除くために最もよく行われる治療です。早期では卵巣だけを取ることもありますが、進行している場合は子宮や周りの組織も一緒に摘出する場合があります。妊娠を希望する場合は、医師とよく相談して、できるだけ卵巣を残す方法を検討することもあります。
この病気と共に生きる
治療中は疲れやすくなることが多いので、休息を大切にしましょう。仕事や家事は無理せず、周りの人に助けを求めてもよいです。治療後は定期的な通院が必要になります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(喫煙は治療効果を下げる可能性がある)
- 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)を続ける
- ストレスをためないようにする(趣味やリラクゼーション)
- 定期的に婦人科を受診する
食事と運動
バランスの良い食事(野菜、果物、魚、全粒穀物を多く)を心がけ、塩分や脂肪分は控えめに。治療中は口内炎や吐き気があることもあるので、その時は柔らかいものや冷たいものを試してみてください。無理のない範囲で体を動かすと、気分も良くなります。
精神的健康と心の健康
がんと診断されることは大きな衝撃で、不安や悲しみ、怒りなどさまざまな感情が湧くのは自然なことです。また、治療の副作用や体型の変化で自信を失うこともあります。そんなときは、一人で抱え込まずに医療スタッフや家族、友人に話してください。心理カウンセリングも役立ちます。もし自殺や自分を傷つける考えが浮かんだら、すぐに「いのちの電話」(0120-783-556)などに連絡してください。
予防
卵巣がんを完全に予防する方法はありませんが、リスクを減らすことは可能です。例えば、経口避妊薬(ピル)の長期服用は発症リスクを下げると言われています(ただし医師と相談が必要)。また、出産や授乳もリスク低下と関連しています。
検診プログラム
卵巣がんには、一般の女性を対象とした検診は推奨されていません(厚生労働省)。しかし、BRCA遺伝子変異があるなどハイリスクの方は、医師の指導のもとで定期的な超音波検査や血液検査を受けることがあります。
合併症
治療しない場合
- がんが卵巣から他の臓器(腹膜、肝臓、肺など)に広がる(転移)
- おなかに水がたまる(腹水)による腹部の張りや呼吸困難
- 腸閉塞(がんが腸を圧迫して食べ物が通らなくなる)
- 痛みの悪化や全身の衰弱
長期的な見通し
卵巣がんは早期に見つかれば完治も可能ながんです。進行した場合でも、最近の治療の進歩により長く生きられる方が増えています。治療を続けながら、日常生活を工夫して過ごすことができます。医師としっかり相談し、希望を持って治療に取り組んでください。
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- 国立がん研究センター がん情報サービス ↗ · 日本全国
- 日本卵巣がん患者会(オレンジリング) ↗ · 日本全国
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。