Coeliac disease living in adults
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
セリアック病(シリアックびょう)は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれる「グルテン」というたんぱく質が原因で、小腸(しょうちょう)に炎症(えんしょう)が起きる病気です。自己免疫(じこめんえき)が関係していて、グルテンを食べると免疫(めんえき)のシステムが誤って自分の腸を攻撃します。
重要な事実
- グルテンを含む食品を食べると、小腸の内側にある「絨毛(じゅうもう)」という細かいひだが傷つき、栄養の吸収がうまくできなくなります。
- アレルギーではなく、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)です。
- 完治(かんち)する薬はありませんが、グルテンを含まない食事(グルテンフリーの食事)を続けることで、症状は改善できます。
- 子どもだけでなく、大人になってからも発症することがあります。
日本では比較的まれな病気とされてきましたが、最近の研究では約100〜200人に1人程度いると考えられています。診断技術の向上により、以前より見つかりやすくなっています。
子どもから高齢者まで、どの年代でも発症する可能性があります。女性のほうがやや多いとされています。また、1型糖尿病や橋本病(甲状腺の病気)など、ほかの自己免疫疾患を持つ人に多いことが知られています。
症状
- 急に激しい腹痛や嘔吐(おうと)が続く
- 血を混じった下痢や黒い便が出る
- 意識がもうろうとする、めまいで立てない
- 重度の脱水(だっすい)症状:尿がほとんど出ない、口の中が乾く
- ⚠下痢や嘔吐が数日続いて水分が取れない
- ⚠原因不明の体重減少が数週間で急に進む
- ⚠強い腹痛で日常生活ができない
- ⚠発疹が広がってかゆみが強い
一般的な症状
- 慢性的な下痢(げり)や便秘(べんぴ)
- お腹の張り、ガスが多い
- 腹痛(ふくつう)
- 疲れやすい、だるい(倦怠感)
- 貧血(ひんけつ)
- 体重減少(たいじゅうげんしょう)または体重が増えにくい
- 骨や関節の痛み
- 皮膚の痒みを伴う発疹(ほっしん)、特にひじやひざにできる「疱疹状皮膚炎(ほうしんじょうひふえん)」
子供の症状
- 成長が遅れる、背が伸びにくい
- 体重が増えにくい、やせている
- 慢性的な下痢やお腹の張り
- イライラしやすい、気分が不安定
- 貧血や骨が弱い(くる病)
高齢者の症状
- 下痢や腹痛などの消化器症状が目立たないこともある
- 慢性的な疲労感や貧血
- 骨がもろくなる(骨粗しょう症)
- ふらつきや転倒が増える
原因
主な原因
- 遺伝(いでん)的な要因:特定の遺伝子(HLA-DQ2やHLA-DQ8)を持っていると発症しやすくなります。
- 免疫システムの異常:グルテンを異物と誤認識し、小腸を攻撃してしまいます。
- 環境因子:何らかのきっかけ(ウイルス感染、手術、妊娠、強いストレスなど)で発症することがあります。
リスク要因
- 家族にセリアック病の人がいる
- 1型糖尿病、橋本病、シェーグレン症候群などほかの自己免疫疾患を持っている
- ダウン症候群やターナー症候群などの染色体異常がある
- 白人の血を引く(日本人にも起こります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下痢や腹痛がひどく日常生活に支障がある
- 原因不明の体重減少が続く
- 激しい疲労感や貧血の症状(息切れ、顔色が悪い)がある
定期受診を予約すべき場合:
- お腹の症状が数週間以上続く
- 疲れやすさや貧血が気になる
- 家族にセリアック病の人がいるので検査を受けたい
診断
まず問診(もんしん)と血液検査を行います。血液中の特定の抗体(こうたい)を調べます。陽性の場合は、さらに小腸の組織を直接調べる内視鏡(ないしきょう)検査を行い、確定診断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:抗組織トランスグルタミナーゼ抗体(抗tTG抗体)や抗筋内膜抗体(EMA)を測定
- 上部消化管内視鏡検査:口からカメラを入れて十二指腸(じゅうにしちょう)の組織を一部採取(生検)
- 遺伝子検査:HLA-DQ2/DQ8があるか調べる(確定診断ではなく、除外診断に使う)
診察で予想されること
血液検査は数日で結果が出ます。内視鏡検査は日帰りで行えることが多く、検査前に食事制限がある場合があります。確定診断まではグルテンフリーの食事を始めないでください(結果に影響します)。医師の指示に従ってください。
治療
セリアック病の治療の基本は、一生涯(いっしょうがい)にわたってグルテンを含まない食事(グルテンフリーダイエット)を続けることです。これにより、ほとんどの症状が改善し、腸の粘膜(ねんまく)も回復します。
自宅でのセルフケア
- 小麦、大麦、ライ麦を含む食品を避ける(パン、パスタ、うどん、ビール、醤油などにも注意)。
- グルテンフリーの食品を選ぶ(米、とうもろこし、そば、キヌア、米粉パンなど)。
- 外食時は必ず店員にグルテンフリーであることを伝える。
- 食品表示をしっかり確認する。日本では「小麦」と表示されていることが多い。
- 調味料や加工食品にもグルテンが含まれている場合があるので注意。
- アルコールはビールや発泡酒を避け、ワインや日本酒(純米酒)などグルテンフリーのものを選ぶ。
医療治療
食事療法が基本ですが、重度の栄養不足がある場合はビタミンやミネラルのサプリメントを医師の指示で補充することがあります。ただし、薬の種類や用量は医師が判断します。炎症が強い場合には、一時的に免疫を抑える薬が使われることもありますが、これも医師の指導のもとで行います。
手術が検討される場合
セリアック病の治療に手術が必要になることはほとんどありません。ただし、まれに小腸のリンパ腫(悪性リンパ腫)などの合併症が疑われる場合に、診断や治療のために手術が行われることがあります。
この病気と共に生きる
日常生活では、グルテンを食べないように注意することが中心になります。買い物や外食のたびに食品表示を確認する習慣が大切です。最初は難しく感じるかもしれませんが、徐々にグルテンフリーの食品やレシピに慣れてきます。多くの人が食事療法を続けることで、普通の生活を送っています。
生活習慣のアドバイス
- グルテンフリーの調味料や食材を常備する。
- 家族や友人にセリアック病のことを説明し、理解を得る。
- 外食時は事前にレストランのメニューを確認するか、グルテンフリー対応の店を探す。
- 旅行先でもグルテンフリーの選択肢を調べておく。日本では「ガイドブック」やアプリが役立つ。
- 定期的に医療機関でフォローアップを受ける(年に1回程度の血液検査や栄養状態のチェック)。
食事と運動
食事はグルテンフリーであることが最も重要です。バランスよく栄養を取るために、野菜、果物、肉、魚、豆類、米などを積極的に摂りましょう。運動は特に制限はありません。体力に自信がないときは軽いウォーキングから始めるとよいでしょう。激しい運動は栄養状態が改善してから行ってください。
精神的健康と心の健康
グルテンフリーの食事を続けることは、外食や旅行のたびに気を遣うため、ストレスや孤独感を感じることがあります。また、診断されるまで長年原因不明の症状に苦しんだ経験から、不安やうつ状態になる人もいます。つらい気持ちを一人で抱え込まず、医師や栄養士、または同じ病気を持つ人のコミュニティに相談してください。
予防
セリアック病自体を予防する方法は現在のところありません。遺伝的な要因が大きく、発症を完全に防ぐことはできません。ただし、早期に診断してグルテンフリーの食事を始めることで、症状の悪化や合併症を防ぐことは可能です。
検診プログラム
遺伝的にリスクが高い人(家族に患者がいるなど)に対して、症状がなくても抗体検査を行うことがあります。しかし、日本では一般的な集団検診としては推奨されていません。気になる場合は医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 長期間の栄養吸収障害による貧血、骨粗しょう症、ビタミン不足
- 小腸のリンパ腫(悪性リンパ腫)のリスク上昇
- 不妊(ふにん)や流産のリスク増加
- 神経症状(手足のしびれ、平衡感覚の異常)
- ほかの自己免疫疾患(1型糖尿病、橋本病など)の発症リスク上昇
長期的な見通し
セリアック病は、グルテンフリーの食事をしっかり続ければ、ほとんどの人が症状なく普通の生活を送れます。腸の粘膜も数ヶ月から1年程度で回復します。合併症も予防できます。治療法は食事療法のみですが、決して難しいことではありません。正しい知識とサポートがあれば、楽しく充実した毎日を過ごせます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月20日
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