子どもの深部静脈血栓症(DVT)の回復と生活
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
深部静脈血栓症(DVT)は、体の深いところにある静脈に血のかたまり(血栓)ができる病気です。足(ふくらはぎや太もも)にできることが多く、子どもでもまれに起こります。治療すればほとんどの場合、元気に日常生活に戻ることができます。
重要な事実
- 子どものDVTはとてもまれですが、適切な治療で回復できます。
- 血栓が肺に飛ぶと危険な場合があるため、早期発見・治療が大切です。
- 治療後は数か月から1年ほど血液をサラサラにするお薬を飲み続けることが多いです。
子どものDVTは非常にまれで、子ども全体の0.01〜0.1%程度とされています。10代後半にやや増えますが、全体としては大人に比べてはるかに少ないです。
新生児から10代までどの年齢でも起こりえますが、10代後半、特に思春期の子どもにやや多く見られます。また、基礎疾患がある子ども(がん治療中、心臓病、炎症性腸疾患など)や、中心静脈カテーテル(点滴の管)を使用している子どもに起こりやすいです。
症状
- 突然の息切れや呼吸が苦しい
- 胸の痛み(特に息を吸うと痛む)
- 血の混じったせき
- 意識がもうろうとする、または失神
- ⚠脚の急な腫れや痛みがひどくなった
- ⚠脚全体が赤黒くなった
- ⚠発熱や悪寒がある
一般的な症状
- 片方の脚(特にふくらはぎや太もも)の腫れ
- 脚の痛みや圧痛(押すと痛い)
- 皮膚が赤くなったり、温かく感じる
- 脚の表面の血管が目立つ
子供の症状
- 子どもは痛みや違和感を言葉にできないことがあるため、脚をかばう、機嫌が悪い、脚を触られるのを嫌がるなどのサインが出ることがあります。
- 新生児や乳児では、手足の腫れや動きの少なさ、発熱などで気づかれることがあります。
原因
主な原因
- 血液の流れが滞る(長時間動かない、ギプス固定など)
- 血管の内側が傷つく(ケガや手術、カテーテル挿入など)
- 血液が固まりやすくなる(遺伝性の血液凝固異常、がん、感染症など)
リスク要因
- 中心静脈カテーテル(点滴用の管)を使用している
- 手術やケガの後(特に整形外科手術)
- がんや化学療法を受けている
- 先天的な血液凝固異常(プロテインC欠乏症など)
- 思春期の女性が経口避妊薬を使用している
- 長期間の安静やギプスによる固定
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脚の急な腫れや痛みがある
- 脚の皮膚が赤くなったり熱を持っている
- 息切れや胸の痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- DVTと診断された後に症状が落ち着いている場合は、定期的に医師の診察を受けてください。
- 血液をサラサラにする薬を服用中は、指示された通りの採血や診察を続けましょう。
診断
医師が症状や身体診察を行い、血液検査や画像検査で診断します。特に超音波検査(エコー)がよく使われます。
行われる可能性のある検査
- 超音波検査:静脈の血流と血栓の有無を調べます。
- 血液検査:Dダイマーという値が高いと血栓の可能性があります。
- 静脈造影:造影剤を使ったX線検査で、精密に調べることもあります。
診察で予想されること
検査は痛みを伴うものではありません。超音波はお腹や脚にゼリーを塗って、探りあてるように行います。採血は腕から行います。結果は当日または数日でわかります。子どもが不安な場合、親がそばにいてあげると安心です。
治療
治療の基本は、血栓が大きくならないようにし、肺に飛ばないようにすることです。多くの場合、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を数か月から1年ほど内服します。新生児や乳児では注射薬を使うこともあります。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示があれば、脚を心臓より高く上げて安静にします。
- 水分をしっかりとり、脱水を防ぎます。
- 医師が許可した範囲で軽い運動(足首の曲げ伸ばしなど)を行います。
- 圧迫ストッキングを処方された場合は毎日正しく着用します。
医療治療
治療は主に抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用します。薬の種類や期間は子ども一人ひとりの状態によって異なります。治療開始後は定期的に血液検査を行い、薬の効き具合や副作用を確認します。まれに、血栓を溶かす薬を点滴することもありますが、これは入院して行うことが多いです。
手術が検討される場合
ごくまれに、血栓が大きくて薬で改善しない場合や、肺血栓塞栓症のリスクが高い場合に、カテーテルを使った治療や手術(血栓除去術)が必要になることがあります。しかし、ほとんどの子どもには薬による治療で十分です。
この病気と共に生きる
DVTの治療中は、学校や日常生活にいくつか制限があるかもしれません。しかし、多くの子どもは治療が終われば以前と同じように元気に過ごせます。治療中は医師の指示に従い、定期受診を続けてください。
生活習慣のアドバイス
- 激しいスポーツや接触の多いスポーツは、けがによる出血リスクを高めるため、医師と相談してから再開しましょう。
- 長時間の座位や立位は避け、こまめに動くように心がけます。
- 飛行機などでの長距離移動の際は、医師に予防法を相談してください。
食事と運動
特に制限のある食事はありませんが、バランスの良い食事を心がけましょう。抗凝固薬を服用中は、ビタミンKを多く含む食品(納豆、クロレラ、青汁など)の大量摂取を避けるように医師から指示されることがあります。運動は医師の許可が出たら、軽いウォーキングや水泳から始めるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
DVTの診断や治療は子どもや家族にとって不安やストレスになることがあります。特に長期の薬服用や活動制限は気分に影響を与えることもあります。学校の先生に状況を伝え、理解を得ることも大切です。気分が晴れない、眠れないなどの症状が続く場合は、医師やカウンセラーに相談しましょう。子どもが自傷や自殺の考えを持った場合は、すぐに専門機関につなげてください。
予防
子どものDVTを完全に予防することはできませんが、リスクを減らすことは可能です。手術後や長期安静が必要な場合は、医師が予防的な措置(弾性ストッキングや抗凝固薬など)をとることがあります。ふだんから十分な水分をとり、適度に体を動かすことも予防に役立ちます。
ワクチン
省略します。
検診プログラム
現在のところ、健康な子どもに対するDVTの定期検診は推奨されていません。ただし、血栓症の家族歴がある場合や、基礎疾患がある子どもは、医師が状況に応じて検査を検討することがあります。
合併症
治療しない場合
- 肺血栓塞栓症:血栓が肺の血管に詰まり、呼吸困難や胸痛を起こす危険な状態です。
- 血栓後症候群:慢性的に脚が腫れたり痛んだりする後遺症が残ることがあります。
- 再発:治療が不十分だと、再び血栓ができる可能性があります。
長期的な見通し
子どものDVTは適切に治療すれば、ほとんどの場合、完全に回復し、後遺症も少ないです。ただし、基礎疾患がある場合や治療が遅れた場合には合併症のリスクが高まります。治療後も定期的な経過観察が必要なことがありますが、多くの子どもは元気に学校生活やスポーツを楽しめるようになります。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月30日
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