大腸がんを経験した10代のあなたへ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
大腸がんという病気の治療を終えた後も、元気に暮らすための体と心のケアを続けることを「サバイバーシップケア」といいます。大腸がんは10代ではとてもまれな病気ですが、治療を受けた後の体の変化や心の悩みに向き合いながら、その人らしい生活を取り戻すお手伝いをする考え方です。
重要な事実
- 大腸がんの治療後も、定期的な検査と健康管理が大切です。
- 10代は体も心も成長する大切な時期。治療の影響を長い目で見守る必要があります。
- サバイバーシップケアは、再発を防ぐだけでなく、勉強や友人関係なども含めた生活全体を支えます。
10代の大腸がん自体はとてもまれです。しかし、がんを経験した若い人の数は増えており、治療後も継続的なサポートが大切だと考えられています。
主に、10代のときに大腸がんの診断と治療を受けた人に当てはまります。性別や体質によって違いはありますが、誰にでも起こり得るサバイバーシップの課題です。
症状
- 大量の下血(便に大量の血が混じる)
- 我慢できないほどの激しい腹痛
- おなかが張って強い吐き気や嘔吐がある
- 便やガスがまったく出ない
- ⚠血便が続く
- ⚠熱を伴う腹痛がある
- ⚠いつもと違う強いだるさや脱力感を感じる
- ⚠水分を取れないほどの吐き気や下痢がある
一般的な症状
- 便に血が混じる
- 便秘や下痢をくり返す、または便が細くなる
- おなかの張りや痛み
- 原因不明の体重減少
- 疲れがなかなか取れない
子供の症状
- 便秘や下痢が続く
- おなかが痛む
- 便に血が混じる
- 食欲が落ちて元気がない
高齢者の症状
- 高齢者では症状が軽く感じられ、気づきにくいことがあります
- 貧血や体重減少など、ぼんやりした症状として現れることがあります
- 便の変化や腹痛があっても、我慢してしまうことがあります
原因
主な原因
- 大腸がんの原因は、遺伝子の変化が大きく関わっています。
- 10代の患者さんの場合、家族から受け継いだ遺伝子の変化が見られることがあります。
- 生活習慣や環境の影響も可能性としてはありますが、10代ではまれです。
リスク要因
- 近い家族(親や兄弟姉妹)に大腸がんの人がいる
- 遺伝性のがんの病気が家系にある
- 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を長く抱えている
- 喫煙や多量の飲酒、運動不足(大人の場合に多いとされています)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 大量の下血、激しい腹痛、便やガスがまったく出ない場合は、ためらわずにすぐ救急車(119番)を呼んでください。
- 腸が詰まった可能性がある場合(吐き気やおなかの激しい張り)も、すぐに受診が必要です。
定期受診を予約すべき場合:
- 治療後は、医師が決めたスケジュールで定期的に検診や検査を受けてください。
- 血液検査や大腸カメラ(内視鏡検査)などのフォローアップ検査は、再発の早期発見のために欠かせません。
- 気になる症状があれば、次の受診日を待たずに医師に相談しましょう。
診断
大腸がんの診断には、問診や触診に加えて、血液検査、便の検査、大腸カメラ(内視鏡検査)、CTなどの画像検査が使われます。治療後のフォローアップでも、再発がないかどうかを確認するために同じような検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 便潜血検査(便に血が混じっていないか調べる検査)
- 大腸内視鏡検査(カメラで大腸の中を見る検査)
- CT検査(体の断面を撮影する画像検査)
- 生検(組織の一部を取って顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
検査の前には、腸の中をきれいにするために下剤を飲む指示が出ることがあります。検査中は痛みを抑えるため、鎮静剤を使うこともあります。不安なことは、事前に医師や看護師に遠慮なく質問してください。
治療
大腸がんの治療は、がんの進行度や体の状態に応じて変わります。主に手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療などを組み合わせます。治療後は、再発を防ぐためのフォローアップが続きます。
自宅でのセルフケア
- 治療後の体調に合わせて、無理のない範囲で休養と睡眠をしっかり取る
- 規則正しい食事と十分な水分を心がける
- 便秘や下痢があるときは、我慢せずに医師や管理栄養士に相談する
- 体力を少しずつ戻すために、散歩などの軽い運動を続ける
医療治療
化学療法(抗がん剤)や放射線治療は、がんを小さくすることや、再発を防ぐ目的で使われます。治療の方法や期間は、がんの進行度や体調、患者さんの希望を踏まえて、医療チームが一緒に決めていきます。薬の種類や用量は医師が管理するもので、自己判断で中止したり変更したりしないでください。
手術が検討される場合
がんが大腸の壁の浅い場所に限られている場合は、手術で病変だけを取り除くことがあります。進行している場合は、がんの周りの組織やリンパ節も一緒に切除することがあります。術後は、排便の感覚が変わったり、回数を調整するためにストーマ(人工肛門)となる場合もありますが、リハビリやスタッフのサポートで生活に合わせた工夫ができます。
この病気と共に生きる
治療後は、体力の低下や便の変化(おなかの張り、頻便、便秘、下痢など)が続くことがあります。毎日の食事や活動量を調整しながら、自分のペースで生活リズムを作っていきましょう。学校や仕事と治療の両立についても、医療者や学校の先生に相談することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 学校や職場の理解を得るために、必要ならば相談しやすい先生や上司に状況を伝える
- 排便ケアのための時間を確保できるように、スケジュールを工夫する
- ストレスをためず、趣味やリラックスできる時間を定期的に作る
- お風呂や睡眠など、自分をいたわる時間を大切にする
食事と運動
食事は、脂っこいものや刺激の強いものを避け、野菜や果物を多く摂るとよいと言われています。ただし、治療後は消化の働きが弱っていることがあるので、まずは食べやすいものから少しずつ試しましょう。運動は、ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を週に数回取り入れるのがおすすめです。体に合わないときは、無理せず医師や管理栄養士に相談してください。
精神的健康と心の健康
10代でがんを経験することは、心に深い影響を与えることがあります。将来への不安、自分の体への違和感、周囲との違いを感じる悩みなど、一人で抱え込みがちです。そんな時は、自分の気持ちを言葉にして、信頼できる人に伝えてみてください。不安が強くなったり、自分を傷つけたい気持ちがわいたりしたら、すぐに信頼できる大人や医療者に相談してください。
予防
すべての大腸がんを予防することはできませんが、治療後の再発を防ぐためには、定期的な検診や検査をしっかり受けることが何より大切です。健康的な食事や適度な運動、禁煙、節酒も、体の健康を保つために役立ちます。
ワクチン
大腸がんそのものを予防するワクチンは、現在のところありません。ほかのがんと同様に、感染症を予防するワクチンが一部のがんのリスクを下げることはありますが、大腸がんとは異なります。
検診プログラム
治療後は、医師の指示に従って定期的に大腸内視鏡検査やCT検査などを受けることが、再発の早期発見につながります。特に、遺伝性のリスクがある場合は、さらに詳しい検査計画が立てられることがあります。
合併症
治療しない場合
- 再発や転移が起こる可能性があります。
- 大腸が詰まって、吐き気や激しい腹痛、嘔吐を引き起こすことがあります。
- 出血が続くと、貧血や体力の低下を招きます。
- 10代の場合、がんそのものや治療の影響で、成長や発育に影響が出ることがあります。
長期的な見通し
大腸がんは、早期に見つかれば治りやすいがんのひとつです。治療後の生活も、周囲のサポートや工夫でより良いものにできます。たとえ再発しても、さまざまな治療法があり、希望を持って治療に取り組むことができます。10代という若さと周りの助けを借りながら、一歩ずつ前へ進んでいってください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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