下痢の超音波(エコー)検査について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下痢の超音波検査とは、お腹の中に超音波(エコー)をあてて、下痢の原因となっているかもしれない腸や他の臓器の状態を調べる検査です。超音波は音の一種で、体に害はなく、痛みもありません。検査では、腸の壁が厚くなっていないか、炎症や腫れがないか、リンパ節が大きくなっていないかなどを確認します。
重要な事実
- 超音波検査は放射線を使わないので、妊娠中や小さなお子さんでも安心して受けられます。
- 検査時間は通常15~30分程度で、準備は特に必要ありません。
- 下痢の原因を特定するための多くの検査の一つであり、単独で全てが分かるわけではありません。
超音波検査は、下痢の原因を調べるためによく行われる検査の一つです。特に、炎症性腸疾患(IBD)や腸の感染症が疑われる場合に役立ちます。
下痢が長く続いている方、血便や腹痛がある方、他の検査ではっきりしない方などに勧められることがあります。子どもから高齢者まで、年齢に関係なく行われることがあります。
症状
- 激しい腹痛が続く
- 便に大量の血が混じっている、または真っ黒な便が出る
- 高い熱(38.5度以上)が続く
- 意識がもうろうとしている
- ぐったりして呼びかけに反応しない
- ⚠下痢が24時間以上続き、水分が取れない
- ⚠おしっこがほとんど出ない
- ⚠立ち上がるとめまいがする
- ⚠激しい嘔吐がある
- ⚠血が混じった下痢が続く
一般的な症状
- 水っぽいうんちが1日に何回も出る
- おなかがゴロゴロする、痛む
- 吐き気や嘔吐をともなうことがある
- 発熱がある場合もある
子供の症状
- おむつ替えの回数が急に増える
- ぐったりしている、泣き声が弱い
- 唇や口の中が乾いている(脱水のサイン)
- 6時間以上おしっこが出ていない
高齢者の症状
- めまいや立ちくらみがある
- 尿の量が減った、色が濃い
- 皮膚の張りがなくなる(脱水のサイン)
- 意識がぼんやりする
原因
主な原因
- ウイルスや細菌による感染(ノロウイルス、ロタウイルス、O-157など)
- 食べ物や薬の影響
- 炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 消化不良や吸収不良
リスク要因
- 海外旅行に行ったことがある
- 乳製品や特定の食べ物でおなかがゆるくなる
- 抗生物質などの薬を最近使った
- ストレスが多い生活
- 免疫力が低下している(高齢、病気、ステロイド薬など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状があるときはすぐに救急車を呼んでください(119番)
- 下痢が続き、水分が取れないときはなるべく早く医療機関を受診しましょう
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が2日以上続く
- 慢性的に下痢が繰り返す(4週間以上)
- 原因がわからず心配になる
- 体重が減っている
診断
医師はまず問診で症状や経過を詳しく聞き、お腹の診察を行います。その後、必要に応じて血液検査や便検査、超音波検査などを組み合わせて原因を調べます。超音波検査はあくまで補助的な検査の一つで、これだけで全てが分かるわけではありません。
行われる可能性のある検査
- 超音波(エコー)検査:お腹の臓器や腸の状態を画像で確認
- 便検査:細菌やウイルスの有無、潜血(目に見えない血)を調べる
- 血液検査:炎症の程度や脱水、栄養状態を調べる
- 内視鏡検査(必要な場合):腸の中を直接カメラで見る
診察で予想されること
超音波検査は、検査着に着替えてベッドに仰向けに寝ます。お腹にゼリーのようなジェルを塗り、小さな機械(プローブ)を当てて画像を映し出します。痛みや不快感はほとんどなく、検査中に何か感じることはありません。所要時間は15~30分程度で、結果はその場で説明されることもありますが、画像を詳しく分析するため後日になることもあります。
治療
下痢の治療は原因によって異なります。超音波検査で炎症や異常が見つかった場合は、その原因に合わせた治療が行われます。多くは水分補給と食事の調整で改善しますが、細菌感染などの場合には抗生物質などの薬が使われることもあります。市販の下痢止めは自己判断で使わず、医師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分をとる(経口補水液やスポーツドリンクが効果的)
- 消化の良いものを食べる(おかゆ、うどん、すりおろしリンゴなど)
- 脂肪分や繊維の多いもの、乳製品、刺激物は避ける
- 十分に休息をとる
- 手洗いをしっかり行い、感染を広げない
医療治療
脱水がひどい場合は点滴(静脈から直接水分を補給)が必要です。細菌が原因の場合は抗菌薬が処方されることがあります。慢性の炎症性腸疾患の場合は、炎症を抑える薬や免疫を調整する薬が使われます。また、整腸剤(プロバイオティクス)が使われることもあります。いずれも医師の診断と処方が必要です。自己判断で薬を変えたり止めたりしないでください。
手術が検討される場合
下痢のほとんどは手術の必要はありませんが、炎症性腸疾患の合併症(腸の閉塞や穿孔など)や重い感染症で異常が見つかった場合に、手術が必要になることがあります。超音波検査でこうした異常が疑われた場合、さらに詳しい検査や専門医への紹介が行われます。
この病気と共に生きる
下痢が続くときは、脱水にならないように水分補給を心がけましょう。おしっこの色や量で脱水の程度がわかります。また、排便の回数や性状をメモしておくと、医師に伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- ストレスをためないようにリラックスする時間を作る
- 手洗いを徹底し、感染予防をする
- 十分な睡眠をとる
- 禁煙する(喫煙は腸の炎症を悪化させることがある)
食事と運動
下痢の急性期は安静にして、消化の良いもの(おかゆ、スープ、バナナ、トーストなど)を少量ずつ食べましょう。症状が落ち着いたら、少しずつ普通の食事に戻します。運動は軽い散歩程度にとどめ、激しい運動は避けてください。慢性の下痢がある場合は、栄養バランスに注意し、必要に応じて栄養士に相談するのも良いでしょう。
精神的健康と心の健康
下痢が長く続くと、外出が不安になったり、人と会うことを避けたくなることもあります。そうした気持ちになるのは自然なことです。無理をせず、信頼できる人や医師に相談してください。必要に応じて、カウンセリングなどのサポートもあります。
予防
感染性の下痢は、手洗いや食品の十分な加熱、調理器具の衛生管理などで予防できます。旅行先では生水や生ものを避けることも有効です。慢性的な下痢の原因となる病気は完全に予防できないものもありますが、健康的な生活習慣やストレス管理が役立つことがあります。
ワクチン
ロタウイルスワクチンが乳幼児の重症下痢の予防に有効です。日本では定期接種の対象となっています。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。
合併症
治療しない場合
- 脱水症状(口の渇き、尿量減少、めまい、意識障害)
- 電解質異常(低カリウム血症など)
- 栄養不足や体重減少
- 慢性的な下痢による肛門周りのただれや痛み
長期的な見通し
下痢のほとんどは適切な水分補給と休息で数日以内に改善します。超音波検査で異常が見つかっても、多くの場合は薬や生活習慣の改善でコントロール可能です。炎症性腸疾患などの慢性疾患でも、適切な治療を続ければ症状を落ち着かせ、日常生活を送ることができます。必要以上に心配せず、医師と相談しながら治療を続けてください。
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最終更新: 2026年7月30日
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