子宮内膜症の痛みとMRI検査:知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
子宮内膜症は、子宮の内側にあるべき内膜に似た組織が、子宮の外(卵巣や卵管、おなかの中など)にできてしまう病気です。この組織は月経周期に合わせて増えたりはがれたりするため、強い痛みや炎症を引き起こすことがあります。
重要な事実
- 子宮内膜症は命に関わる病気ではありませんが、適切な治療をしないと痛みが長く続くことがあります。
- 痛みの強さは人によって大きく異なり、症状が強くても妊娠や出産ができる方も多くいます。
- MRI検査は子宮内膜症の範囲や場所をくわしく確認するために使われることがあります。
- 治療には薬による方法と手術による方法があり、症状や年齢に合わせて選択します。
子宮内膜症は比較的よくある病気です。日本では、痛みがあることから受診した女性の数割に見られるという報告もあります。
主に10代から40代の、月経がある女性に見られます。月経が始まった後、特に20代から30代で診断されることが多いです。
症状
- 突然の強い下腹部痛が続く
- めまいや冷や汗をともなう激しい痛み
- 意識がぼんやりする、立っていられないほどの痛み
- ⚠痛みが徐々に強くなり、日常生活ができないほど
- ⚠吐き気やおう吐をともなう強い痛み
- ⚠発熱があり、おなかの痛みがひどくなる
一般的な症状
- 月経のときの強い骨盤・下腹部の痛み(月経痛)
- 月経時以外にも続く下腹部や腰の痛み
- 性交時の痛み
- 排便や排尿時の痛み
- 月経量が多い、めまい、吐き気
- 月経痛がだんだん強くなり、市販の痛み止めが効きにくくなる
子供の症状
- 10代では、月経痛が強くて学校を休むようになることもあります。
- おなかや腰の痛みを訴えることが多く、成長に伴って症状が現れることもあります。
高齢者の症状
- 閉経後は症状が落ち着くことが多いですが、閉経後も痛みが続く場合があります。
- ほかの病気(卵巣の腫瘍や骨盤の炎症など)と見分けるためにMRI検査が必要になることがあります。
原因
主な原因
- 月経の血液が子宮の外へ逆流する「逆流性月経」によって、内膜に似た組織が腹腔内に着くという説があります。
- 免疫機能の異常が関係しているという説があります。
- 遺伝的な要因も関与していると考えられています。
- ホルモン(エストロゲン)の影響で、子宮外の組織が増殖・出血することが原因とされています。
リスク要因
- 初経が早い(11歳以前)
- 月経周期が短い(27日以内)
- 経血量が多い
- 出産経験がない
- 家族(母や姉妹)に子宮内膜症の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 月経痛が年々強くなり、これまで通りの生活ができない
- 市販の痛み止めが効かず、学校や仕事を休むことが増えた
- 性交時や排便時に強い痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 月経痛が続く、または慢性的な骨盤痛がある
- 妊娠を希望しているのに気になる症状がある
- 定期検診で卵巣のう胞などを指摘された
診断
子宮内膜症の診断は、問診(症状の聞き取り)、内診(おなかの触診と膣の中の診察)、超音波検査、MRI検査などを組み合わせて行います。最終的な確定診断には腹腔鏡検査が使われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診・内診:痛みの場所や性質、月経との関係を確認します。
- 超音波検査(エコー): 卵巣のう胞や子宮の状態を確認します。
- MRI検査:骨盤内の組織をより詳しく映し、内膜症の病変の範囲や位置を確認します。
- 腹腔鏡検査:外科的な手術(全身麻酔)でおなかの中を直接観察する検査です。確定診断に最も確実です。
診察で予想されること
MRI検査は、痛みをともなう検査ではなく、通常は30分程度かかります。大きな筒状の機械に横になって撮影しますが、閉所が苦手な方は医師に伝えましょう。検査中はドームのような音がしますが、イヤホンをしてもらえることが多いです。造影剤(特殊な液体)を点滴で使う場合もありますが、腎臓の病気やアレルギーがある方は事前に医師へ伝える必要があります。検査後は、次の診察で医師から結果と治療方針について説明があります。
治療
子宮内膜症の治療は、痛みをやわらげ、病変の進行を抑え、妊娠希望がある場合は妊娠しやすい体づくりを目指します。症状の程度や年齢、妊娠の希望に応じて、薬物療法と手術療法を組み合わせて選択します。
自宅でのセルフケア
- 下腹部を温める(カイロや湯たんぽ)と痛みを和らげるのに役立ちます。
- 軽い散歩やストレッチなどの適度な運動を続ける。
- 月経中の無理をしすぎないようにし、十分な休息をとる。
- ストレスをためないように、リラックスできる時間を作る。
医療治療
薬による治療には、ホルモン剤(月経周期を調節する薬、黄体ホルモン製剤、GnRHアゴニストなど)があります。これらは子宮内膜症の組織の成長を抑えて痛みを軽くする効果が期待できます。また、痛みに対しては炎症を抑えるタイプの鎮痛薬が使われることもありますが、どの薬を使うかは医師が症状や体質に合わせて処方します。自己判断での服用は避け、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
薬で効果が十分でない場合や、卵巣のう胞が大きい場合、妊娠希望があり病変を減らしたい場合には、腹腔鏡手術で内膜症の組織を切除することがあります。手術後も再発することがあるため、医師と相談しながら経過を見ていきます。
この病気と共に生きる
子宮内膜症とともに生活するには、痛みと上手につき合うことが大切です。月経予定日を把握して、痛みが強くなる前に休めるように計画する、市販の鎮痛薬を早めに使用する(医師の指示に従う)、などが役立つことがあります。痛みが強い日は、無理をせず家族や職場に相談して助けてもらいましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と十分な休養
- 適度な運動(ヨガや水泳など)で血流をよくし、痛みをやわらげる
- 骨盤内の炎症を抑えるために、過度な飲酒や喫煙を控える
- ストレスを減らすための趣味やマインドフルネスを取り入れる
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸や、果物・野菜に豊富なビタミンが炎症を抑える助けになるという研究もあります。運動は痛みを和らげるといわれていますが、痛みの強い日は激しい運動を避け、穏やかなストレッチに留めましょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや不妊の問題は、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。痛みに悩むのは決してあなたのせいではありません。気持ちを一人で抱え込まず、医師やカウンセラーに相談しましょう。
予防
子宮内膜症は完全に予防できる病気ではありませんが、早期に診断して治療を始めることで、痛みの悪化や病変の進行を防ぐことにつながります。妊娠や出産後の経過によって症状が変わることもありますが、定期的な受診と体調管理が大切です。
検診プログラム
子宮内膜症のための一般的な検診はありませんが、月経痛が強くて生活に支障がある場合には、早めに婦人科を受診することが結果的に早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 慢性的な強い痛みで生活の質が低下する
- 卵巣に内膜症によるのう胞(チョコレートのう胞)ができて破裂や捻転を起こすことがある
- 腹腔内の癒着(組織がくっついてしまうこと)が進み、妊娠しにくくなる
- 膀胱や腸に病変が広がり、排尿痛や排便痛が現れる
長期的な見通し
子宮内膜症は治療により症状を抑え、多くの方が日常生活を快適に送れるようになります。妊娠を希望する方でも、適切な治療や生殖医療のサポートによって妊娠が可能な場合が多くあります。長い病気ですが、あきらめずに医療者と連携し、自分に合った管理を見つけていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。