皮膚のかび(真菌)感染症:診断とX線検査について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
皮膚のかび(真菌)感染症とは、白癬菌やカンジダ菌などのかびが皮膚に感染して起こる病気です。代表的なものに水虫(足白癬)、たむし(体部白癬)、しらくも(頭部白癬)、爪白癬(爪の水虫)などがあります。皮膚に赤み、かゆみ、皮むけ、水ぶくれなどを引き起こします。
重要な事実
- 皮膚のかび感染症の診断にX線(レントゲン)検査は使いません。X線では皮膚表面のかびは映らないためです。
- 診断の中心は、皮膚を軽くこすって採取した検体を顕微鏡で調べる「真菌検査」です。
- 適切な診断と治療をおこなえば、多くの場合、数週間で改善が見込めます。
はい。皮膚のかび感染症はとても一般的で、特に湿気の多い日本では、水虫(足白癬)を経験する人は少なくありません。
子どもから高齢者まで、誰でもかかる可能性があります。汗をかきやすい人、糖尿病などの基礎疾患がある人、免疫力が低下している人は、より感染しやすくなります。
症状
- 皮膚の広い範囲が急速に赤く腫れ、激しい痛みをともなう
- 高熱が続き、意識がもうろうとする、呼吸が苦しい
- 皮膚に膿がたまり、熱感や腫れが急速に広がっている
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番に電話してください
- ⚠症状が急に悪化し、広がっている
- ⚠糖尿病や免疫不全の人が発熱や強い痛みをともなう場合
- ⚠顔や頭に感染が広がっている場合、できるだけ早く皮膚科を受診してください
一般的な症状
- かゆみをともなう赤い発疹や斑点
- リング状(輪っか状)の赤い皮疹
- 白く皮がむける、ひび割れる、ただれる
- 小さな水ぶくれができる
- 爪が白く濁る、厚くなる、変形する(爪白癬)
子供の症状
- 頭皮に円形の脱毛斑ができる(しらくも)
- 強いかゆみをともなう赤い発疹
- 顔や体に輪状の皮疹が現れることがある
高齢者の症状
- 皮膚が乾燥していると感染が広がりやすい
- かゆみをあまり感じず、気づいたときには範囲が広がっていることがある
- 糖尿病や免疫力の低下があると、症状が重くなることがある
原因
主な原因
- 白癬菌(水虫、たむし、しらくもなどの原因になるかび)
- カンジダ菌(湿った皮膚や粘膜で増えやすく、おむつかぶれの原因にもなる)
- マラセチア(頭皮や顔などに多く、脂漏性皮膚炎などに関係するかび)
リスク要因
- 高温多湿で蒸れやすい環境(長靴、運動靴、ビニール手袋など)
- 過剰な発汗や皮膚の摩擦
- タオル、靴下、スリッパ、床などをほかの人と共用する
- 糖尿病などの基礎疾患、免疫力を低下させる薬の使用
- 不衛生な環境での生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚が腫れて強く痛む、膿が出るなど細菌の二次感染が疑われる
- 免疫力が低下している方が発熱や強い症状を起こした
- 感染が顔や頭皮に広がり、痛みや脱毛をともなう
- 急に症状が悪化した場合は、当日または翌日には受診してください
定期受診を予約すべき場合:
- 赤みやかゆみ、皮むけが2週間以上続いている
- 爪の色が変わったり、厚くなったりしている
- 症状が何度も繰り返す、または新しい場所に広がっている
- 自己判断での薬やケアを続けても改善しない
診断
皮膚科では、まず皮膚の状態を診察します。多くの場合、皮膚の表面を軽くこすって角質を採取し、顕微鏡でかびがいるかどうかを直接調べます。この検査で診断がつくことがほとんどです。X線(レントゲン)検査は、骨や内臓をみるための検査で、皮膚表面のかび感染症の診断には使いません。
行われる可能性のある検査
- 真菌顕微鏡検査(KOHプレパラート):皮膚の角質を採取し、薬剤で処理してかびを顕微鏡で観察します。その場で結果がわかることも多い検査です。
- 真菌培養検査:かびを数週間かけて培養し、原因となる種類を特定します。
- ウッド灯検査:特殊な紫外線を当て、一部のかびが蛍光を発することを利用して観察する補助的な検査です。
- 皮膚生検(まれ):ほかの病気と区別が難しい場合に、小さな皮膚組織を採取して詳しく調べる検査です。
診察で予想されること
検査は特別な準備は必要なく、痛みもほとんどありません。皮膚を少しこするだけなので、短時間で終わります。培養検査の場合は、結果が出るまでに数週間かかることがあります。診察の際は、気になっている症状や使っている薬があれば医師に伝えてください。
治療
真菌感染症の治療は、かびの増殖を抑える「抗真菌薬」を使います。多くは塗り薬(外用薬)から始まりますが、広い範囲の感染や爪・頭皮の感染では、飲み薬(内服薬)を併用することもあります。治療期間は、皮膚で数週間、爪で数か月かかることがあります。症状が消えても、医師の指示にしたがって最後まで治療を継続することが大切です。
自宅でのセルフケア
- 感染した部分を清潔に保ち、よく乾燥させる
- かゆくても掻かず、冷やすなどしてなだめる
- タオル、スリッパ、寝具、靴下などは家族と共用しない
- 通気性のよい靴や靴下を選び、汗をかいたらすぐに着替える
- 自己判断で治療を中止しない
医療治療
医療機関での治療は、クリーム、軟膏、液剤などの外用抗真菌薬と、錠剤やカプセルなどの内服抗真菌薬が中心です。どんな薬を使うかは、感染している場所、かびの種類、症状の広がり、基礎疾患などを総合的に判断して医師が決めます。市販の薬を自己判断で使うよりも、正確な診断に基づいた治療を受けることが確実です。
手術が検討される場合
皮膚のかび感染症で手術が必要になることはほとんどありません。ただし、爪白癬で爪が非常に厚くなり痛みがある場合などには、厚くなった爪を取り除く処置がおこなわれることがあります。外科的な手術ではなく、爪の処置と治療の一部として考えられています。
この病気と共に生きる
日常生活で大切なのは、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つことです。入浴後は、足の指の間や皮膚のしわまで丁寧に拭き、必要に応じて保湿をしましょう。感染した部分に触れた後は、手を石けんで洗う習慣をつけてください。
生活習慣のアドバイス
- 靴下は毎日新しいものに替え、同じ靴を毎日履かずにローテーションする
- 自宅では専用のスリッパやタオルを使い、家族と共有しない
- プールやジム、温泉などの共用スペースではビーチサンダルを履く
- ペットの皮膚の異常にも注意する(動物からうつることもあります)
- 靴の中を乾燥させる、除湿剤を使うなどの工夫をする
食事と運動
かびの感染を防ぐ特別な食事はありません。ただし、血糖値が高いとかびが増えやすいため、糖尿病のある方は食事や運動で血糖をコントロールすることが予防や改善につながります。運動後はすぐに汗を拭き取り、シャワーを浴びて衣服を着替えましょう。
精神的健康と心の健康
目に見える場所の発疹やかゆみは、見た目への不安や「人にうつしてしまうのでは」という心配を生むことがあります。治療に時間がかかることもあり、気分が落ち込む方もいますが、適切な治療でよくなる病気です。ひとりで抱え込まず、医師や家族に相談してください。
予防
完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、日頃の習慣でリスクを大きく減らせます。皮膚を清潔に保ち乾燥させること、室内や共用スペースでは素足で歩かないこと、タオルや靴下を人と共有しないことなどが効果的です。
ワクチン
皮膚のかび感染症を予防するワクチンは、現在のところありません。
検診プログラム
健康診断などでかび感染症を調べる定期的な検診は、一般的ではありません。気になる症状があれば、早めに皮膚科を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 症状が全身に広がり、複数の皮疹が現れる
- 爪の奥まで感染が進み、爪が厚く変形して痛みが出る
- 掻き壊して細菌が入り、とびひ(伝染性膿痂疹)などの二次感染を起こす
- 免疫力が低下した人では、皮膚の奥深くや全身に感染が広がるまれな状態になる
長期的な見通し
多くの皮膚のかび感染症は、正しい診断に基づいた治療で治ります。治るまでに時間がかかることもありますが、医師の指示を守り治療を続ければ、再発を防ぐこともできます。早めに受診すれば、それだけ早く楽になる可能性が高まります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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