小児の下痢
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
小児の下痢(げり)とは、子どもがゆるい・水っぽいうんちを1日に何度もする状態のことです。通常はウイルスや細菌の感染によって起こり、多くの場合、数日で自然によくなりますが、水分が失われる危険もあるため注意が必要です。
重要な事実
- 子どもの下痢の多くはウイルスが原因です。
- 下痢で一番心配なのは脱水(だっすい:体の水分が不足すること)です。
- 下痢のときは普通の食事を続け、経口補水液(けいこうほすいえき:飲むタイプの水分補給液)で水分をとることが大切です。
はい、小児の下痢はとてもよく見られる症状です。特に乳幼児は年に数回下痢になることがあります。
主に生後6か月から5歳までの子どもに多く見られます。特に保育園や幼稚園に通う子どもは感染の機会が増えます。
症状
- 呼びかけても反応がない、または意識がもうろうとしている
- けいれん(ひきつけ)を起こしている
- 顔色が青白い、または唇が紫色になる
- 呼吸が浅い・速い、または呼吸が止まりそう
- ⚠6時間以上おしっこが出ていない(乳児では4時間以上)
- ⚠口や舌が乾いている、泣いても涙がでない
- ⚠ぐったりして元気がない
- ⚠便に血が混じっている
- ⚠激しい腹痛が続く
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠生後3か月未満の赤ちゃんに下痢がある
一般的な症状
- 水っぽいうんちが1日に何度も出る
- おなかがゴロゴロしたり痛がる
- 吐き気や嘔吐(おうと:食べたものを吐くこと)を伴うことがある
- 微熱や発熱が出ることがある
子供の症状
- 機嫌が悪い、ぐずる
- おむつかぶれがひどくなる
- いつもより眠そう、ぐったりする
- よだれが少なくなる、泣いても涙が出ない(脱水のサイン)
原因
主な原因
- ウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
- 細菌感染(サルモネラ菌、カンピロバクターなど)
- 寄生虫感染(まれ)
- 食中毒(細菌やウイルスに汚染された食べ物や水)
- 抗生物質の使用による腸内細菌のバランスの乱れ
リスク要因
- 保育園や幼稚園に通っている(集団生活)
- 手洗いが不十分
- 海外旅行
- 免疫力が弱い(未熟児や病気など)
- 不衛生な水や食べ物を摂取した
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急・急を要する症状があるときはすぐに医療機関を受診してください。
- 脱水が疑われる場合(おしっこの回数が減る、口が渇く、泣いても涙が出ないなど)
- 便に血が混じっている、または黒いタールのような便が出る
- 強い腹痛が続く
- 高熱(38.5度以上)がある
- 下痢が激しく、何度も水っぽいうんちが出る
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が2週間以上続く(慢性下痢の可能性)
- 体重が増えない、または減っている
- 発疹(ほっしん)や関節の痛みがある
- 家族や周囲に同じ症状の人がいる
診断
医師は問診(症状や経過の聞き取り)と診察(おなかの触診など)を行います。必要に応じて便の検査や血液検査をする場合もあります。
行われる可能性のある検査
- 便検査(細菌やウイルスの有無を調べる)
- 血液検査(脱水や炎症の程度を確認)
- 腹部エコー(おなかの超音波検査)
診察で予想されること
診察では、下痢の回数や性状、嘔吐の有無、水分摂取の状況、おしっこの回数などを詳しく聞かれます。また、体重測定や皮膚のつまみ返り(脱水のチェック)も行われます。
治療
小児の下痢の治療の基本は、水分補給と栄養管理です。原因がウイルスの場合は特別な薬はなく、自然に治るのを待ちながら脱水を防ぎます。細菌感染が疑われる場合には医師の判断で抗生物質が使われることもありますが、自己判断での使用は避けてください。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる(経口補水液が最適です。ない場合は薄めたスープやスポーツドリンクを水で薄めたもの)
- 下痢中も母乳やミルクは続けてよい(ただしミルクは薄めて与えることも)
- 消化の良い食事を少しずつ与える(おかゆ、うどん、バナナなど)
- おむつ替えのたびにぬるま湯で洗い、おしりを清潔に保つ
- 手洗いを徹底し、家族内の感染を防ぐ
医療治療
医療機関では、脱水が強い場合に点滴(静脈から直接水分や電解質を補給する治療)を行います。また、吐き気止めや整腸剤(腸の働きを助ける薬)が処方されることがありますが、医師の指示に従って使用してください。下痢止めの薬は子どもには原則使いません。
この病気と共に生きる
下痢の間は子どもが安静に過ごせる環境を整えましょう。おむつ替えの頻度が増えるので、おしりを清潔に保つことが大切です。また、脱水のサインがないかこまめにチェックしてください。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとらせる
- 保育園や幼稚園は症状が落ち着くまで休む(学校保健安全法に基づき、下痢が続く間は登園を控えるのが望ましい)
- 家族は手洗いをしっかり行い、タオルや食器を分ける
食事と運動
下痢の間は無理に食事をとらせる必要はありません。ですが、お腹がすいたときは消化の良いものを少量ずつ与えてください。脂肪分や食物繊維の多い食事は避けましょう。元気があれば軽い遊びは構いませんが、激しい運動は控えましょう。
精神的健康と心の健康
下痢が続くと子どもも親も疲れやストレスを感じることがあります。特に夜間に何度も起きたり、おむつ替えで睡眠が不足するとイライラしやすくなります。周りの家族や医療機関に相談してサポートを受けましょう。
予防
完全に予防することは難しいですが、感染のリスクを減らすことはできます。
ワクチン
ロタウイルスワクチンは重い下痢(ロタウイルス胃腸炎)を予防する効果があります。日本では定期接種(自治体によっては助成あり)として推奨されています。
合併症
治療しない場合
- 脱水症(水分不足による症状:口が渇く、尿量減少、めまいなど)
- 電解質異常(ナトリウムやカリウムのバランスが崩れる)
- 栄養不良(下痢で栄養が吸収されにくくなる)
- 体重減少や発育の遅れ
長期的な見通し
適切な水分補給と栄養管理を行えば、ほとんどの小児の下痢は数日から1週間で改善します。医療機関での治療が必要なケースでも、早めに対応すれば回復は良好です。重い合併症はまれですが、注意深く観察することが大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.