子宮内膜症の痛みと血液検査について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
子宮内膜症とは、子宮の内側にあるべき内膜と似た組織が、子宮以外の場所(卵巣や腹膜など)にできてしまう病気です。この組織が月経周期に合わせて出血や炎症を起こし、強い痛みや不妊の原因になることがあります。血液検査は、この病気の診断の手がかりのひとつとして使われます。
重要な事実
- 血液検査だけでは子宮内膜症と確定診断できませんが、病気の可能性を調べる補助的な検査です。
- 代表的な血液検査にはCA125(癌抗原125)という数値を測るものがあります。
- CA125の値は子宮内膜症のほか、卵巣がんや他の病気でも上がることがあります。
- 診断には画像検査(超音波やMRI)や腹腔鏡(おなかに小さな穴をあけてカメラを入れる検査)が必要な場合もあります。
子宮内膜症は比較的一般的な病気で、出産可能な年齢の女性の約10人に1人がかかると言われています。
主に20~40代の女性に多く見られますが、10代や閉経後の女性でも起こることがあります。
症状
- 突然の激しい腹痛で動けなくなる
- 意識がもうろうとする
- 大量の出血がある(ナプキンが1時間でびしょびしょになる)
- ⚠持続する強い痛みで市販の鎮痛薬が効かない
- ⚠発熱を伴う腹痛
- ⚠吐き気や嘔吐が止まらない
一般的な症状
- 月経時にひどい腹痛(生理痛)がある
- 月経のたびに痛みが強くなる
- 性行為のときに痛みがある
- 排便や排尿のときに痛みがある
- 慢性的な骨盤の痛み(腰や下腹部の痛み)
- 月経量が多い、または月経以外の時期に出血がある
子供の症状
- 10代では生理痛がとても強いと訴えることが多い
- 学校や日常生活に支障が出るほどの痛みがある
高齢者の症状
- 閉経後は症状が軽くなる人が多いが、一部では痛みが続くこともある
- 閉経後に新たに痛みが出る場合は他の病気の可能性もあるため注意が必要
原因
主な原因
- はっきりとした原因はわかっていませんが、生理のときに子宮内膜が逆流して腹腔内に広がるという説があります(月経逆流説)。
- 免疫の働きに問題があると、逆流した内膜組織をうまく排除できずに子宮内膜症が起きやすくなる可能性があります。
- 遺伝的な要素も関係していると考えられています。家族に子宮内膜症の人がいるとリスクが高まります。
リスク要因
- 初経が早い(12歳より前)
- 月経周期が短い(25日以内)
- 月経量が多い
- 子宮の形の異常
- 家族(母や姉妹)に子宮内膜症の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 生理痛がはじめてひどくなり、日常生活が送れないとき
- 急に激しい痛みが出たとき(救急を呼ぶが必要な場合もある)
定期受診を予約すべき場合:
- 月経に関係なく繰り返す骨盤の痛みがある
- 2~3か月以上、生理痛が続いたり悪化している
- 妊娠しにくくて気になる
診断
子宮内膜症の診断は、まず医師が問診(症状の詳しい聞き取り)と内診(腟やおなかからの診察)を行います。その後、血液検査や画像検査(超音波、MRI)を組み合わせて評価します。確定診断には腹腔鏡検査が必要なことがありますが、血液検査はその前の段階で役立つことがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(CA125などの腫瘍マーカーを測定)
- 経腟超音波(腟からプローブを入れて卵巣や子宮を見る)
- MRI(骨盤内の状態を詳しく画像で確認)
- 腹腔鏡検査(おなかに小さな穴を開け、カメラで直接組織を確認する。確定診断となることが多い)
診察で予想されること
血液検査は腕から採血するだけの簡単な検査です。結果が出るまで数日かかることがあります。CA125の値が高くても子宮内膜症とは限りません。医師はその結果を他の検査や症状と合わせて総合的に判断します。不安なことがあれば、検査前に医師や看護師に質問しましょう。
治療
子宮内膜症の治療は、症状の程度や妊娠希望の有無によって変わります。目標は痛みを抑え、日常生活の質を改善することです。治療には薬による方法と手術による方法があります。
自宅でのセルフケア
- 温める:カイロや湯たんぽでおなかや腰を温めると痛みが和らぎやすい
- 休息をとる:痛いときは無理をせず横になる
- ストレスを減らす:リラックスする時間を作る(ヨガや深呼吸など)
- 軽い運動:ウォーキングなど血行を良くする運動が有効なことがある
医療治療
医師が処方する治療薬には、痛みを和らげる薬(鎮痛薬)やホルモンのバランスを調整する薬があります。ホルモン薬は病巣の活動を抑え、痛みを軽減する目的で使われます。どの薬をどのくらい使うかは、医師があなたの状態に合わせて決めます。必ず医師の指示に従い、自己判断で薬を変えないでください。
手術が検討される場合
薬での改善が不十分な場合や、妊娠を希望する方で病巣を取り除きたい場合には、腹腔鏡手術で子宮内膜症の組織を切除することがあります。さらに重症な場合や、他の治療が効かない場合は、子宮や卵巣を摘出する手術が検討されることもありますが、これは最終的な選択肢です。
この病気と共に生きる
子宮内膜症は長く付き合う病気です。痛みのある日は予定を調整したり、無理をしないことが大切です。月経周期を記録して、痛みが起きやすい時期を把握すると対策を立てやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活:十分な睡眠とバランスの良い食事
- 適度な運動:痛みがないときにウォーキングや水泳など
- ストレス管理:趣味やリラクゼーションを取り入れる
食事と運動
特定の食事が子宮内膜症に効くという確かな証拠はありませんが、抗酸化作用のある野菜や果物、オメガ3脂肪酸(魚など)を多くとることは炎症を抑える助けになる可能性があります。痛みが強いときは激しい運動は控え、軽いストレッチやウォーキングを心がけましょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや不妊への不安は、気分を落ち込ませたり、ストレスの原因になります。そのような気持ちは自然なことです。ひとりで抱え込まず、パートナーや家族、友人に話すだけでも楽になることがあります。
予防
子宮内膜症を完全に予防する方法は今のところわかっていません。しかし、早期発見と適切な治療で症状をコントロールすることは可能です。気になる症状があれば早めに受診しましょう。
検診プログラム
子宮内膜症に対する集団検診(スクリーニング)はありませんが、定期的な婦人科検診(子宮頸がん検診など)のついでに相談してみるのも良いでしょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みが慢性化し、日常生活や仕事に大きな支障が出ることがある
- 病巣が大きくなり、卵巣にチョコレート嚢胞(のうほう)ができることがある
- 卵管や卵巣の動きが悪くなり、不妊の原因になる可能性がある
- 腸や膀胱など周りの臓器に癒着(くっついて動きにくくなること)を起こすことがある
長期的な見通し
子宮内膜症は完全に治ることは難しいとされていますが、多くの人は治療によって症状をうまくコントロールし、充実した生活を送っています。妊娠を希望する場合でも、適切な治療を受けることで可能性が高まることがあります。最新の医療は進歩しており、希望を持って病気と向き合うことが大切です。
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地域の団体
- 日本子宮内膜症協会 · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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