妊娠中の肝硬変と上手に付き合うために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肝硬変(かんこうへん)とは、肝臓が長い間のダメージで硬くなり、正常なはたらきができなくなる病気です。妊娠中に肝硬変があると、お母さんと赤ちゃんの両方に特別な注意が必要です。
重要な事実
- 肝硬変がある場合でも、適切な管理と医療チームのサポートで妊娠を継続できることがあります。
- 妊娠中は肝臓への負担が増えるため、定期的な血液検査や超音波検査が欠かせません。
- 出血や意識の変化など、緊急時にすぐ対応できるよう、事前に計画を立てることが大切です。
妊娠中の肝硬変は非常にまれです。妊娠可能な女性のうち肝硬変の方は全体の約0.1%未満とされています。
主に、慢性的な肝疾患(例えばB型・C型肝炎ウイルス感染、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎など)をすでに持っている女性が妊娠した場合に影響します。
症状
- 突然の大量の吐血や下血(真っ黒な便を含む)
- 意識がもうろうとする、あるいは混乱する
- 激しい腹痛
- 息が苦しい
- 胎動が極端に減った
- ⚠急な体重増加やおなかの張りの悪化
- ⚠黄疸の悪化(黄色みが濃くなる)
- ⚠熱がでる
一般的な症状
- 疲労感やだるさ
- むくみ(特に足や脚)
- 皮膚や目の黄色み(黄疸、おうだん)
- 皮膚のかゆみ
- おなかに水がたまる(腹水、ふくすい)
原因
主な原因
- 長期間のウイルス性肝炎(B型・C型)
- 大量のアルコール摂取による肝障害
- 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
- 自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などの自己免疫疾患
リスク要因
- 妊娠前からの肝硬変の診断
- 肝硬変の進行度(特に代償不全といわれる状態)
- 食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)の存在
- 妊娠中の体重増加や高血圧、糖尿病の合併
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
- 急な腹痛や出血がみられた場合
- 意識に変化があった場合
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠がわかったらすぐに産科と肝臓専門医の両方に相談する
- 定期的な妊婦健診と肝臓のフォローアップを欠かさない
- 食事や生活習慣について医師や管理栄養士にアドバイスを求める
診断
肝硬変は血液検査、画像検査(超音波、CT、MRI)、肝臓の硬さを測るエラストグラフィーなどで診断されます。妊娠中は放射線を使う検査は避けられます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能、血小板数、凝固能など)
- 腹部超音波検査(肝臓の状態や腹水の有無を確認)
- 肝弾性度測定(FibroScanなど)
- 必要に応じて上部消化管内視鏡(食道静脈瘤の確認)
診察で予想されること
通常の妊婦健診に加えて、1〜2ヶ月に一度は肝臓専門医の診察を受けます。妊娠中は赤ちゃんへの影響を考慮しながら、必要な検査と治療を調整します。
治療
治療の目標は、お母さんの肝臓の状態を安定させながら、赤ちゃんの成長を支えることです。薬物療法、生活改善、場合によっては入院管理も検討されます。
自宅でのセルフケア
- 安静を心がけ、疲れをためない
- 塩分を控えたバランスの良い食事
- アルコールは絶対に避ける
- 医師が許可した薬以外は服用しない
- 体重と腹囲を定期的に測る
医療治療
医師は肝機能を保つための薬(例:利尿薬、β遮断薬、ビタミン剤など)を妊娠中でも安全なものを選んで処方します。食道静脈瘤がある場合は、予防的に内視鏡治療を行うこともあります。
手術が検討される場合
通常は妊娠中に肝臓の手術は行いません。出産後に肝移植が必要となることもありますが、妊娠中は内科的治療が中心です。
この病気と共に生きる
妊娠中は体調の変化が激しいため、自分の体調をよく観察し、無理をしないことです。定期的な通院と、必要に応じた休養が基本です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- ストレスをためない工夫をする(軽い散歩、読書、趣味など)
- 飲酒は完全にやめる
- 医師と相談して適度な運動(ウォーキングなど)を行う
食事と運動
塩分制限(1日6g未満が目安)と高タンパク質・低脂肪の食事が勧められます。ただし、肝性脳症のリスクがある場合はタンパク質制限が必要なこともあります。必ず医師や管理栄養士の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
妊娠中の慢性疾患は不安やストレスを引き起こしやすく、うつ症状のリスクも高まります。感情の変化があれば医師や助産師に相談しましょう。必要に応じてカウンセリングを受けることも有効です。
予防
肝硬変そのものを完全に防ぐのは難しいですが、原因となる肝炎ウイルスのワクチン接種やアルコールの制限などでリスクを減らせます。妊娠中は特に肝臓に負担をかけない生活を心がけましょう。
ワクチン
B型肝炎ワクチンは妊娠前の接種が推奨されます。妊娠中は一般的に生ワクチン以外は接種可能な場合がありますが、必ず医師と相談してください。
検診プログラム
妊娠初期の血液検査で肝機能や肝炎ウイルスの有無を確認します。すでに肝硬変の診断がある場合は、妊娠前に専門医とよく相談することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 食道静脈瘤の破裂による大量出血
- 肝性脳症(意識障害)
- 腹水の悪化や感染症(自然発症性細菌性腹膜炎)
- 胎児の発育不全や早産、流産のリスク増加
長期的な見通し
適切な医療管理のもとでは、多くの女性が健康な赤ちゃんを出産できます。肝硬変があっても希望はあります。医師と緊密に連携し、一人ひとりに合ったケアを受けましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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