好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、体の中の細い血管に炎症が起こる病気です。同時に、血液の中で好酸球(こうさんきゅう)というアレルギーなどで増える細胞が異常に増えることも特徴です。ぜんそくや鼻のアレルギー症状が先に現れ、その後、しびれや皮膚の発疹、腎臓や心臓などの臓器に炎症が起こることがあります。以前は「チャーグ・ストラウス症候群」とも呼ばれていました。
重要な事実
- 血管の炎症と好酸球の増加を特徴とする自己免疫疾患です。
- ぜんそくやアレルギー性鼻炎を持つ人に起こりやすいことが知られています。
- 早期に診断して治療すれば、多くの人で症状をコントロールできます。
まれな病気で、日本では人口10万人あたり年間2〜4人ほどが新しく診断されるとされています。厚生労働省の指定難病に定められています。
主に40〜60歳の大人に見られますが、子どもや高齢者がなることもあります。男性より女性にやや多いとされています。
症状
- 突然の激しい息苦しさや、ぜんそく発作がおさまらない
- 胸の強い痛みや圧迫感がある
- 突然、体の片側の力が入らない、言葉が話しにくいなど脳卒中のような症状がある
- 激しい腹痛が続く、黒い便や血が混じった便が出る
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しにくい
- ⚠ぜんそくの症状がいつもより悪く、吸入などの通常の対応でよくならない
- ⚠しびれが急に進む、足を動かしにくい
- ⚠発熱が続く、皮膚の紫斑が増えている
- ⚠尿の量が少ない、手足やまぶたがむくむ
一般的な症状
- なかなか治りにくいぜんそく
- 鼻づまり、鼻水、においがわからないなどの鼻の症状
- 原因がわからない発熱や体重減少
- 筋肉や関節の痛み
- 手足のしびれ、力が入りにくい、感覚がにぶるなどの神経の症状
- 皮膚の紫斑(あざのような斑点)やしこり
- お腹の痛み、下痢、血便
- だるさや疲れやすさ
子供の症状
- 子どもでは、ぜんそくに加えて、発熱や腹痛、関節痛をきっかけに気づかれることがあります。
- 皮膚に紫斑(あざのような点状出血)が広がることもあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、手足のしびれや力が入らないなど神経の症状が目立つことがあります。
- 体重減少や全身の疲労感が強く出やすい傾向があります。
原因
主な原因
- 原因はまだはっきりとはわかっていませんが、免疫のシステムが自分の血管を誤って攻撃してしまう自己免疫の異常が関わっていると考えられています。
- ぜんそくやアレルギー体質に強く関係しており、アレルギーに関わる好酸球という細胞が血管の炎症を引き起こすことが知られています。
リスク要因
- ぜんそくの持病がある
- アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎などの鼻・副鼻腔の病気がある
- 特定の薬剤や感染症がきっかけになることがある(まれ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手足のしびれや力が入らない症状が急に現れた
- 息苦しさや胸の痛みが続く
- 原因がわからない高熱が続く
- 尿の量が急に減った
定期受診を予約すべき場合:
- ぜんそくや鼻の症状が何か月もよくならず、一般的な治療で改善しない
- 原因不明の体重減少やだるさが続く
- 皮膚に紫斑が少しずつ増えてくる
- 手足のしびれが軽くても長く続く
診断
診断では、まず医師があなたの症状や経過を詳しく聞き、診察を行います。血液検査や尿検査などで炎症の程度や好酸球の数を調べ、必要に応じて画像検査や生検(体の組織を少し取って顕微鏡で調べる検査)を行います。これらの結果を総合して、専門医が判断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(赤血球や白血球の数、炎症反応、好酸球の数、抗好中球細胞質抗体(ANCA)など)
- 尿検査(腎臓に障害がないか)
- 胸部X線やCT(肺や心臓の状態を確認)
- 神経伝導検査(手足の神経の働きを調べる)
- 生検(皮膚、肺、腎臓、神経などの組織を少し取って調べる)
診察で予想されること
診断が確定した後は、リウマチ科・膠原病内科を中心に治療が進められます。治療は長期間にわたることもありますが、定期通院と検査を重ねながら、病気の状態に合わせて調整されます。
治療
治療の目標は、血管や臓器の炎症を抑えて、障害が進むのを防ぐことです。症状や重症度に合わせて薬を使い分け、十分な休養をとることが基本になります。多くの場合、治療を始めると症状はゆっくりと改善しますが、再発を防ぐために長く治療を続ける必要があります。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する。タバコは血管の炎症を悪化させるため、必ずやめましょう。
- 医師の指示を守り、自己判断で薬を休んだりやめたりしない
- 手洗い・うがい・十分な睡眠で感染症を予防する
- 体調の変化をメモし、受診のときに医師へ伝える
医療治療
一般的には、炎症を強く抑える副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)が中心に使われます。病気の重症度に応じて、免疫の働きを調整する薬を併用したり、免疫物質を取り除く治療が行われることもあります。治療中は、薬の副作用や感染症の予防についても医師と一緒に管理していきます。
この病気と共に生きる
EGPAは再発と落ち着いた状態を繰り返すことがあるため、病気と上手に付き合いながら生活することが大切です。定期的に通院して検査を受け、自分の体の変化に気づいたらすぐに医師へ相談しましょう。疲れたときは無理をせず、しっかり休むことが治療と同じくらい大切です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 体調を見ながら、無理のない範囲で運動をする
- ストレスをためない工夫をする(趣味やリラックスできる時間を持つ)
- 禁煙・節酒を心がける
食事と運動
この病気に特別効く食事はありませんが、バランスのよい食事を3食しっかりとり、塩分や糖分のとりすぎに注意しましょう。症状が安定しているときは、医師に相談して、ウォーキングなどの軽い運動を続けると体力が保てます。運動後は十分な休息をとってください。
精神的健康と心の健康
慢性の病気であることや、症状が日常生活に影響することから、不安や落ち込みを感じることがあります。そのような気持ちは一人で抱え込まず、家族や友人、担当医に話してください。必要に応じて、心理の専門家やカウンセリングの支援を受けることもできます。
予防
現在のところ、EGPAそのものを予防する方法は確立されていません。ただし、感染症や一部の薬剤がきっかけになることがあるため、日ごろの体調管理を徹底し、ぜんそくやアレルギー性鼻炎などの基礎疾患をしっかり治療しておくことが大切です。
ワクチン
免疫を抑える薬を使う治療を受けていると、一部のワクチンが受けられない場合があります。ワクチン接種の前に、必ず担当医に相談してから受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 手足のしびれや知覚の低下、運動のまひなどの神経の障害
- 腎臓の障害による腎機能の低下、腎不全
- 心筋の炎症や心不全、心筋梗塞などの心臓の障害
- 重症のぜんそく発作や、消化管の出血・穿孔(穴があくこと)
長期的な見通し
診断や治療が進歩した現在では、適切な治療を続けることで、多くの患者さんが症状をコントロールし、仕事や家庭生活を続けています。病気の経過には個人差がありますが、長い目で見て希望を持ちながら、医療者と一緒に治療していくことが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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