自己免疫性肝炎と共に生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
自己免疫性肝炎(じこめんえきせいかんえん)は、免疫(けがや病気から体を守る仕組み)が何かの原因で誤って働き、自分の肝臓を攻撃してしまうことで、肝臓に炎症や傷ができる病気です。
重要な事実
- この病気は人にうつる病気ではありません。
- 治療は、免疫の働きをおさえて肝臓の炎症をしずめることが中心です。
- 多くの人は薬の治療を続けることで、症状をコントロールしながら生活できます。
まれな病気ですが、全国にはこの病気と共に生活している人がいます。適切な診断と治療を受ければ、進行をゆっくりにし、健康な生活を長く続けられる可能性があります。
どの年代の人にも起こりうる病気ですが、特に女性に多く、30代から50代で診断されることが多いと言われています。ほかの自己免疫疾患をもっている人にもより起こりやすいと考えられています。
症状
- 血を吐く、黒い便や血が混ざった便が出る(消化管出血の可能性)
- 意識がもうろうとする、急に混乱してふだんと違う様子がある
- 突然、激しいおなかの痛みがある
- ⚠黄疸が急に悪くなった
- ⚠高熱や強い寒気がある
- ⚠おなかが急に張って痛みが続く
- ⚠足やおなかに急にむくみが現れた
一般的な症状
- 疲れやすさ、だるさ
- 皮膚や白目の部分が黄色くなる黄疸(おうだん)
- おなか(特に右上側)の不快感や痛み
- 尿の色が濃くなる
- 食欲が落ちる、体重が減る
- 発熱や関節の痛み
子供の症状
- 身長や体重の伸びがゆっくりになる
- だるさや発熱が続く
- 皮膚がかゆくなることがある
高齢者の症状
- 症状がはっきりせず、だるさだけが続くことがある
- 黄疸に気づきにくいことがある
- ふだんと違う混乱やぼんやりした状態がみられることがある
原因
主な原因
- 免疫の仕組みが肝臓を誤って攻撃してしまうことが原因ですが、はっきりとしたきっかけはまだ十分に解明されていません。
- ウイルス感染や特定の薬が引き金になる可能性があると考えられています。
リスク要因
- 女性であること
- ほかの自己免疫疾患(甲状腺の病気や関節リウマチなど)をもっていること
- 家族に自己免疫疾患のある人がいること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 黄疸が続く、または悪化している
- 高熱や震えがあり、体調が急に悪くなった
- 吐血や黒い便がある
- おなかの張りや痛みが強くなった
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断の血液検査で肝臓の数値を指摘された
- 慢性的な疲れや消化不良が続いている
- 自己免疫疾患があるため、肝臓のチェックを希望する
- 症状の有無にかかわらず、肝臓の病気について相談したい
診断
自己免疫性肝炎の診断は、血液検査、画像検査、肝臓の組織を調べる検査などを組み合わせて行われます。ほかの肝臓の病気を除外することも重要な手順です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査…肝臓の働きや免疫の状態を示す抗体(自己抗体)を調べます
- 腹部エコーやCTなどの画像検査…肝臓の形や炎症の程度を確認します
- 肝生検…細い針で肝臓の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です
診察で予想されること
診断が確定するまでに少し時間がかかることがあります。検査の多くは外来で受けられますが、肝生検は短い入院が必要になる場合があります。医師が検査の目的や方法をていねいに説明しますので、疑問や不安は気軽に聞いてください。
治療
治療の目的は、肝臓の炎症をおさえ、肝臓が硬くなったり働きが落ちたりするのを防ぐことです。薬による治療が基本で、多くの方は外来で治療を続けられます。治療は長期間にわたることがありますが、効果と副作用のバランスをみながら、あなたに合った計画を医師と一緒に決めていきます。
自宅でのセルフケア
- お酒は控える(医師の許可があるまで飲まない)
- 市販薬やサプリメントは自己判断で使わず、医師や薬剤師に相談する
- 十分な休養と睡眠をとり、疲れをためない
- 定められた薬は指示どおりに飲み、自己判断でやめない
医療治療
治療の中心は、免疫の働きをおさえて炎症をしずめる薬です。一般的にはステロイド薬(副腎皮質ステロイド薬)が最初に使われることが多いですが、患者さんの状態に合わせてほかの免疫調整薬を組み合わせたり、より副作用の少ない薬に切り替えたりすることもあります。薬の種類や量は医師が慎重に決めます。
手術が検討される場合
薬だけで炎症を十分におさえられず、肝臓の傷みが進んだ場合には、肝移植(肝臓を移植する手術)が検討されることがあります。この場合も、専門の医療チームが詳しく説明し、あなたや家族の気持ちを尊重しながら治療方針を決めていきます。
この病気と共に生きる
自己免疫性肝炎は、症状が良くなったり悪くなったりする波がある病気です。体調のよいときも、無理をしすぎず、適度な休養を取り入れて生活しましょう。定期的な受診と検査は、病気の変化に早く気づくためにも欠かせません。
生活習慣のアドバイス
- お酒は控え、主治医に確認してから適切に対応する
- 喫煙は肝臓への負担を増やす可能性があるため、禁煙を検討する
- ストレスをためすぎない工夫をする(趣味やリラックス法など)
- かかりつけの医師をもち、健康診断も続ける
食事と運動
特別な食事制限は通常ありませんが、野菜、魚、大豆製品などを中心に、栄養バランスのよい食事を心がけると良いでしょう。運動は、体調のよい日に無理のない範囲で軽いウォーキングなどから始め、医師に相談しながら続けていくことがおすすめです。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気を抱えることは、不安や気分の落ち込みをもたらすことがあります。「疲れやすい」「人に迷惑をかけている」と感じることもあるかもしれません。そうした気持ちは自然なものです。一人で抱え込まず、医師、看護師、家族に話してみてください。また、日本では各都道府県の精神保健福祉センターや保健所で専門的な相談ができる場所もあります。つらさが続くときは、早めにサポートを求めてください。
予防
自己免疫性肝炎そのものを確実に予防する方法は、まだわかっていません。しかし、定期的に受診し、治療を続けることで、病気の進行や合併症を防ぐことに役立ちます。
ワクチン
肝臓の負担を増やすウイルス性肝炎を予防するため、予防接種が推奨されることがあります。自分に必要な予防接種については、主治医に相談してください。
検診プログラム
健康診断の血液検査で肝臓の数値の変化に気づくことができます。特に自己免疫疾患がある方や、肝臓の病気を心配される方は、定期的な健診を受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 肝臓が徐々に硬くなる肝硬変
- 肝臓の働きが大きく低下する肝不全
- 肝臓がんのリスクが高まることがある
長期的な見通し
治療を続けている多くの人は、症状をうまくコントロールしながら、日常生活や仕事を続けています。病気の進行に合わせて治療や生活を調整することで、長く元気に過ごせる可能性が十分にあります。今できることを一つずつ、医師と一緒に取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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