高齢者の大腸がんサバイバーシップ(治療後を元気に生きるために)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
大腸がんサバイバーシップとは、大腸がんの治療がひと段落した後、患者さんが「より良く生きる」ためのケアや支援のことです。がんの再発や治療の後遺症への注意だけでなく、体と心の健康を取り戻し、生活の質を保つことも大切な目的です。
重要な事実
- 大腸がんは日本でとても多く、高齢の方でも治療後に長く暮らしている人がたくさんいます。
- 治療後も定期的な通院と検査を続けることで、再発や新しい問題が早く見つかります。
- 治療による疲れや便の変化などの後遺症は、医療者の助けを借りながら上手に向き合うことができます。
- 栄養バランスのよい食事、無理のない運動、禁煙は再発予防にも役立ちます。
高齢者の大腸がんサバイバーシップは決して珍しいものではありません。医学の進歩により、治療を終えて元気に過ごす高齢者はどんどん増えています。日本の高齢者の中にも、大腸がんを経験した「サバイバー」と呼ばれる人たちが多く暮らしています。
主に65歳以上の男性・女性で、大腸がんの手術や抗がん剤治療などを終えた人を対象とします。治療後の体の変化や持病によって、必要なケアは一人ひとり異なります。
症状
- 急に激しい腹痛が続く
- 肛門から大量に出血する
- 便やガスがまったく出ない状態が続く
- 40度近い高熱や激しい寒気がある
- 意識がもうろうとする、または強いめまいで立てない
- ⚠下痢や便秘が数日続き、水分や食事が取れない
- ⚠痛みがだんだん強くなっている
- ⚠発熱が続き、普段と違う体調が1日以上改善しない
- ⚠手足のしびれや痛みで日常生活に支障が出ている
一般的な症状
- 治療が終わった後も続くだるさや疲れ(倦怠感)
- 便の回数や硬さの変化、下痢や便秘
- おなかの張りや腹痛
- 便に血が混じる、または血便
- 食欲の低下や吐き気
- 手足のしびれや感覚の異常
子供の症状
- このページは高齢者のサバイバーシップを対象にしています。お子さまの場合は、必ず小児がんの専門医の指導を受けてください。
高齢者の症状
- 年齢に伴う体力の低下と治療の後遺症が重なり、症状が続きやすくなります。
- 高血圧や糖尿病などの持病があると、治療後の体の管理が複雑になることがあります。
- 社会的なつながりが減ると、症状の変化に気づいてもらうのが遅れる場合があります。
原因
主な原因
- がん治療の後遺症や疲労が長く残ること
- 加齢による筋肉量や体力の低下
- 抗がん剤や放射線治療が体に与えた影響
- 再発や将来への不安などの心理的なストレス
- 生活習慣の変化による栄養不足や運動不足
リスク要因
- 75歳以上の高齢であること
- 心臓病や糖尿病などの持病を抱えていること
- 手術後に適切な栄養を取ることが難しいこと
- 家族や地域の支援が少ないこと
- 治療後の定期フォローアップが十分に受けられないこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 前述の緊急症状がある場合は、すぐに119番へ連絡してください。
- 夜間や休日でも、急に強い症状が現れたときは救急外来へ相談してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 治療後の定期検診は、担当医の指示に従って必ず受けてください。
- 「最近便の調子が変わった」「体重が減った」など気になる変化があれば、予約を待たずに早めに受診しましょう。
- ほかの病気の薬や体の不調が心配なときは、かかりつけ医や薬局の薬剤師に相談してみましょう。
診断
サバイバーシップ段階での「診断」は、再発や後遺症を評価するための定期検査によって行われます。問診や血液検査、画像検査などを組み合わせ、治療後の体の状態を総合的に確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診・身体診察
- 血液検査(貧血や栄養状態、腫瘍マーカーの確認)
- 腹部CT検査や超音波検査
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- ほかのがんを見つけるための検診
診察で予想されること
診察では、まず現在の症状や体調について医師が詳しく話を聞きます。その後、必要な血液検査や画像検査が行われます。検査には痛みや不安を伴うものもありますが、検査の目的や内容を医療者が説明しながら進めてくれます。
治療
大腸がんサバイバーシップの治療の中心は、がんそのものを治すことではなく、治療後に残る症状や後遺症を和らげて、生活の質を保つためのケアです。体と心の状態に合わせて、医師や看護師、理学療法士などが一緒に計画を立てます。
自宅でのセルフケア
- 毎日少しずつ散歩やストレッチなど無理のない運動をする
- 便の状態を見ながら、食物繊維や水分の量を調整する
- 睡眠を十分にとり、疲れている日は予定を減らす
- 排便の状態をメモして、変化に気づけるようにする
- お酒はほどほどにし、たばこはやめる
医療治療
下痢や便秘などの症状が続く場合、医師は生活習慣のアドバイスを行い、それでも改善しないときには症状を和らげるお薬を処方することがあります。痛みやしびれがある場合は、痛みの専門医やリハビリテーション科の医師が鎮痛薬の調整や運動療法を行います。必ず医師や薬剤師の指示に従い、自己判断で薬を変えたり中止したりしないでください。
手術が検討される場合
サバイバーシップの時期に、がんの切除手術がふつう行われることはありません。ただし、手術後の癒着や腸の狭窄(細くなってしまった状態)などが原因で、再び手術が必要になる場合があります。その場合は、担当医と十分に話し合い、体への負担やリスクを考慮して決めます。
この病気と共に生きる
治療後は、まず自分の体と向き合い、疲れや便の変化に合わせて毎日のペースを調整しましょう。「できないこと」に焦らず、「できること」を少しずつ増やしていくことが大切です。気持ちも体の一部です。家族や友人、医療者に話すことで心が楽になることもあります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを作る
- 家の中でつまずかないよう、手すりや滑りにくい床など環境を整える
- 複数の薬を飲んでいるときは、一覧表を作ってかかりつけ医と共有する
- 地域の健康教室やサロンに参加して、人とのつながりを作る
- 通院の手段を事前に計画し、困ったときはケアマネージャーに相談する
食事と運動
食事は、主食・主菜・副菜をそろえ、毎日3食を規則正しく摂りましょう。野菜や果物、全粒穀物に含まれる食物繊維は便の状態に合わせて調整しながら、水分も十分にとってください。運動は、医師の許可を得て、ウォーキングや水中運動など体に負担の少ないものから始めるのがおすすめです。無理をせず、痛みや不快感があるときは中止して相談しましょう。
精神的健康と心の健康
がんを経験した後は、再発への不安や気持ちの落ち込みを感じるのは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に話しましょう。必要に応じて、精神科医や心療内科医、カウンセラーのサポートも受けることができます。
予防
大腸がんの再発や新しいがんを完全に防ぐ方法はまだありません。しかし、禁煙、節酒、バランスのよい食事、適度な運動などの健康的な生活習慣は、再発やほかの病気のリスクを下げるのに役立つと考えられています。
ワクチン
大腸がんそのものを予防するワクチンはありません。ただし、高齢の方は感染症にかかりやすいため、肺炎やインフルエンザなどの予防接種について医師と相談することをおすすめします。
検診プログラム
治療後も、定期的な血液検査や画像検査、大腸内視鏡検査などのフォローアップがとても大切です。また、胃がんや肺がんなどほかのがんの検診も、かかりつけ医や自治体の案内を参考に受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 再発が早期に見つからず、進行してしまうと治療が難しくなることがあります。
- 栄養が十分に取れないと筋肉が落ち、転倒や骨折のリスクが高まります。
- 慢性的な下痢や便秘を放置すると、いぼ痔や腸閉塞などの合併症を引き起こすことがあります。
- 気持ちの落ち込みや不安が続くと、人との交流が減り、生活の質が低下することがあります。
長期的な見通し
大腸がんは、治療後も多くの高齢者が元気に長く生活しています。後遺症にうまく向き合い、医療者と相談しながら自分に合ったケアを見つければ、不安を減らして、毎日を穏やかに過ごせる可能性は十分にあります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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