男性不妊のCT検査|目的・準備・当日の流れをわかりやすく解説
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
CT検査(コンピューター断層撮影)は、X線を使って体の断面を詳しく映し出す画像検査です。男性不妊の原因を調べるためのCT検査は、精巣から尿道までの精子の通り道(精路)の状態を詳しく確認し、構造上のつまりや形の異常を見つける目的で行われます。撮影自体は痛みがなく、数分で終わります。造影剤(血管や組織を見えやすくする薬液)を使う場合と、使わない場合があります。
重要な事実
- CT検査は、精路のつまりや先天異常など、男性不妊の構造的な原因を詳しく調べるために行われることがあります。
- 検査前は、ベルトやアクセサリーなど金属を外し、造影剤を使う場合は食事制限が必要です。
- 造影剤はアレルギー反応や腎臓への影響があるため、事前に持病やアレルギーを必ず伝えましょう。
男性不妊は決して珍しいことではありません。不妊に悩むカップルのうち、約半数で男性側の要因が関係しているとされています。ただし、CT検査はすべての人が受ける一般的な検査ではなく、精液検査や超音波検査などで原因がはっきりしない場合に、追加で行われることが多い検査です。
主に、不妊の原因を調べている成人男性が対象です。生殖器のけがや手術歴がある方、精液検査の結果に問題がある方などが、医師の判断で検査を受けることがあります。子どもや高齢者がこの目的で受けることは通常ありません。
症状
- まれなケースですが、造影剤を使った後、顔やのどが急に腫れる、息苦しくなる、声がかすれる、じんましんが全身に出るなどの症状が出たら、すぐに119番で救急車を呼んでください。
- 検査後に意識がもうろうとする、胸の強い痛み、激しい動悸が続く場合も、ためらわず119番に連絡してください。
- ⚠造影剤を注射した腕が、強い痛み、腫れ、赤みを伴って変化している場合
- ⚠検査後にじんましんや強いかゆみ、目の周りの腫れが続く場合
- ⚠めまいや吐き気が続いて、横になってもよくならない場合
一般的な症状
- 男性不妊そのものには、はっきりした自覚症状がないことがほとんどです。
- 精液検査で、精子の数が少ない、動きが弱い、形に問題があるなどと指摘されることがきっかけになります。
- 精索静脈瘤がある場合、陰嚢の重だるさや違和感を感じることがあります。
子供の症状
- この検査は成人の不妊診断のためのもので、子どもに対しては通常行われません。思春期前の子どもには精子がまだ作られていないためです。
高齢者の症状
- 一般的に、高齢者の方が男性不妊のCT検査を受けることはありません。ただし、前立腺や尿路の病気の検査としてCTを受ける場合は、同じような準備が必要です。
原因
主な原因
- 精路のつまり(閉塞性無精子症):精巣で作られた精子が通る管が、先天的な理由や感染症、けがなどでふさがり、精液中に精子が出てこない状態です。CT検査でつまりの位置を確認します。
- 精索静脈瘤:陰嚢の中で静脈の血液の流れが悪くなり、血管がふくれた状態です。精子の数や運動率に影響することがあります。
- ホルモンのバランスの問題:精子を作るために必要なホルモンが十分に分泌されず、精子の生産がスムーズにいかない状態です。
- 先天性の精路の異常:生まれつき精管(精子の通り道)の一部がない、または形が変わっている状態で、CT検査で詳しく評価します。
リスク要因
- 精巣の外傷や炎症(精巣上体炎など)の既往
- 陰嚢や精巣の手術歴
- 停留精巣(生まれた時に精巣が陰嚢に下りていない状態)の治療歴
- おたふくかぜなどによる精巣炎の既往
- 長期間の喫煙、多量の飲酒、肥満
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 陰嚢に急な激しい痛みがある場合(精索捻転などの緊急疾患の可能性があります)
- 陰嚢のはれ、赤み、発熱など、炎症が疑われる症状がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 1年間、避妊をせずに定期的な性交渉があるのに妊娠しない場合
- 精液検査で精子の数や運動率に問題を指摘された場合
- 精巣のけがや手術の既往があり、不安がある場合
- 勃起や射精に問題があり、不妊が心配な場合
診断
男性不妊の診断は、問診(生活習慣や既往歴の確認)、身体診察、精液検査、血液検査、陰嚢の超音波検査などを組み合わせて行われます。CT検査は、これらの検査だけでは原因がはっきりしない場合や、精路の構造的な問題が疑われる場合に、より詳しい情報を得るために行われます。
行われる可能性のある検査
- 精液検査:精子の数、運動率、形を調べる、不妊診断の基本の検査です。
- 血液検査:精子を作るために必要なホルモンの値(FSH、LH、テストステロンなど)を調べます。
- 陰嚢超音波検査:精巣の大きさや精索静脈瘤の有無を確認します。
- CT検査:精路のつまりや先天性の形態異常を詳しく確認します。
診察で予想されること
CT検査の準備と流れを説明します。予約の際に、造影剤を使うかどうかが決まります。造影剤を使う場合は検査前の食事制限が必要になることがあるため、担当医の指示を必ず確認してください。検査当日は、保険証とお薬手帳(飲んでいる薬が分かるもの)を持参します。アレルギー(特に造影剤やヨード)、喘息、腎臓病、糖尿病、甲状腺の病気がある場合は、必ず事前に伝えましょう。検査は、検査着に着替えて金属類(アクセサリー、ベルト、メガネ、入れ歯など)を外し、台の上に横になって行います。撮影中は「息を止めてください」と声がかかるので、その間だけ止めます。撮影自体は10〜20分ほどです。造影剤を腕の静脈から注射すると、体が温かく感じたり、口の中に金属の味を感じたりすることがありますが、一時的なもので心配はいりません。CT検査はX線を使うため、放射線の被ばくが気になる方もいるかもしれません。必要な情報を得るための検査として医師が判断するため、不安なことがあれば事前に相談しましょう。
治療
男性不妊の治療は、原因をはっきりさせるところから始まります。CT検査などの結果をもとに、精路のつまりがあれば手術、ホルモンの問題があればホルモン療法、精索静脈瘤があれば血管の手術など、原因に合わせた治療が検討されます。また、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療によって、精子を直接取り出して妊娠を目指す方法もあります。どの治療が合うかは、担当医とパートナーと一緒に決めていきましょう。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(喫煙は精子の質を低下させることが知られています)
- アルコールは適量にとどめる
- 長時間のサウナや熱いお風呂は避け、陰嚢を温めすぎない(精子は体温よりやや低い環境で作られます)
- 適度な運動と十分な睡眠で、生活リズムを整える
- CT検査が予定されている場合は、担当医の指示(食事制限や金属を外すこと)に従って準備する
医療治療
医師による治療には、ホルモンバランスを整える薬や、感染症が原因の場合は抗菌薬などが使われることがあります。ただし、薬の選択や使用量はすべて医師が判断するもので、自己判断で使用してはいけません。また、手術や生殖補助医療の種類も、検査結果や年齢、パートナーの状況によって異なります。具体的な選択肢については、必ず専門医の説明を受けて決めましょう。
手術が検討される場合
精索静脈瘤がある場合や、精管のつまりが手術で改善できる場所にある場合には、手術が検討されます。また、精巣から直接精子を取り出す手術(精巣内精子採取)が、体外受精や顕微授精と組み合わせて行われることがあります。
この病気と共に生きる
不妊の検査や治療は、時間も心の余裕も必要です。CT検査はあくまで原因を調べるための一つのステップです。検査結果を待つ間は不安になることもありますが、結果によって次の選択肢を医師と一緒に考えることができます。疑問や不安があれば、そのままにせず担当医や看護師に質問しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを心がける
- 仕事と休息のバランスをとる
- 趣味やリラックスできる時間を持つ
- パートナーと定期的に気持ちを話し合う
- SNSやインターネットの情報に振り回されず、医療者から正しい情報を得る
食事と運動
バランスのよい食事(野菜、果物、魚、良質なたんぱく質を中心に)を心がけましょう。極端なダイエットや偏食は精子の健康に影響する可能性があります。運動は、ウォーキングや軽いジョギングなど中程度の有酸素運動を週に数回行うのがすすめられます。過度なトレーニングは逆に生殖機能に影響することがあるため、ほどほどに。
精神的健康と心の健康
不妊は「自分ひとりの問題」になりがちですが、実際にはカップルで向き合うものです。「自分が原因かもしれない」という罪悪感を抱える男性は少なくありません。このような感情は自然なものですが、一人で抱え込む必要はありません。パートナーに気持ちを伝えること、医療機関のカウンセリングや不妊相談窓口を利用することも選択肢の一つです。必要だと感じたら、迷わず支援を求めましょう。もし、つらい気持ちが続き、食事や睡眠に影響が出ている場合は、早めに医師や専門機関に相談してください。
予防
すべての男性不妊を予防することはできませんが、精子の健康を保つためにできることはあります。たばこを吸わない、飲酒はほどほどにする、適度な運動、ストレスをためない、陰嚢を温めすぎないことなどが、生殖機能の維持に役立つ可能性があります。また、性感染症を予防し、早期に治療することも大切です。CT検査は不妊の原因を調べるためのものであり、不妊そのものを予防するものではありません。
ワクチン
おたふくかぜなどの感染症にかかると、精巣炎を合併して不妊の原因になることがあります。予防接種の履歴に心当たりがない場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。
検診プログラム
男性不妊に特化した一般的なスクリーニング検査はありませんが、会社や自治体の健康診断を定期的に受けることで、生殖に関わる生活習慣病(糖尿病や肥満など)のリスクを知ることができます。若い頃に精巣や陰嚢の病気をしたことがある人は、不妊を心配する前に泌尿器科で一度検査を受けるのがすすめられます。
合併症
治療しない場合
- 不妊の原因を調べないまま時間が経つと、年齢とともに妊娠しにくくなる可能性があります
- 原因によっては、受診が遅れることで治療の選択肢が限られることがあります
- つらい気持ちを抱えたまま、パートナーとの関係に負担がかかることがあります
- 原因が治療可能なものであっても、そのまま放置することで改善の機会を逃すことがあります
長期的な見通し
男性不妊の原因の多くは、専門医の診察と検査によって明らかにすることができ、治療や生殖補助医療によって妊娠の可能性を高められます。特に、精路のつまりや精索静脈瘤は手術で改善できることがあります。検査や治療は時間がかかることもありますが、希望を持って一歩ずつ進めていってください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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