Endometriosis
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
子宮内膜症とは、子宮の内側にあるべき「子宮内膜」という組織が、卵巣や腹膜など子宮の外にできてしまう病気です。この組織は月経周期にあわせて増えたりはがれたりするため、強い痛みや炎症を引き起こします。
重要な事実
- 進行すると不妊の原因になりうること
- 20~30代の女性に多く見られること
- 早期発見で症状をコントロールしやすいこと
日本では10人に1人程度の女性が子宮内膜症を経験していると言われています。決して珍しい病気ではありません。
主に10代後半から40代の女性に多く見られますが、閉経後まで続くこともあります。妊娠したことがある人・ない人に関係なく、誰でもかかる可能性があります。
症状
- 突然の激しい下腹部痛
- 1時間にナプキンが満杯になるほどの大量の出血
- 意識を失いそうなほどのめまい
- ショック症状(顔色が青白い、冷や汗)
- ⚠いつもより痛みが強い
- ⚠痛みで動けない
- ⚠市販の痛み止めが効かない
- ⚠38度以上の発熱を伴う腹痛
一般的な症状
- 月経痛が年々ひどくなる
- 性交時の痛み
- 排便時や排尿時の痛み
- 慢性的な腰痛
- 腹部膨満感
- 吐き気や嘔吐
子供の症状
- 思春期の女の子では、学校を休まなければならないほどの強い月経痛
- 月経以外の時期にも続く下腹部痛
- 慢性的な骨盤痛
高齢者の症状
- 閉経後に症状が落ち着くこともありますが、以前あった月経痛が腰痛や腹部不快感として続くことがある
- 卵巣のう腫(チョコレート嚢胞)が見つかることがある
原因
主な原因
- はっきりした原因はわかっていませんが、経血が卵管を通って腹腔内に逆流する「経血逆流説」が最も有力です
- 免疫の働きや遺伝的要因も関係すると考えられています
リスク要因
- 早い初経(小学低学年での月経開始)
- 月経周期が短い(25日以内)
- 経血量が多い
- 月経の期間が長い(7日以上)
- 妊娠経験がない
- 子宮内膜症の家族歴がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(突然の激痛や大量出血など)がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 月経痛で学校や仕事に行けない
- 市販の痛み止めが効かない
- 性交痛がある
- 生理以外でも腹痛が続く
- 妊娠を希望しているのに授からない
診断
問診で症状を詳しく聞き、内診や超音波検査(エコー)、MRI検査を行います。子宮内膜症の確定診断には腹腔鏡検査(お腹に小さな穴をあけてカメラを入れる検査)が確実ですが、すべての人に必要なわけではありません。
行われる可能性のある検査
- 問診(痛みの程度、月経周期、家族歴など)
- 経腟超音波検査
- MRI検査
- 血液検査(CA125という腫瘍マーカーの測定)
- 腹腔鏡検査
診察で予想されること
最初の診察では、生理痛や気になる症状を医師に詳しく伝えてください。内診や超音波検査は少し不快かもしれませんが、短時間で終わります。必要に応じて血液検査やMRI検査を勧められることもあります。
治療
治療の目的は痛みなどの症状を和らげ、生活の質を改善することです。月経をコントロールするホルモン療法と、症状に応じた手術療法があります。妊娠を希望するかどうかによって治療方針が変わります。
自宅でのセルフケア
- あたためる(カイロや入浴でリラックス)
- 適度な運動(ウォーキングやストレッチ)
- ストレスをためない
- 睡眠をしっかりとる
- 月経中は無理をしない
医療治療
軽い症状には消炎鎮痛薬(痛み止め)を使います。症状が強い場合には、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などのホルモン剤で月経をコントロールし、子宮内膜の増殖を抑える治療を行います。これらの薬は医師の処方のもとで使用します。また、GnRHアゴニストという注射薬で一時的に卵巣の働きを休ませる方法もあります。どの薬を選ぶかは、症状の程度、年齢、妊娠希望などを考慮して医師と相談して決めます。
手術が検討される場合
薬で症状が改善しない場合や、卵巣のう腫(チョコレート嚢胞)が大きい場合、妊娠を希望する場合などに手術を考慮します。腹腔鏡手術で病変を切除することが一般的です。進行例では子宮や卵巣を摘出する手術(子宮全摘術)が必要になることもありますが、最終手段となります。
この病気と共に生きる
子宮内膜症と上手く付き合うには、自分の症状のパターンを把握し、月経周期に合わせて生活を調整することが大切です。痛みが強い時期は無理をせず、周囲の理解を得ることも助けになります。
生活習慣のアドバイス
- 生理周期を記録する
- 規則正しい生活リズムを保つ
- リラックスできる時間を作る
- 痛みが強いときは安静にする
- パートナーや家族に症状を伝えて協力してもらう
食事と運動
特に決まった食事療法はありませんが、抗炎症作用があるオメガ3脂肪酸(魚油)や食物繊維を多く含む食事(野菜、果物、全粒穀物)が症状緩和に役立つ可能性があります。適度な運動(ウォーキング、ヨガ、水泳など)は血行を良くし、痛みを和らげることが期待できます。激しい運動は避けましょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや不妊への不安から、抑うつ状態や不安感を感じることがあります。それは自然な反応です。一人で抱え込まず、医師やカウンセラー、同じ経験を持つ仲間に話すことで気持ちが楽になることがあります。心の健康も大切にしてください。
予防
子宮内膜症を完全に予防する方法はわかっていません。しかし、早期発見・早期治療が症状の進行を抑える上で大切です。低用量ピルを長期間服用することで、子宮内膜症の発症リスクを減らせる可能性があるという報告もあります(ただし、予防を目的とした使用は医師との相談が必要です)。
検診プログラム
定期的な産婦人科検診(子宮頸がん検診など)で超音波検査を受けることが、子宮内膜症の早期発見につながることがあります。
合併症
治療しない場合
- 不妊症(卵管や卵巣の癒着により妊娠しにくくなる)
- 卵巣のう腫(チョコレート嚢胞)の破裂・捻転
- 腸や膀胱など周囲の臓器との癒着による慢性痛
- まれに卵巣がんのリスクをわずかに高める可能性
長期的な見通し
子宮内膜症は完治が難しい病気ですが、適切な治療でほとんどの症状をコントロールできます。妊娠を希望する方でも、治療により妊娠できるチャンスが広がります。最新の治療法やサポートも充実してきていますので、希望を持って生活を続けてください。
サポートを探す
国際機関
地域の団体
- 厚生労働省 女性の健康情報サイト ↗ · 日本全国
相談窓口
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。