男性不妊の超音波検査について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
超音波検査とは、体の外から音波(こだま)をあてて、内臓や組織の様子を画面に映し出す検査です。男性不妊の検査では、精巣(こうがん)や精巣上体(副こう丸)、前立腺などを観察し、精子が作られる場所や通り道に問題がないかを調べます。痛みはほとんどなく、放射線を使わない安全な検査です。
重要な事実
- 音波を使って体の内部を映すため、X線のような被ばくがありません。
- 男性不妊の原因となる精索静脈瘤や精管のつまりなどを見つける手がかりになります。
- 検査は外来で行うことが多く、検査後に特別な安静は必要ありません。
男性不妊は決して珍しいことではありません。WHOの報告では、カップルの不妊の原因は男性側にある場合も、女性側にある場合もほぼ同じくらいと言われています。超音波検査はその原因を調べるための一般的で安全な検査です。
精子の数や運動率が低いと指摘された男性、長期間妊娠に至らないカップルの男性、陰嚢(いんのう)の痛みや腫れがある男性などが対象になります。どの年齢の男性でも安全に行えます。
症状
- 突然の強い陰嚢の痛みが起こった場合は、精巣捻転(睾丸がねじれる)の可能性があります。すぐに119番へ連絡してください。
- 吐き気や嘔吐をともなう激しい痛み、陰嚢の急激な腫れがあるときも救急車を呼んでください。
- ⚠痛みが続くが救急車が必要か迷う場合や、しこりを触れる場合は、当日中に泌尿器科を受診してください。
- ⚠精液に血が混じる、尿に血が混じるなどの症状があれば、早めに受診してください。
一般的な症状
- 男性不妊そのものは自覚症状がないことがほとんどです。
- 陰嚢の重だるさやしこり、痛み、腫れを感じることがあります(これらは必ずしも不妊に直結しません)。
- 精液検査の結果に異常を指摘されることがきっかけになります。
子供の症状
- 小児期には、精巣の位置や形の異常を確認するために超音波検査を用いることがあります。通常は特別な症状がなく、健康診断で見つかることもあります。
高齢者の症状
- 加齢とともに精子の質は変化しますが、超音波検査で年齢特有の問題を直接診断するわけではありません。前立腺の状態を確認する目的で経直腸的超音波検査が行われることがあります。
原因
主な原因
- 超音波検査は原因そのものではなく、原因を見つけるための道具です。主な原因候補として、精索静脈瘤、精管の閉塞、前立腺や精嚢の異常などがあります。
- ホルモンの不均衡や染色体の問題、生活習慣の影響などは超音波ではわからないため、他の検査と組み合わせて調べます。
リスク要因
- 過度な飲酒
- 高温の環境(長風呂やサウナ)
- 過体重や肥満
- 特定の薬剤や治療歴(化学療法など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 陰嚢に突然の激しい痛みや腫れがある場合。
- 事故や怪我の後に痛みが続く場合。
定期受診を予約すべき場合:
- 避妊をせずに1年間(パートナーが35歳以上の場合は6か月)妊娠しない場合。
- 精液検査で異常を指摘された場合。
- 陰嚢の重だるさやしこりが続く場合。
診断
男性不妊の検査では、問診と精液検査を基本に、超音波検査で陰嚢内容物や前立腺などをくわしく観察します。状況に応じて、血流を調べるドプラ法や、肛門から前立腺を観察する経直腸的超音波検査を追加することがあります。
行われる可能性のある検査
- 陰嚢超音波検査(精巣・精巣上体を観察)
- ドプラ超音波検査(血流を確認)
- 経直腸的超音波検査(前立腺・精嚢を観察)
診察で予想されること
検査は診察室または超音波検査室で行います。陰部を露出し、陰嚢の皮膚にゼリーを塗って、プラスチック製の小さな機械(プローブ)を軽くあてます。約10分から15分で終わり、痛みはほぼありません。経直腸的超音波検査では、細いプローブを肛門から入れますが、痛みを和らげるために麻酔ゼリーを使うことがあります。
治療
超音波検査で見つかった原因によって治療方針は異なります。治療法は「原因を治す」方法と、「生殖補助医療」によって妊娠を目指す方法に大きく分けられます。あなたの状況に合った計画を泌尿器科の医師が相談しながら作ります。
自宅でのセルフケア
- 陰嚢への過度な熱を避け、長時間の長風呂やサウナを控えましょう。
- 緩めの下着を着用し、陰嚢を締めつけないようにしましょう。
- 禁煙・節酒を心がけましょう。
- ストレスをためず、十分な睡眠をとりましょう。
医療治療
治療は原因によって異なります。例えば、ホルモン値の異常に対してホルモン療法を行う場合や、精索静脈瘤や精管の閉塞がある場合には手術が検討されることがあります。また、場合によっては顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療が選択されます。使用する薬や手術の適応は医師が慎重に判断します。
手術が検討される場合
精索静脈瘤が見つかり、精子の質の低下や疼痛がある場合は、手術(精索静脈瘤切除術)が検討されることがあります。また、精管の閉塞があれば、閉塞を解除する手術が試みられることもあります。
この病気と共に生きる
検査後は通常の生活にすぐ戻れます。治療をしながらの日常生活では、規則正しい生活リズムとバランスのよい食事を心がけるとよいでしょう。不妊治療は時間がかかることがありますが、焦らずにパートナーと話し合いながら進めることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 週に数回の軽い運動(ウォーキングなど)を続けると、血行がよくなります。
- BMIが25以上の場合は、適正体重を目指して食事を見直しましょう。
- サウナや長風呂、高温作業を避けることが精子の健康に役立つとされています。
食事と運動
特定の食品だけで精子の数が増えるという確実なエビデンスはありませんが、野菜・果物・魚中心のバランスのよい食事、適度な運動、過度な飲酒を避けることが全体的な健康につながります。
精神的健康と心の健康
不妊はからだと心の両方に負担をかけるものです。「自分が原因かもしれない」という罪悪感や、検査に対する不安、治療のストレスを感じることは自然なことです。気持ちを一人で抱え込まず、パートナーや医療者に話すことが大切です。
予防
男性不妊のすべてを予防することはできませんが、健康的な生活習慣で精子の質を保つことができます。禁煙、節酒、適正体重の維持、熱の回避などが推奨されます。
検診プログラム
妊娠を希望するカップルでは、パートナーの年齢や期間に応じて早めに検査を受けることがすすめられます。症状がなくても精液検査を一度受けてみると安心です。
合併症
治療しない場合
- 不妊の原因となる精索静脈瘤や閉塞を放置すると、テストステロン(男性ホルモン)の低下や精巣の萎縮が進むことがあります。
- ホルモン異常や性染色体の問題など、他の病気が隠れている場合は、早期の治療が重要になることがあります。
長期的な見通し
超音波検査で原因が見つかれば、それに応じた治療が可能です。男性不妊の原因は一つではなく、また原因不明であっても妊娠のチャンスは十分にあります。検査は「知ること」で戦略を立てられる、希望につながる一歩です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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