乾癬(かんせん)とMRI検査:検査前に知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乾癬(かんせん)は、免疫の働きが関係して皮膚の細胞が通常より速く増えすぎることで、赤い発疹や銀白色のフケのような皮ができる慢性の炎症性皮膚疾患です。うつる病気ではありません。MRI(磁気共鳴画像検査、じききょうめいがぞうけんさ)は、皮膚の状態を調べるための検査ではなく、関節や骨の中の炎症や変化を詳しく見るために使われることがあります。
重要な事実
- 乾癬は人にうつりません。
- 皮膚だけでなく、爪や関節に症状が出ることもあります。
- 治療により症状をうまくコントロールできる病気です。
乾癬は世界で約1億人、日本では人口の約0.1〜0.5%にみられるといわれています。決して珍しい病気ではありません。
乾癬は子どもから高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性があります。特に20〜30代と50〜60代に初めて症状が出ることが多いとされています。男性と女性の差もあまりありません。
症状
- 皮膚の広範囲が赤く腫れ、発熱や悪寒を伴う
- 全身の皮膚が激しくむける、痛みが強い(紅皮症性乾癬の可能性)
- 関節の激しい痛みや腫れがあり、動けなくなった
- ⚠発疹が急に全身に広がっている
- ⚠発疹に膿(うみ)や悪臭がある
- ⚠関節の痛みが数日続き、日常生活に支障がある
一般的な症状
- 境界がはっきりした赤い盛り上がった発疹
- 発疹の上に銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)
- かゆみや痛みを伴うことがある
- 爪の表面がでこぼこになる、爪が厚く濁る
- 関節の腫れ、痛み、こわばり(関節症性乾癬)
原因
主な原因
- 乾癬の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫システムに異常が起き、皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)が通常の約10倍に加速することが関係しています。
- 遺伝的な体質に加えて、細菌感染(特にのどの感染)、ストレス、皮膚への外的な刺激、特定の薬剤、喫煙、飲酒などが発症や悪化のきっかけになることがあります。
- 乾癬が人から人へうつる感染症ではないことは分かっています。
リスク要因
- 家族(親や兄弟)に乾癬の人がいる
- 喫煙・飲酒の習慣がある
- 長期間にわたるストレス
- のどの感染症を繰り返す
- 皮膚を傷つける習慣がある(引っかく、こするなど)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚の症状が突然全身に広がった
- 発熱や強い痛み、皮膚の広範囲な赤みがある
- 関節の腫れや痛みが強く、歩く・動くことが難しい
定期受診を予約すべき場合:
- 赤い発疹とフケのような皮が2週間以上続いている
- かゆみが強く、眠れないまたは仕事に支障がある
- 爪の変形や関節のこわばりに気づいた
- 市販の保湿クリームなどで改善しない
診断
乾癬は、医師が皮膚の見た目(視診)と問診によって診断するのが基本です。目で見て典型的な発疹があれば診断できることがほとんどですが、ほかの皮膚疾患との区別が難しい場合や、関節の症状がある場合には、追加の検査が行われることがあります。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診:医師が発疹の形、色、広がり、鱗屑の特徴を確認します。
- 問診:症状が始まった時期、かゆみの程度、家族や本人の病歴、生活習慣などを聞かれます。
- 皮膚生検:局所麻酔で皮膚の一部を数ミリだけ採取し、顕微鏡で詳しく調べます。
- 血液検査:炎症の程度や関節リウマチなど他の病気の可能性を調べます。
- 関節エコー(超音波)・X線検査:関節の炎症や骨の変化を調べます。
- MRI(磁気共鳴画像検査):関節の内部の炎症や骨の変化、腱や軟骨の状態を詳しく確認するために使われることがあります。
診察で予想されること
MRI検査は、強い磁力と電波を使って体の中を断面画像として映す検査です。痛みはなく、専用の台に横になり、動かないようにして約15〜30分撮影します。検査中は大きな音がしますが、耳あてやヘッドホンで音楽が流れることもあります。体内に金属のある方(ペースメーカー、人工関節など)や、妊娠の可能性がある方は、必ず事前に医師や放射線技師に伝えてください。クリップ、時計、眼鏡、鍵などの金属製のものは検査前に外します。造影剤を使う場合は、注射前に説明があります。閉所が苦手な方や不安が強い方は、事前に医師へ相談すると、配慮や鎮静の方法について話し合えます。
治療
乾癬の治療は、症状の範囲や重症度、患者さんの生活スタイルに合わせて、外用薬(塗り薬)、光線療法(紫外線を使う治療)、内服薬(飲み薬)、注射薬(生物学的製剤などの全身治療)を組み合わせて行われます。目標は、症状を目立たない状態まで改善し、生活の質を保つことです。治療は医師の指示に従って継続することが大切です。
自宅でのセルフケア
- 毎日の保湿:入浴後などに、刺激の少ない保湿剤を全身に塗る
- 皮膚をやさしく扱う:強くこすらない、掻かない、爪は短く切る
- ストレスをためない:趣味や軽い運動で気分転換をする
- 禁煙・節酒を心がける
- 日光を浴びすぎない:適度な日光は症状に良いこともありますが、日焼けはかえって悪化させることがあるため注意
医療治療
医療機関で行われる治療には、外用薬(塗り薬)、光線療法(紫外線を皮膚に当てる治療)、内服薬(飲み薬)、免疫の働きを調整する注射薬(生物学的製剤)などがあります。どの治療を使うか、回数や期間は、症状の広がり・重症度・体質に合わせて医師が決めます。自己判断で市販の薬に頼りすぎず、必ず皮膚科医の指導を守ってください。
手術が検討される場合
乾癬の皮膚症状に対して手術を行うことはほぼありません。ただし、関節の炎症が進行し、関節の破壊や変形が強い場合は、整形外科の医師と相談して手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
乾癬は慢性の病気ですが、適切な治療を続けることで、症状がほとんど気にならない程度に抑えることが可能です。入浴後の保湿や規則正しい生活を習慣にし、発疹を掻かないように工夫しましょう。外出時は、肌に優しい素材の服を選ぶなどして無理なく過ごせます。周囲に病気を説明することで、理解を得やすくなることもあります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と休息をとる
- ストレスをうまく発散する(深呼吸、軽い運動、入浴、音楽など)
- 禁煙を目指す
- アルコールは適量にとどめる
- 肌を清潔に保ち、保湿をこまめに行う
食事と運動
乾癬に限って絶対に効く特別な食事はありませんが、野菜、果物、魚を中心としたバランスのよい食事がおすすめです。また、ウォーキングや水泳などの適度な運動は、肥満の改善やストレス解消に役立ち、乾癬の症状の安定にもつながることがあります。激しい運動で皮膚をこすったり傷つけたりしないように注意しましょう。
精神的健康と心の健康
乾癬は見た目に影響するため、「人にどう見られているか」「症状がまた悪くならないか」という不安を抱えやすい病気です。そのような気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や看護師、家族、友人に話してみましょう。気分が落ち込んだり、眠れない日が続く場合は、心療内科や精神科の受診も選択肢の一つです。もし「消えてしまいたい」「死にたい」という気持ちが強くなったら、すぐに信頼できる人に話し、救急(119番)を利用するなど、一人で悩まないでください。
予防
乾癬そのものを完全に予防する方法はまだありません。しかし、喫煙や過度の飲酒を控え、ストレスをため込まず、皮膚を傷つけないようにするなど、誘因を避けることで発症や悪化のリスクを減らせる可能性があります。
ワクチン
乾癬そのものを予防するワクチンはありません。ただし、乾癬の治療によって免疫の状態が変わる場合があるため、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種については、主治医と相談して受けることがすすめられることがあります。
検診プログラム
乾癬の人の場合、関節の症状(関節症性乾癬)や、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの合併症がないかを、定期的に健康診断でチェックすることが大切です。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 皮疹が広がり、かゆみや痛みが強くなることがある
- 関節の炎症(関節症性乾癬)が進行すると、関節の変形や動きの制限が残ることがある
- 乾癬があると、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まるという報告がある
- 皮膚のバリア機能が低下するため、細菌感染を起こしやすくなる
長期的な見通し
近年、乾癬に対する治療薬や治療法は大きく進歩し、発疹をほぼ完全に消したり、関節の症状を安定させたりすることが十分可能になっています。完治が難しくても、医師と二人三脚で治療を続ければ、多くの方が通常の生活を送れています。希望を持って、自分に合った治療を見つけていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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