小児の脱水
国際的な診療ガイドラインに基づく
症状が重い、悪化している、または生命を脅かす場合は、すぐに緊急医療を受けてください。
概要
脱水(だっすい)とは、体から水分や塩分(でんぷんしつ)が不足した状態です。子どもは体重のわりに体の水分量が多いため、ちょっとした下痢や嘔吐(おうと)でも脱水になりやすくなります。
重要な事実
- 乳幼児(にゅうようじ)は特に脱水になりやすく、重症化しやすいため注意が必要です。
- 嘔吐や下痢、発熱が主な原因で、夏場の熱中症でも起こります。
- 軽度の脱水は、経口補水液(けいこうほすいえき:水分と塩分をバランスよく補う飲み物)で改善できますが、重度の場合は医療機関での治療が必要です。
はい、子どもは大人より体の水分を多く含み、調節機能も未熟なため、脱水はよく見られる症状です。特に乳幼児では、嘔吐下痢症の流行期や夏の暑い時期に多く発生します。
主に生後数か月から3歳までの乳幼児に多く見られますが、小学生や中高生でも発熱や激しい運動後に起こることがあります。
症状
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとしている
- けいれん(ひきつけ)を起こしている
- 極度の眠気で起こせない
- 尿が12時間以上まったく出ない
- 口や舌がひどく乾いて、飲み込めない
- 皮膚をつまんでも元に戻らない(重度の脱水)
- ⚠水分をまったく受け付けない、または嘔吐して飲めない
- ⚠嘔吐や下痢が激しく、止まらない
- ⚠熱が高く(38.5℃以上)続く
- ⚠体重が急に減った(24時間で5%以上の減少)
- ⚠おしっこの回数が極端に減った
一般的な症状
- 口の中や唇(くちびる)が乾く
- 尿(おしっこ)の量が減る(6時間以上おむつが濡れない)
- 尿の色が濃い黄色になる
- 泣いても涙が出ない
- 皮膚(はだ)の弾力がなくなる(つまんだ後、元に戻るまで時間がかかる)
- 活気がなく、ぐったりする
子供の症状
- 乳児では頭の泉門(せんもん:頭のてっぺんの柔らかい部分)が陥没(へこむ)
- いつもより機嫌が悪く、ぐずる
- 哺乳力が弱まり、ミルクや母乳を飲みたがらない
- おしっこが6時間以上出ない
- 目の周りがくぼむ
- 皮膚や口の中がべたつかず、乾燥している
高齢者の症状
- 高齢者の場合、意識がもうろうとする、めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん、尿量減少なども見られますが、本記事は子どもの脱水をテーマとしています。
原因
主な原因
- ウイルスや細菌による嘔吐や下痢(感染性胃腸炎)
- 発熱による発汗の増加
- 暑い環境での過度な発汗(熱中症)
- 水分を十分に摂らない(特に病気の時や暑い日)
- 糖尿病などで尿量が増える病気
リスク要因
- 乳幼児(特に生後6か月未満)
- 下痢や嘔吐を繰り返す感染症にかかっている
- 夏場の高温多湿の環境
- 水分補給がおろそかになりがちな外出時
- 発熱がある
- 体重が小さい(低出生体重児など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 緊急症状(意識障害、けいれん、尿が出ないなど)がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 水分が一滴も飲めず、嘔吐が続く場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- おしっこが6時間以上出ず、機嫌が悪くぐったりしている場合も、当日中に受診が必要です。
定期受診を予約すべき場合:
- 軽度の脱水症状(口が渇く、尿が濃い)があるが、水分を少しずつ飲める場合
- 下痢や嘔吐が続くが、少量の水分は取れる場合
- 発熱が続いているが、水分補給を心がけている場合
- 上記のような症状が改善しない、または悪化する場合
診断
医師が子どもの全身状態を診察し、脱水の程度を評価します。必要に応じて血液検査や尿検査を行い、体内の水分や電解質(塩分など)のバランスを確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の経過、水分摂取・排泄の状況)
- 身体診察(皮膚の弾力、口の中の乾き、泉門の陥没、目のくぼみ、心拍数や呼吸数など)
- 血液検査(電解質:ナトリウム、カリウム、腎機能など)
- 尿検査(尿の濃さや比重、糖の有無)
- 体重測定(急性の体重減少が脱水の程度を示す)
診察で予想されること
診察では、子どもが安静にしていられるように配慮されます。採血は可能な限り最小限で、痛みを和らげる工夫がされます。検査結果はその日のうちにわかり、医師が保護者にわかりやすく説明します。
治療
脱水の程度によって治療法が異なります。軽度から中等度の脱水では経口補水液(OS-1などの電解質溶液)を少しずつ頻回に与える経口補水療法が第一選択です。重度の脱水や経口補水が困難な場合は、医療機関で点滴による補水を行います。
自宅でのセルフケア
- 経口補水液を室温で、小さじ1杯(約5ml)から始め、吐かないことを確認しながら少しずつ量を増やす
- 母乳やミルクを飲んでいる乳児は、いつもより少量ずつ頻回に与える
- 薄めたジュースやスポーツドリンクは糖分が多いため、経口補水液が適している(医師の指示がない限り避ける)
- 子どもが眠っていても、こまめに起こして少しずつ飲ませる
- 安静にさせ、涼しい場所で休ませる
- 吐き気がある時は、無理に一度に飲ませず、5~10分おきに少量ずつ
医療治療
医療機関では、主に点滴(静脈内輸液)により水分と電解質を直接血管内に補給します。経口補水ができない場合や、嘔吐が激しい場合、重度の脱水(体重減少率10%以上)に行われます。入院が必要になることもありますが、多くの場合数時間から半日で改善します。
手術が検討される場合
脱水そのものに対する手術はありません。ただし、基礎疾患(腸閉塞など)が原因の場合は、その治療として手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
脱水は予防が大切です。普段から子どもが十分な水分を取れるよう、こまめに声かけをしましょう。また、体調不良時には早めに水分補給を始める習慣をつけると安心です。
生活習慣のアドバイス
- こまめに水分を摂る習慣をつける(のどが渇く前に飲む)
- 外出時には水筒を持参し、特に暑い日はこまめに水分補給する
- 夏場はエアコンや扇風機を上手に使って室温を調整する
- 発熱や下痢の時は、すぐに経口補水液を準備する
- 乳幼児のおしっこの回数と色を日ごろからチェックしておく
食事と運動
バランスの良い食事と適度な運動は健康の基本です。運動前後や運動中には水分補給を忘れずに。特に汗をかく夏場は、水だけでなく塩分も一緒に補える経口補水液やスープなどが適しています。
精神的健康と心の健康
子どもが脱水になると、不機嫌になったりぐずったりして、親も心配やストレスを感じることがあります。適切な水分補給で回復すれば気分も良くなるので、焦らずにケアしてください。親自身も睡眠や休息を取って、余裕を持って対応しましょう。
予防
はい、日常生活でのこまめな水分補給と、体調管理で予防できます。特に、下痢や嘔吐の時は早めに経口補水液を準備し、こまめに与えることで脱水の進行を防げます。
ワクチン
ロタウイルスワクチンは、乳幼児の重症な下痢と脱水を予防する効果があります。定期接種の対象となっているため、かかりつけ医に相談してください。また、インフルエンザワクチンなど、発熱を伴う感染症を予防するワクチンも間接的に役立ちます。
検診プログラム
脱水を早期に見つける特別な検診はありませんが、日ごろから体重測定やおしっこの回数・色をチェックしておくと、異常に気づきやすくなります。
合併症
治療しない場合
- 熱中症(体温調節ができなくなる)
- 尿路感染症(尿の流れが悪くなるため)
- 低血圧やショック(臓器に十分な血液が行かなくなる)
- けいれん(電解質バランスの乱れによる)
- 腎不全(腎臓の機能低下)
- 最悪の場合、意識障害や死亡のリスクもある(非常にまれだが注意が必要)
長期的な見通し
早期に適切な水分補給や医療ケアを受ければ、ほとんどの子どもは数時間から1日で完全に回復します。重度の脱水でも、適切な点滴治療により、後遺症なく治ることがほとんどです。普段から予防を心がけ、異変を感じたら早めに対応することで、大きな問題を防げます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月29日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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