足首上腕血圧比(ABI)検査
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
足関節上腕血圧比(ABI)検査は、足首と腕の血圧を比較することで、脚の血管が詰まっているかどうかを調べる簡単な検査です。この検査は主に、脚の血管が狭くなったり詰まったりする病気(末梢動脈疾患)を見つけるために使われます。
重要な事実
- ABIは非侵襲的(からだに傷をつけない)で、痛みのない検査です
- 検査結果は数値(正常値は0.9~1.3程度)で示され、異常値は血管に問題がある可能性を示します
- 動脈硬化(血管の老化やプラークの蓄積)の早期発見に役立ちます
日本では、特に高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣のある方に多く行われています。厚生労働省の調査でも、生活習慣病の合併症としての末梢動脈疾患は決して珍しくありません。
主に50歳以上の方、喫煙者、糖尿病や高血圧、高コレステロールの方に多くみられます。また、家族に動脈硬化の病気がある方も注意が必要です。
症状
- 突然、片方の足が激しく痛み、青白く冷たくなった
- 足の脈が触れなくなった
- 足が突然動かせなくなった、または感覚がなくなった※そのような症状がある場合は、すぐに119番(救急)を呼んでください。血管が急に詰まる急性動脈閉塞の可能性があります。
- ⚠足の痛みが急に強くなり、安静にしても治まらない
- ⚠足の傷や潰瘍が急に悪化した、または黒ずんできた
- ⚠足の指にできもの(水疱、潰瘍)ができた
一般的な症状
- 歩くとふくらはぎや太ももが痛くなり、休むと治る(間欠性跛行<かんけつせいはこう>)
- 足が冷たく感じる、またはしびれる
- 足の色が青白くなる、または皮膚が光っている
- 足の爪が厚くなる、傷や潰瘍(かいよう)が治りにくい
子供の症状
- 小児では非常にまれですが、先天性の血管異常や血管炎などの病気で見られることがあります。その場合は、成長に伴う症状の変化に注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、症状が典型的でないこともあります(例えば、痛みを感じにくい、あるいは全く無症状)。
- 転びやすくなったり、足の筋肉が萎縮(いしゅく)することもあります。
- 傷や水虫(水虫<みずむし>)の治りが悪くなり、感染を起こしやすくなります。
原因
主な原因
- 動脈硬化(血管の内側にコレステロールなどがたまって、血管が細くなったり詰まったりする)
- 血栓(血液の塊)が血管をふさぐこと(急性の場合は特に危険)
- 血管の炎症(血管炎)や外傷
リスク要因
- 喫煙(最大の危険因子です)
- 糖尿病(血糖値が高いと血管を傷つけます)
- 高血圧(血管に負担をかけます)
- 高コレステロール血症(血液中の脂質が多くなります)
- 加齢(特に65歳以上)
- 肥満や運動不足
- 家族に動脈硬化や末梢動脈疾患の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 足が突然、激しく痛み、冷たく、青白くなった(すぐに119番)
- 足の傷が急に悪化した、または黒く変色してきた
- 足に触れても感覚がない、または足が動かせない
定期受診を予約すべき場合:
- 歩くとふくらはぎが痛む(数分休むと治る)
- 足の冷えやしびれが続く
- 足の小さな傷や水虫がなかなか治らない
- 検診などで血管の病気を指摘されたことがある
診断
医師が詳しい問診(症状や生活習慣)と診察を行い、必要に応じてABI(足関節上腕血圧比)検査を実施します。
行われる可能性のある検査
- ABI検査:両腕と両足首の血圧を特殊な機械(ドップラー血流計)で測定し、その比(足首の血圧÷腕の血圧)を計算します。正常は0.9~1.3で、0.9未満なら血管が狭くなっている可能性があります。
- 超音波検査(エコー):血管の太さや血流の状態を画像で確認します。
- CT血管造影やMRI:より詳しく血管の状態を調べるために使われることもあります。
診察で予想されること
ABI検査は約15~30分で終わります。服の上からでもできますが、下着や靴下は脱ぐ必要があります。ベッドにあおむけに寝て、腕と足首に血圧計のカフ(巻帯)を巻かれ、少し圧迫される感覚がありますが、痛みはほとんどありません。検査後すぐに通常の生活に戻れます。
治療
治療の目的は、症状を改善し、進行を防ぎ、重い合併症(壊疽、切断など)を避けることです。生活習慣の改善と薬物療法を基本とし、必要に応じてカテーテル治療や手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙:喫煙は最大の危険因子です。禁煙外来やかかりつけ医に相談しましょう。
- 適度な運動:医師の指導のもと、ウォーキングなどの有酸素運動を続けると血管の側副血行路(バイパス)が発達し、症状が改善することがあります。
- 足のケア:毎日足を観察し、傷や変色がないか確認。清潔に保ち、保湿を心がける。糖尿病の方は特に注意が必要です。
- 適正体重の維持とバランスの良い食事
医療治療
医師は、血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬)や、血管を広げる薬、コレステロールを下げる薬(スタチン系など)を処方することがあります。また、血糖値や血圧をコントロールするための治療も重要です。これらの薬は、医師の指示に従って正しく使用してください。
手術が検討される場合
薬や運動だけでは改善が不十分な場合や、安静時にも痛みがある、傷が治らない、壊疽(えそ)が始まっている場合は、血管内治療(カテーテルで風船を膨らませて血管を広げる方法や、ステントを入れる方法)やバイパス手術(詰まった部分を迂回する新しい血管の道を作る手術)が行われることがあります。
この病気と共に生きる
ABI検査で異常が見つかっても、早期に適切な治療と生活改善を行えば、多くの人は症状をコントロールしながら日常生活を送ることができます。毎日の足の観察と、医師の指導に従った自己管理が大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を徹底する(最も重要)
- 定期的に軽い運動をする(歩行運動が推奨される)
- 足を清潔に保ち、乾燥を防ぐ(特に指の間)
- きつすぎない靴と靴下を選び、血行を妨げない
- 定期的に医療機関で経過観察を受ける
食事と運動
食事は、野菜や魚を多くとり、脂肪分や塩分を控えめにします。運動は、医師の許可を得てから、毎日20~30分程度のウォーキングを続けると効果的です。痛みが出たら一旦休み、また歩くことを繰り返す「インターバル歩行」が推奨されることがあります。
精神的健康と心の健康
症状が続くと、歩くことがおっくうになったり、将来への不安を感じることもあるかもしれません。そうした気持ちを一人で抱え込まず、家族や医師、看護師に相談することが大切です。必要に応じて、心理的なサポートも受けられます。
予防
完全に予防できるわけではありませんが、生活習慣の改善でリスクを大幅に減らすことができます。特に禁煙、適度な運動、健康的な食事、血圧や血糖のコントロールが重要です。
検診プログラム
糖尿病、高血圧、脂質異常症がある方、または喫煙者で65歳以上の方は、症状がなくても年に一度はABI検査を受けることが勧められています。定期的な健康診断を活用してください。
合併症
治療しない場合
- 足の痛みが強くなり、安静にしていても続く(安静時疼痛)
- 皮膚の潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)が治らず、感染を繰り返す
- 足の指や足全体の切断が必要になる
- 心筋梗塞や脳卒中などの他の血管の病気を併発しやすくなる
長期的な見通し
末梢動脈疾患は、早期に発見して治療を始めれば、多くの場合、症状の改善や進行の抑制が可能です。生活習慣を改善し、医師の指導を守ることで、長く活動的な生活を維持することができます。たとえ進行した場合でも、最近の治療法の発達により、以前に比べて切断を免れる可能性も高まっています。希望を持ち、一歩ずつできることから始めましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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