小児大腸がんサバイバーシップ:治療後に大切なこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
大腸がんとは、大腸(食べ物を消化し、うんちとして体の外に出すための管)にできるがんのことです。子どもの大腸がんはとてもまれな病気です。治療が終わった後も、心と体の両方を大切にしながら、学校や家庭での生活を続けていくことを「サバイバーシップ(治療後の暮らし)」と呼びます。
重要な事実
- 子どもの大腸がんは非常にまれで、小児がん全体の中でもごく一部の患者さんにしかみられません。
- 治療は、手術を中心に、必要に応じて抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせて行われます。
- 治療後は、がんの再発(もどり)や治療の影響を長い目でチェックする定期通院が欠かせません。
- 家族や先生、友人などの支えが、治療後を元気に生きるための大きな力になります。
いいえ、子どもの大腸がんは非常にまれな病気です。小児がん全体の中でも、1%に満たないと考えられています。
どの年齢の子どもにも起こる可能性はありますが、特に遺伝(親から受け継ぐ体の特徴)によるリスクがある子どもや、炎症性腸疾患(腸に炎症が起きる慢性的な病気)の子どもで、より注意が必要です。
症状
- 急に強い腹痛が起こる
- 便が全く出なくなり、おなかが激しく張る
- 大量に出血し、めまいや意識がもうろうとする
- 高熱と腹痛を同時に伴う
- これらに当てはまる場合は、ためらわずに119番へ救急要請をしてください
- ⚠便に血が混じる、または血の混じった便が続く
- ⚠原因不明の体重減少や貧血がある
- ⚠おなかやお尻の痛みが数日以上続く
- ⚠治療後の定期検診で心配な結果があった
一般的な症状
- 便に血が混じる
- 便通の変化(下痢や便秘など)
- 原因不明の体重減少
- だるさや貧血(血液中の酸素を運ぶ赤血球が不足すること)
子供の症状
- 子どもの場合、腹痛や血便があっても、発見が遅れることがあります。
- 身長や体重の伸びが悪くなる、成長が遅れることもあります。
- おなかが張る、嘔吐(おうと、はくこと)などがまれにみられます。
- 貧血が原因で顔色が悪くなったり、疲れやすくなったりすることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、血便や便秘、下痢などの便通の変化が典型的です。
- 貧血や体重減少、食欲不振などの慢性的な症状が目立つこともあります。
- 症状が出るまでに時間がかかったり、無症状の場合もあります。
原因
主な原因
- 子どもの大腸がんの多くは、はっきりした原因がわからないことがあります。
- 遺伝子の変化(細胞の設計図の傷)が関わっている場合があります。
- 特定の遺伝性疾患(家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など)が原因になることがあります。
- 病気自身が直接の原因ではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。
リスク要因
- 家系内に若い年齢で大腸がんを発症した人がいる
- 家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など遺伝性のがんになりやすい体質がある
- 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患がある
- おなか(腹部)や骨盤への放射線治療の既往がある
- 肥満や食生活などの生活習慣は成人ではリスクになりますが、子どもでは影響は限定的です
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 便に血が混じる
- 激しい腹痛が続く
- 原因不明の体重減少が続く
- 貧血でだるさや息切れが強い
定期受診を予約すべき場合:
- おなかの調子がいつもと違う(下痢や便秘、おなかの張りなど)
- 家族に大腸がんや遺伝性の病気の人がいる場合
- 炎症性腸疾患で通院中に新たな症状が出た場合
- 成長や健康状態について心配なことがある場合
診断
医師が問診(症状や家族歴を聴くこと)、身体の診察、血液検査や便の検査を行い、必要に応じて大腸の内視鏡検査(カメラを入れて中を見る検査)や画像検査を組み合わせて診断します。診断には、がんの組織の一部をとって顕微鏡で調べる生検(せいけん)が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や腫瘍マーカーなど)
- 便潜血検査(便に血が混じっていないか調べる)
- 大腸内視鏡検査(カメラ付きの細い管で大腸の内側を観察する)
- 注腸造影(バリウムを注入してX線で大腸を調べる)
- CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)による画像検査
- 遺伝子検査(家族性や遺伝性のがんの有無を調べる)
診察で予想されること
まずは小児科や消化器科を受診し、問診と身体診察を受けるところから始まります。大腸内視鏡検査は、鎮静薬で眠ったような状態で受けることが多く、検査前には食事の調整や下剤を使う準備があります。結果が出るまでには数日から1週間程度かかります。医師は結果をもとに、治療方針を親と一緒に話し合います。
治療
子どものがんと診断された場合は、小児がんを専門とする医療チームが治療を担当し、手術、抗がん剤治療(薬でがんを治療する方法)、放射線治療(高エネルギーの放射線でがんを治療する方法)などを組み合わせて行います。治療の目的はがんの根治(がんを完全に取り除くこと)と、将来にわたる健康です。
自宅でのセルフケア
- 治療を受ける前は、十分な休養とバランスのよい食事を心がける
- 医師や看護師に、治療や副作用への不安・困りごとを遠慮なく相談する
- 口の中の清潔を保つ
- 感染症に注意し、手洗いやうがいを励行する
- 治療に合わせて、無理のない範囲で体を動かす
医療治療
手術では、がんの部分を切り取り、残った健康な大腸をつなぎ合わせることを目指します。病状によっては、一時的または永久にストーマ(おなかからうんちを出すための人工肛門)が必要になる場合があります。抗がん剤治療は、再発を防ぐため、手術前後に行われることがあります。放射線治療は、がんの状態によって併用されますが、子どもの場合、成長や将来に影響する可能性があるため、適応を慎重に見極めます。いずれの治療も、薬の種類や用量は患者さんごとに個別に設計され、医学的な監視のもとで行われます。
手術が検討される場合
大腸がんの基本治療は手術です。早期のがんの場合、内視鏡で切除できることもありますが、多くの場合は腹部を切開してがんを含む大腸の一部を切除します。場合によってはリンパ節(がんが広がる経路)も取り除きます。手術の内容は、がんの進行度や位置によって異なります。
この病気と共に生きる
治療が終わった後も、定期的な通院と検査は続きます。初めは数か月ごと、その後は年数がたつにつれて1年ごとなど、間隔をあけて再発チェックを行います。学校生活は、体力やおなかの調子に合わせて無理のない範囲で再開しましょう。先生や学校の養護教諭に、治療の影響について伝えておくと、支援を受けやすくなります。小児がん拠点病院(厚生労働省が指定する専門的な病院)では、長期フォローアップの外来があります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日十分な睡眠をとる
- 生活リズムを整える
- 無理のない運動を続ける
- 喫煙や飲酒は体に害があるため、成人後も避ける
- 感染症予防に努め、体調の変化に注意する
食事と運動
食事は、繊維質(食物繊維)の多い野菜や果物、全粒穀物を中心に、消化しやすいものを選びましょう。水分を十分にとり、便通を整えることが大切です。運動は、医師の許可があれば、ウォーキングやサイクリングなどの軽い有酸素運動から始めるとよいでしょう。ただし、運動や食生活の変更は、必ず主治医や管理栄養士に相談してから行ってください。
精神的健康と心の健康
がんの経験は、子どもにとっても、家族にとっても大きなストレスになります。治療の影響で体の変化や学校生活の遅れがあると、不安や落ち込み、トラウマ(心の傷)を感じることがあります。気持ちのつらさをひとりで抱え込まずに、からだの診察と同じように、心のケアも大切です。医療機関の相談スタッフや学校のカウンセラーに話してみてください。もし、強い不安や絶望感があり、命に関わる危険な思いが続く場合は、すぐに信頼できる大人に話してください。こころの健康相談ダイヤルなど、地域の相談窓口もあります。
予防
子どもの大腸がんは原因が明確でないことが多く、確実な予防方法はまだありません。ただし、家族性の遺伝性疾患がある場合は、早期から遺伝子検査や定期的な内視鏡検査を行うことで、がんを早く見つけて治療することができます。健康的な生活習慣(十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動)を心がけることも、将来のがん予防に役立ちます。
検診プログラム
一般的な子どもには、症状のないときに大腸がん検診を行う必要はありません。しかし、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など遺伝性のリスクがある子どもや、炎症性腸疾患がある子どもでは、医療者と相談し、小児がん・消化器がんの専門施設で定期的なフォローアップを受けることが勧められます。
合併症
治療しない場合
- がんが周囲に広がる
- 大腸が詰まって便が出なくなる(腸閉塞)
- 出血や貧血が進行する
- がんが他の臓器(肝臓や肺など)に広がる可能性がある
長期的な見通し
小児の大腸がんはまれですが、早期に発見し適切な治療が行われれば、長期にわたって健康に生きる可能性は十分にあります。治療後は定期的な検査と心身のフォローアップが継続されますが、多くの子どもが学校生活や将来の夢に向かって歩んでいます。たとえ困難な状況があっても、医療チームと家族が一緒に支えながら、最善の治療を目指します。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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