子どもの歯のX線(レントゲン)検査とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
歯が生えることを「歯の萌出(ほうしゅつ)」と言います。赤ちゃんから子どもへ成長するときに、乳歯が歯ぐきを突き破って出てきます。歯の成長や位置を確認するために、X線(レントゲン)検査を行うことがあります。X線は体を通り抜ける性質があり、歯や顎(あご)の骨を白黒の画像に写して、歯ぐきの中の状態を確認できます。
重要な事実
- X線検査は、歯ぐきの下にある歯の芽や、乳歯と永久歯(大人の歯)の位置関係を確認するために使われます
- 検査は短時間で終わり、子どもが受けるX線の量ごく少なく、医師の指示に従えば安全だと考えられています
- すべての子どもにX線検査が必要なわけではなく、歯の生え方の遅れや異常が心配なときに行われます
歯が生える時期のX線検査は、一般的な健康診断ではあまり行われません。ただし、歯がなかなか生えてこない、曲がって生える、など心配なことがある場合は、歯科医師が必要と判断して行うことがあります。
主に乳歯が生え始める生後6か月から2歳頃の子どもと、その後も歯の生え変わりが続く学童期の子どもが対象になります。まれに大人でも、親知らずや埋伏歯(まいふくし、歯ぐきの中に埋まったままの歯)を調べるためにX線検査を行うことがあります。ただし、この記事で説明する「歯が生えるときのX線検査」は、主に子どもの歯の成長についてです。
症状
- 歯ぐきや顔が急激に強く腫れ、息苦しさを感じる
- 高熱が続く(特に生後6か月未満の赤ちゃん)
- 何かを誤飲した可能性があり、咳き込んだり、息ができない場合
- ⚠顔や首が腫れてきた
- ⚠痛みが強く、眠れない、食事もできない
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠口の中から強い臭いを伴う膿(うみ)が出る
一般的な症状
- 歯ぐきが赤く腫れたり、むずがゆそうにしたりする
- 歯がなかなか生えてこない、または予定よりも大幅に遅れている
- 生えてきた歯の位置がずれている、または向きが変
- 痛みや機嫌の悪さが続く
子供の症状
- よだれが多くなり、手や物を口に入れる
- 歯ぐきに白い膨らみが見えるのに、実際には歯が出てこない
- 歯が対称ではなく、片側だけにしか生えてこない
- 食事を嫌がる、睡眠が浅いなど、日常生活に影響が出る
高齢者の症状
- この検査は主に子どもの歯の成長を調べるもので、高齢者を対象とした一般的なものではありません。ただし、親知らずや歯の根の病気を確認するためにX線検査を行うことはあります。
原因
主な原因
- X線検査が必要になる理由の一つは、歯の生え方が遅い、または歯が並ぶ場所が足りないなど、歯の発育に心配がある場合です
- 歯ぐきの中に歯が埋まったまま出てこない「埋伏歯」の可能性を調べるため
- 乳歯が虫歯やけがで早く抜けてしまい、その下の永久歯が正常に成長しているかを確認するため
リスク要因
- 早産で生まれた赤ちゃんは、歯の生える時期が遅くなることがあります
- 家族に歯の生え方に関する遺伝的な問題がある場合
- 口の中をぶつけるなどのけがをしたことがある場合
- ダウン症や特定の症候群など、歯の発育に影響する基礎疾患がある場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 歯ぐきや顔の腫れが急に広がった場合
- 38度以上の発熱があり、ぐったりとして機嫌が悪い場合
- 痛みが強く、授乳や食事がまったくできない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 1歳を過ぎても1本も乳歯が生えてこない
- 生えかけの歯の位置や向きが非常に気になる
- 定期的な歯科健診の際に、歯の生え方について気になることを相談する
診断
医師(小児科医または歯科医)がお子さまの口の中をじっくり見て、手で触れて確認します。その上で、歯ぐきの中の歯の芽や顎の骨の状態を確認したいときにX線検査をすすめます。
行われる可能性のある検査
- 口内法X線検査(一般的なレントゲン): 小さなフィルムを口の中に入れ、気になる歯の周囲を細かく撮影します
- パノラマX線検査: 顎全体を一周しながら撮影する方法で、上下の顎の全体の歯並びと発育を一度に確認できます
- 必要に応じて、CT検査を使うこともありますが、歯の発育の確認には通常X線で十分です
診察で予想されること
検査は歯科医院で行われます。子どもは専用の椅子に座るか、親のひざの上に座った状態で行います。X線を出す機械の前に顎を置き、歯に小さな器具をくわえます。撮影自体は数秒から1分程度で、痛みはありません。子どもが動かないように、練習用の模型でくわえ方を練習してから撮影する医院もあります。
治療
歯が生えること自体は病気ではありません。X線検査で歯の発育に問題がないことがわかれば、特別な治療は必要ありません。もし歯の位置や生え方に問題がある場合でも、多くは経過観察を続けながら、歯の成長を助けます。
自宅でのセルフケア
- 歯ぐきを清潔に保つ: 水でぬらした清潔な布や、乳幼児用の歯ブラシでやさしく歯ぐきを磨いてあげましょう
- 冷たい歯固め(冷却リング)を噛ませる: 冷たい清潔な固めを噛むことで、歯ぐきのむずがゆさが和らぎます
- 指や手を清潔に保つ: 子どもがよく口に手を入れるので、気になるときは石けんでよく洗いましょう
- 入浴やシャワーの後は、口周りをやさしく拭いて汗やよだれを残さないようにしましょう
医療治療
歯ぐきの炎症や痛みが強い場合は、歯科医が口腔内の状態に合わせて、保湿剤や子ども用の麻酔成分を含まない専用のジェルをすすめることがあります。ただし、必ず医師または歯科医の指示に従ってください。処方された薬がある場合も、指示された使い方と量を守ることが大切です。
手術が検討される場合
ほとんど必要ありませんが、歯が顎骨の奥に埋まっている「埋伏歯」で、周囲の歯や神経に影響しそうな場合、外科的に歯を出す処置や、抜歯を行うことがあります。これは小児歯科の専門医の診断によります。
この病気と共に生きる
歯の生え始めは、よだれが多い、おしゃぶりや指しゃぶりが増えるなど、赤ちゃんの様子が変わります。気になる症状が続くときは、写真やビデオに記録しておくと、受診時の相談に役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 乳歯が生え始めたら、食後に先の柔らかい歯ブラシでやさしく磨く習慣をつけましょう
- 3歳になるまでに、初めての歯科検診を受けることをおすすめします
- 指しゃぶりやおしゃぶりの長期使用は、歯並びに影響することがあるため、発達に応じてやめるタイミングを保健師や歯科医に相談しましょう
食事と運動
バランスの良い食事を心がけましょう。特にカルシウムやビタミンA、C、Dなど、歯の成長に役立つ栄養素を含む食品を取り入れるとよいです。甘い飲み物やお菓子は虫歯のリスクを高めるため、1日の中でだらだら食べたり飲んだりしないようにしましょう。
精神的健康と心の健康
子どもの歯の生え方が心配だと、親御さんの不安やストレスが続くことがあります。また、夜泣きやぐずりで睡眠不足になることもあるでしょう。お子さまのペースで成長するものだという気持ちで見守り、気になることは一人で抱え込まずに、保健師やかかりつけ医に相談してください。
予防
歯が生える時期や生え方そのものを予防することはできません。ただし、口腔内を清潔に保つことや、定期的な歯科検診によって、歯の発育に影響する虫歯や歯ぐきの炎症を防ぎやすくなります。
検診プログラム
1歳の誕生日頃までに初めての歯科検診を受けることが、日本小児科学会と日本小児歯科学会からすすめられています。その後は、歯の生え変わりや歯並びの様子を確認してもらうため、忙しくても半年から1年に1回を目安に検診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 虫歯や歯肉感染が進むと、乳歯の下にある永久歯の成長に影響することがあります
- 歯の位置異常が長く続くと、歯並びや噛み合わせの問題が大きくなることがあります
- 埋伏歯がある場合、周囲の骨や隣の歯に悪影響を及ぼす可能性があります
長期的な見通し
歯が生えるときのX線検査は、あくまで診断の一つであり、多くの場合は問題を見つけるためではなく、安心するために行われます。たとえ何か指摘されても、歯科・小児歯科のケアや経過観察で改善できることがほとんどです。お子さまの健康な歯の成長のために、医療者と一緒に進めていく心構えを持ちましょう。
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地域の団体
- 日本小児歯科学会 · 日本
- 厚生労働省 歯科口腔保健情報 · 日本
- 各自治体の保健センター(保健所) · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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