Morning Sickness (Pregnancy Nausea)
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
つわり(妊娠中の吐き気)は、妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する、吐き気や嘔吐(おうと)の症状です。通常は妊娠8〜10週ごろにピークを迎え、妊娠16〜20週ごろには自然に治まることがほとんどです。
重要な事実
- つわりは妊娠初期のごく自然な反応で、赤ちゃんに悪影響を与えることはほとんどありません。
- 症状の程度は人によって大きく異なり、軽い吐き気から重症の妊娠悪阻(にんしんおそ)まで様々です。
- つわりは通常、妊娠12週頃までに自然に改善しますが、一部の方はそれ以降も続くことがあります。
はい、とてもよく見られる症状です。妊婦さんの約70〜80%が何らかのかたちでつわりを経験します。
主に妊娠初期(妊娠4〜12週)の妊婦さんに影響します。初めての妊娠でも経産婦でも、誰にでも起こり得ます。
症状
- 嘔吐がひどく、水分すら受け付けない状態が続く
- 尿の量が極端に減り、色が濃くなった(脱水の兆候)
- 立ちくらみや意識がもうろうとする
- 激しい腹痛がある
- 吐血(血を吐く)やコーヒーかすのようなものが出る
- ⚠体重が急激に減っている(元の体重の5%以上)
- ⚠1日に何度も嘔吐し、水分が取れない
- ⚠強い疲労感や脱力感がある
- ⚠尿検査でケトン体が陽性(病院で確認)
一般的な症状
- 吐き気(特に朝起きたときや空腹時に強くなることが多い)
- 実際に嘔吐する
- 特定の匂い(食べ物、香水、たばこの煙など)に対する過敏反応
- 食欲不振や特定の食べ物への強い欲求(例:酸っぱいもの)
- 唾液が増える
子供の症状
- つわりは妊娠中の女性のみに見られる症状です。小児には該当しません。
高齢者の症状
- つわりは妊娠中の女性のみに見られる症状です。高齢者には該当しません。
原因
主な原因
- 妊娠によって急上昇するホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン:hCG)が原因と考えられています。
- エストロゲン(女性ホルモン)の変化も関連しています。
- 胃の動きがゆっくりになることも、吐き気を引き起こす要因の一つです。
リスク要因
- 初めての妊娠
- 多胎妊娠(双子や三つ子など)
- 過去の妊娠でつわりが重かった
- 肥満(BMIが高い)
- 片頭痛の既往がある
- 動揺病(乗り物酔い)になりやすい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の「緊急」症状が一つでもある場合
- 嘔吐のために水分や食事が全く取れない状態が続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- つわりが日常生活に支障をきたしている場合
- 体重が減り続けている場合
- 市販の対処法(食事の工夫など)を試しても改善しない場合
診断
つわりの診断は、医師があなたの症状の経過や程度を詳しく聞くことで行います。血液検査や尿検査で脱水や栄養状態を確認することもあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査:ケトン体(脱水の指標)の有無を調べます。
- 血液検査:電解質や肝機能、腎機能などを評価します。
- 超音波検査(エコー):妊娠の状態や多胎妊娠の有無を確認します。
診察で予想されること
診察では、症状がいつから始まったか、どのくらい吐いているか、食べられるものはあるかなど、詳しく質問されます。重症の場合は、入院して点滴による治療が必要になることもあります。
治療
つわりの治療は、症状の軽いものから重症のものまで段階的に行います。まずは生活習慣の改善や食事の工夫を試し、それでも改善しない場合は医師の指導のもとで薬を使うこともあります。
自宅でのセルフケア
- 少量の食事をこまめに取る(1日5〜6回に分ける)
- 朝起きる前に、ベッドの中で軽いおやつ(クラッカーなど)を食べる
- 脂っこいものや強い香りの食べ物を避ける
- 冷たいものよりも常温または冷たい飲み物が飲みやすい場合がある
- 生姜(しょうが)を含む食品や飲み物が吐き気の緩和に役立つことがある
- ビタミンB6を多く含む食品(バナナ、玄米、鶏肉など)を摂る
- 十分な休息をとり、疲れをためない
医療治療
日常生活の工夫で改善しない場合、医師は吐き気を抑える薬(制吐剤)やビタミンB6製剤を処方することがあります。重症の妊娠悪阻(にんしんおそ)には、入院して点滴による水分・栄養補給や、場合によっては中心静脈栄養(総合的な栄養を血管から直接補う方法)が必要になることもあります。いずれも医師の判断のもとで行われます。
手術が検討される場合
つわりに対して手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
つわりは多くの妊婦さんにとって一時的なものですが、日常生活に影響を与えることもあります。無理をせず、休める時にはしっかり休むことが大切です。症状が辛いときは、家事や仕事の負担を減らす方法を考えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 空腹を避けるため、常に軽食を持ち歩く
- 吐き気が強い時は、匂いの少ない部屋で過ごす
- 歯磨きの後にすぐ吐き気が来る場合は、歯磨き前に軽く何か食べる
- 運転や機械の操作は注意する(吐き気で集中力が落ちることがある)
- パートナーや家族に症状を伝え、協力を仰ぐ
食事と運動
食事は無理せず、食べられるものを少量ずつ取るようにしましょう。水分補給はこまめに、特に嘔吐が多い場合は経口補水液やスポーツドリンクも有効です。運動は軽い散歩程度が適していますが、激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
つわりが続くと「いつまで続くのか」「赤ちゃんに影響しないか」という不安や、食事が楽しめないストレスから気分が落ち込むことがあります。そうした気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、信頼できる人に話すか、助産師や医師に相談しましょう。
予防
つわりを完全に予防する方法はありませんが、生活習慣の工夫で症状を軽くすることは可能です。妊娠がわかったら、早めにバランスの良い食事を心がけ、水分を十分に取るようにしましょう。
ワクチン
つわりを予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
つわりを予防するための特別な検査はありませんが、妊婦健診で定期的に健康状態をチェックすることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 重症化すると妊娠悪阻(にんしんおそ)に進行し、脱水や栄養失調を引き起こす
- 体重減少(元の体重の5%以上)
- 電解質(体内のミネラル)のバランスが崩れる
- 肝機能障害や腎機能障害が起こることもある
長期的な見通し
ほとんどの場合、つわりは妊娠第2三半期(16〜20週)までに自然に改善します。適切な治療を受ければ、母体や赤ちゃんに長期的な影響が出ることはほとんどありません。焦らず、自分に合った方法で乗り切りましょう。
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