Barrett oesophagus
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
バレット食道とは、食道(食べ物の通り道)の内側の粘膜が、胃の粘膜に似た細胞に変化してしまう状態のことです。通常は長期間の胃酸の逆流(げっぷや胸やけ)によって起こります。この状態自体は多くの場合症状がなく、進行するとごく一部の人で食道がんのリスクが高まることがあります。
重要な事実
- バレット食道は、胃酸の逆流が長く続くことで起こります。
- 多くは無症状ですが、定期的な検査が大切です。
- 全ての人ががんになるわけではありませんが、定期的な内視鏡検査で経過を見ます。
バレット食道は比較的まれな状態ですが、中年以降の男性に多く見られます。日本では胃食道逆流症(GERD)の患者さんの約5~10%にみられるといわれています。
主に長年胃酸の逆流症状(胸やけなど)がある人、特に40歳以上の男性に多く見られます。肥満や喫煙習慣がある人もリスクが高いとされています。
症状
- 突然の激しい胸の痛み(特に背中まで広がるような痛み)
- 血を吐く、またはコーヒーかすのような黒いものを吐く
- 呼吸困難や窒息感がある場合はすぐに119番に通報してください。
- ⚠飲み込みにくさが急に悪化した
- ⚠体重が理由なく減っている
- ⚠黒い便(タール便)や血便がある
一般的な症状
- バレット食道そのものには特有の症状はほとんどありません。症状がある場合は、むしろ原因となる胃酸の逆流によるものです。
- 胸やけ(胸のあたりが焼けるような感じ)
- げっぷや酸っぱい液体がのどに上がってくる感じ(呑酸)
子供の症状
- 子どもでは非常にまれですが、慢性的な胃酸逆流がある場合、成長に影響が出ることがあります。
- 症状としては、繰り返す吐き気や嘔吐、体重が増えにくいなどが挙げられます。
高齢者の症状
- 高齢者では胸やけなどの症状がはっきりしないことも多く、気づかないうちに進行することがあります。
- 食道の違和感や飲み込みにくさがあれば注意が必要です。
原因
主な原因
- 胃酸や消化液が食道に逆流し、長年の刺激で食道の粘膜が変化することが主な原因です(胃食道逆流症、GERD)。
- 横隔膜ヘルニア(食道と胃のつなぎ目の筋肉がゆるむこと)もリスクを高めます。
リスク要因
- 40歳以上
- 肥満(特に腹部肥満)
- 長期間の胸やけ症状(週1回以上)
- 家族にバレット食道や食道がんの人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや吐血、息苦しさがある場合はすぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 急に飲み込みにくくなった場合も早めの受診が必要です。
定期受診を予約すべき場合:
- 長年続く胸やけや逆流症状がある場合は、一度消化器内科を受診しましょう。
- 健診で胃カメラを勧められた場合も相談してください。
診断
バレット食道は、内視鏡(胃カメラ)で食道の粘膜を直接観察し、疑わしい部分を組織の一部(生検)を取って顕微鏡で調べることで診断されます。
行われる可能性のある検査
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
- 生検(組織を取って調べる検査)
診察で予想されること
検査は日帰りで行われることが多く、のどに麻酔スプレーをしてから細いカメラを口から挿入します。5~10分程度で終わります。検査後はしばらくのどが少し痛むことがありますが、すぐに治ります。結果は組織検査を含めると1~2週間後になります。
治療
バレット食道の治療の主な目的は、胃酸の逆流を抑えて粘膜への刺激を減らし、がん化のリスクを下げることです。そのためには生活習慣の改善と薬物療法で胃酸をコントロールし、定期的に内視鏡で経過を観察します。
自宅でのセルフケア
- 食事は1回の量を少なめにし、ゆっくりよく噛んで食べる
- 食後2~3時間は横にならない(特に就寝前)
- 脂っこいもの、辛いもの、アルコール、タバコを控える
- 肥満の場合は減量を心がける
- ベルトやきつい衣類を避ける
医療治療
医師の指導のもと、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬という種類)を用います。これにより逆流症状を改善し、食道粘膜のさらなる変化を防ぎます。また、異形成(細胞の異常)が見つかった場合は、内視鏡を使って異常な組織を切除する治療を行うこともあります。
手術が検討される場合
ごくまれに、薬が効かない重度の逆流がある場合や、早期のがんが見つかった場合に外科的治療(腹腔鏡下逆流防止術など)が検討されることがあります。詳しくは主治医と相談してください。
この病気と共に生きる
バレット食道と診断されても、日常生活で大きな制限はありません。ただし、定期的な内視鏡検査(通常1~3年ごと)を受けることが大切です。逆流症状がある場合は、生活習慣の工夫で症状を和らげることができます。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事と適度な運動を続ける
- 就寝時に頭側を高くして寝る(逆流防止に役立ちます)
- ストレスをためすぎないようにする(ストレスは逆流を悪化させることがあります)
食事と運動
消化に良い食材(野菜、魚、豆腐など)を中心に、腹八分目を心がけましょう。ウォーキングなどの軽い運動は逆流の改善に役立ちます。ただし食後すぐの激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
がんになるかもしれないという不安を感じる方もいますが、定期的な検査で早期発見・早期治療が可能です。多くの人は検査と生活習慣で問題なく過ごしています。心配なときは医師やカウンセラーに相談しましょう。
予防
完全に予防する方法はありませんが、胃酸逆流を防ぐ生活習慣(食事量、体重管理、禁煙、適度なアルコール)によりリスクを減らせる可能性があります。
検診プログラム
長期間の胃酸逆流症状がある方や、バレット食道と診断された方は、定期的に内視鏡検査(スクリーニング)を受けることが推奨されています。日本では厚生労働省の指針に基づき、医師の判断で実施されます。
合併症
治療しない場合
- バレット食道が進行すると、粘膜の細胞に異形成(異常な細胞)が現れることがあります(異形成は前がん状態)。
- さらに進行すると、ごく一部の方で食道腺がん(食道がんの一種)を発症するリスクがあります。
長期的な見通し
バレット食道と診断されても、多くの方は経過観察と適切な治療で問題なく生活できます。定期的な内視鏡検査で早期に異常を発見すれば、内視鏡治療で完治することも多く、希望を持って治療に取り組んでいただけます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月17日
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