乳幼児の乳がんサバイバーシップ(治療後の過ごし方)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乳がんとは、乳房にできるがんの一種です。ふつうは大人の女性に多い病気ですが、とてもまれに乳幼児(あかちゃんや小さなお子さん)に起こることがあります。「サバイバーシップ」とは、治療を終えた後の生活と健康を長く見守ることを意味します。このページでは、乳幼児が乳がんを経験した後のお子さんとご家族に向けて、大切なことをわかりやすくお伝えします。
重要な事実
- 乳幼児の乳がんは非常にまれで、多くはしこりとして気づかれます。
- 治療後も、成長に合わせて長いフォローアップ(経過観察)が必要です。
- 治療による影響は、数年後や大人になってから現れることもあるため、定期的な健康診断が欠かせません。
非常にまれです。子どものがん全体に占める乳がんの割合は0.1%に満たず、とくに乳幼児ではほとんど例がありません。日本では年間に数例報告されるかどうかという頻度です。
女の子に多いとされていますが、男の子でも起こることがあります。乳児期(生後1年未満)から幼児期(ようやく歩き始める頃)までが対象ですが、その多くは良性(がんではない)のしこりです。がんと診断された場合でも、大人の乳がんとは性質が異なることが多いため、専門医の判断が重要です。
症状
- けいれんが止まらない
- 意識がない、または呼びかけに反応しない
- 呼吸が苦しそうで、顔色が青い
- 原因不明の大量の出血
- ⚠しこりが急に大きくなる
- ⚠乳頭から血が出る
- ⚠38℃以上の発熱が続く
- ⚠ぐったりして水分がとれない
一般的な症状
- 乳房の一部にしこり(固いかたまり)が触れる
- 乳頭から血が混じった液体が出る
- 乳房の皮膚がくぼむ、ただれる、赤く腫れる
- わきの下にしこり(リンパ節の腫れ)を感じる
子供の症状
- おむつ替えや入浴時に乳房のしこりに触れて気づくことが多い
- 痛みを伴わず、だんだん大きくなる場合がある
- 乳頭の形や皮膚の色が変わる
高齢者の症状
- 乳房のしこり(硬い、動きにくい、痛みを感じないことが多い)
- 乳頭が引き込まれる(乳頭のくぼみ)
- わきの下のしこり
- 乳房の皮膚がオレンジの皮のようにむくむ
原因
主な原因
- がんは、遺伝子の変化によって起こると考えられています。
- 乳幼児の乳がんは、まれな遺伝子の異常によって生じることがあります。
- しかし、多くの場合、原因を特定することはできません。
リスク要因
- 特定の遺伝性症候群(家族性のがんがみられる方)
- 出生前に放射線へさらされた歴史(極めてまれ)
- 家族に若年期の乳がんや卵巣がんを発症した人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- しこりが急に大きくなった
- 乳頭から血のような液体が出た
- 強い痛みで夜も眠れない
- 原因不明の体重減少がある
定期受診を予約すべき場合:
- 治療後は、担当医が決めたスケジュールで必ず定期受診する
- 成長・発達の確認のため、かかりつけ小児科にも定期的に通う
- 思春期以降は、乳腺外来や成人のフォローアップ外来に引き継ぐ
診断
まず医師が問診と触診を行い、必要に応じて超音波検査(エコー)で、しこりの形や硬さを詳しく観察します。がんが疑われる場合は、針を使って組織の一部を採取する「針生検」で、顕微鏡で調べて確定診断をします。乳幼児では放射線の影響を避けるため、CTやマンモグラフィは基本的に使わず、超音波が中心になります。
行われる可能性のある検査
- 問診・触診(身体診察)
- 超音波検査(エコー)
- 針生検(しんせいけん):局所麻酔をして細い針で組織を取る
- 遺伝子検査:治療方針を決めるために行うことがある
診察で予想されること
お子さんには検査のことや入院のことを、発達に合わせて説明してくれます。検査中は保護者がそばにいて安心させられます。結果が出るまで数日から1週間ほどかかることがあります。不明なことは遠慮なく担当医に質問してください。
治療
乳幼児の乳がんは、おとなの乳がんと同じ治療法ではありません。がんの種類、大きさ、広がり、そしてお子さんの将来の成長・発達への影響を考慮し、小児がん専門医・小児外科医・乳腺専門医・病理医などが連携して、一人ひとりに合わせた方針を立てます。根治(がんを完全に治す)を目指しつつ、体への負担をできるだけ減らす治療を選択します。
自宅でのセルフケア
- 治療後は、お子さんの体力に合わせてゆったりと過ごす
- 傷口は清潔に保ち、医師に指示されたケアを行う
- 長期的な健康管理のため、おしっこの量・便通・体重を記録しておく
- 家族のためのストレスケア(睡眠、休息、誰かに話す)
医療治療
治療の基本は、がんを手術で取り除くことです。がんの性質によっては、手術の前後や後に抗がん薬治療(化学療法)を行うことがありますが、乳幼児では体への影響が強いため、使う時期や量を慎重に判断します。放射線治療も、発達中の臓器への影響を避けるため、他に方法がない場合に限られます。大人の乳がんに使うホルモン治療は、乳幼児では基本的に使われません。具体的な治療法は、お子さんの状態に合ったものを専門医チームが説明します。
手術が検討される場合
手術は、がんのしこりとその周囲の一部を取り除く「腫瘍摘出術」が中心です。しこりが小さい場合は、乳房を可能な限り温存します。ただし、がんの範囲が広い場合や再発リスクが高い場合は、リンパ節の生検や切除を行うこともあります。手術の規模は診断結果を踏まえて決定されます。
この病気と共に生きる
治療後は、幼稚園・保育園・学校生活など、できる範囲で普通の生活を送ることができます。ただし、治療の影響で免疫力が下がっている時期は、感染症にかからないように注意が必要です。定期受診のたびに、身長・体重、心臓の働き、聴力、ホルモンの状態などをチェックし、お子さんの成長の節目ごとに生活を調整していきます。
生活習慣のアドバイス
- 手洗い・うがいなど感染予防を習慣にする
- 予防接種は必ず主治医に相談してから受ける
- 外遊びや運動は、体調に合わせて無理のない範囲で楽しむ
- 睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
食事と運動
特別な食事は必要ありません。バランスのよい食事をとり、食欲がない時は無理に食べさせず、栄養士や看護師に相談しましょう。運動は、散歩や軽い遊びから始め、担当医の許可があれば徐々に活動量を増やします。
精神的健康と心の健康
お子さんは、成長するにつれて自分の病気について理解が出てきたとき、不安や混乱を感じることがあります。また、保護者の方も、再発への不安、治療費、仕事との両立などで心理的負担を抱えやすいものです。つらい気持ちは自然なことです。強い不安や絶望感があり、一人で抱え込めない場合は、すぐに精神科の医師や相談機関に連絡してください。必要であれば119番でも救急対応してもらえます。
予防
乳幼児の乳がんはまれで、原因もわかっていません。そのため、確立された予防策はありません。大切なのは、しこりや皮膚の変化に早く気づき、医療機関を受診して早期に適切な治療を受けることです。
ワクチン
乳がんを直接予防するワクチンはありません。予防接種を受けさせる場合は、これまでの治療と体の状態を必ず主治医に伝えて、接種時期について指示を受けてください。
検診プログラム
乳幼児を対象にした乳がん検診は、一般的には行われていません。家庭では、入浴時などにお子さんの胸やわきの下を見て触れる習慣をつけ、しこりや変化に気づいたら早めに受診することが「検診」の代わりになります。
合併症
治療しない場合
- がんが大きくなり、胸の筋肉や皮膚に広がる
- リンパ節に転移し、さらに他の臓器(肺や骨など)へ広がる可能性がある
- 進行すると、機能を残すための手術が難しくなる
長期的な見通し
乳幼児の乳がんは非常にまれですが、近年の診断・治療の進歩により、多くのお子さんが治って成長しています。治療後は、長期的なフォローアップを続けることで、後から現れる体の変化にも早く気づき、適切に対応することができます。未来をあきらめずに、お子さんの成長をゆっくり見守っていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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